Top            浮世絵文献資料館              浮世絵師総覧            ☆ たばこうり 煙草売り            浮世絵事典  ◯『我衣』〔燕石〕①220(加藤曳尾庵著・文政八年(1825)以前成立)   〝貞享年中迄、刻多葉粉、見世売計にて、世利うりなし、葉煙草を調へ、手前にて刻む也、然れども、若    き女中などの類は、やに深きをきらい、刻たばこやにて、色合黄なる和らかなるを調のみたり、    元禄年中より、刻たばこせり売出る、箱、図の如し、(箱の図あり)    夫より宝永年中に至て、世利箱丁寧に致す(箱の図あり)    其後、元文年中、神田鍋町に叶屋と云刻たばこや出る、十余人切子をかゝへ、かつぎ荷六七荷出す、江    戸中を売り弘めたり、此時よりかつぎ荷始る( かつぎ荷の図あり)    宝暦年中に至て、すべて刻たばこや、になひ箱に成る〟    ◯『賤のをだ巻』〔燕石〕①254(森山孝盛著・享和二年(1802)序)   〝きざみたばこやとて、是も小綺麗なる形をして【是は年ぱいの者、おやぢなども歩行たり】いくつもの    引出しを付たる小箪笥様なる箱を背負て、品々の刻みたばこを入、商に歩行たり。是は夏に不限、四季    ともに家家を廻り、出入取付など出来て重宝なりき、地紙屋と同じく、今はすたりて、知る人もなし〟    〈記事は寛延宝暦の頃のもの。それ以降、どれくらい続いたか分からない〉    ◯『塵塚談』〔燕石〕①280(小川顕道著・文化十一年(1814)成立)   〝ガチヤ/\多葉粉売の事、我等幼年の頃は、薬箪笥の様なる箱に引出しの中に仕切を入、二行に刻多葉    粉を入、蕨拳(ワラビテ)の環を引出し毎に付、肩へ片かけにして売歩行けり、鑵がガチヤ/\と鳴により、    其音を聞て呼入、買ける也。此箱にて商ふ者、五十ヶ年已前より絶ず〟    〈この記事では、宝暦の頃から今に至るまで、刻み煙草売りが市中を廻っているという〉