☆ 明治二十三年(1890)
◯『新作十二番』全八冊 春陽堂刊(1890-91)
明治23年 4月『勝鬨』 饗庭篁村著 口絵 芳年
9月『此ぬし』尾崎紅葉著 口絵 芳年・省亭
10月『嫁入り支度に教師三昧』山田美妙著 口絵 省亭
11月『かつら姫』宮嵜三昧著 口絵 永興(挿画 楓湖・永柳)
12月『鎌倉武士』南新二著 口絵 蕉雪〔年方〕印(挿絵 年方)
同 24年 3月『十津川』 依田百川著 口絵 藻斎・永洗
9月『うめその』前田香雪著 口絵 御楯画 〈河辺御楯〉
12月『浦島次郎蓬萊噺』幸堂得知著 口絵 芳年(挿絵 芳幾)
参考
『こしかたの記』(鏑木清方著・中公文庫 原本は昭和三十六年(1961)刊)
「口絵華やかなりし頃(一)」〈( )は本文のルビ。西暦は本HPが施した〉
〝明治も二十年代になって、今の言葉で言えば、文化の進行にハッキリ段階を示して来た。二十二年に憲
法が布(し)かれ、国立博物館もこの時に出来た。今でも続いている美術雑誌「國華」が創刊し、劇場
では「歌舞伎座」が新築開場した。「新小説」「新著百種」などの文芸出版もあった。二十三年には国
会が開かれ、始めてわが国に代議政治が行われる。美術関係では帝室伎芸院の制度が生じた。そういう
時世に、春陽堂からは「新作十二番」と云う全部が和紙手摺木版の、表紙、口絵に丹精を凝らした美本
が発行された。この前にも既に色摺の口絵があったかも知れぬが、私のもっとも古い記憶に泛んでくる
のはこのへんである〟
◯ 美術世界』渡辺省亭編・春陽堂刊(明治23年12月~同27年1月・1890-94)
(発行者の春陽堂主人和田篤太郎の「美術世界発行の主意」と第一巻から第二十五巻までの「目次」)
美術世界(美術世界発行の主意・全巻の目次)