◯「江戸の地名に関する洒落言葉」山中共古翁輯・三村清三郞補
(『集古』丙子第二号 昭和11年3月刊)
〝恐れ入谷の鬼子母神 気がもめの吉祥寺(駒込)
湯島の偏人様(天神) 大違ひの鬼子母神
啌(ウソ)を築地の御門跡 腹がチョッピリ数寄屋河岸
智恵も浅草猿廻し どういふもんだ広徳寺の門(注1)
万よし原山谷堀(吉原) そうで有馬の水天宮(注2)
間夫は深川八幡宮 夜も夜中も根津谷中
酔ふて九段の坂の下 銭が内藤新宿
洒落の内のお祖師様(堀之内)なんだ神田の於玉ヶ池
とんだめに王子の稲荷 けふか飛鳥の花見時(飛鳥山)
草加越谷千住の先だ 遠い/\本所の火事だ
ぴいぴいどん/\神楽坂 深い中だよ麹町の井戸だ
値は高輪の泉岳寺 ねつから麻布できが知れぬ
何ンにも千駄木林町〟
(注1)「びっくり下谷の広徳寺」というのもある。
(注2)「どうで有馬の水天宮」とも。久留米藩主有馬家の上屋敷にある水天宮