◯『賤のをだ巻』〔燕石〕①250(森山孝盛著・享和二年(1802)序)
〝三味線の流行たる事おびたゞしきことのにて、歴々の子供、惣領よりはじめ、次男、三男、三味線引か
ざるものはなし、野も山も、毎日朝より晩迄音の絶る間はなし。此上げ句、下かたといふものになりて、
かぶきの芝居の鳴物の拍子を、素人がよりたかりてうつなり、其弊止みがたくて、歴々の御旗本、河原
ものゝ真似して女がたになり、立役、かたき役にて立さわぐ戯れなり〟
〈寛政改革以前のありさまである〉
〝其頃(改革後)の落首に
年をへし三筋の糸の音絶て羽織のたてはほころびにけり〟