◯『賤のをだ巻』〔燕石〕①238(森山孝盛著・享和二年(1802)序)
〝翁が小普請与頭被仰付たりし時は、いまだ御改正已前、田沼家発行の頃なりしが、初寄合に同役二十三
人を招て料理を出す、終日の饗応なり、翁のみに不限、誰も/\も極りて四十五両ヅヽかゝりたり、尤
肴一疋ヅヽと思ひても二十三人なれば、入目もかゝる筈なれども、菓子を鈴木越後が方へあつらへて、
其払ひ二十余金を費したり、御役場/\に極て取つけのもの有て、肴は何某ならでは不買、料理は何や
と云仕出屋、菓子屋は鈴木越後ならでは同役不残不食ことなりしが、白河侯出てくだかれしより、いま
は其俤もなし〟
〈これは、白河侯(松平定信)による寛政改革が断行される以前、田沼意次時代における役職就任披露時の出費である〉