☆ 明和二年(1765)
◯『絵本続江戸土産』(鈴木春信画 明和二年刊)
中村座 鈴木春信画(国書データベース)
☆ 明和七年(1770)
◯『娯息斎詩文集』(闇雲先生作 当筒房 明和七年刊)
(新日本古典藉総合データベース画像)
〝春狂言を観る
毛氈霞に似て花道斜めなり 路考が濡れ事人をして嘉(よろこ)ばしむ
年々紛失する友切丸 対面春を賀して舞台華やかなり〟
☆ 明和八年(1771)
◯『絵本三家栄種』(北尾重政画 明和八年正月刊)(国書データベース)
中村座 北尾重政画
〝顔見世やこの二丁まち明の春 慶安のころ今のさかい丁へうつれるよし およそ百五十年相続すと
猶ゆくすへこそ久しけれ〟
市村座 北尾重政画
〝市村座も百四十年たへずとふたりうたふたり 所作ごとのやわらぎは家のものとして 代々これに
さじきの毛氈を見てはもみぢとおもひ 女中にわたぼうしは雪 かつら男(おとこ)の月びたい
森田座 北尾重政画
〝見物の貴賤は月をいだゝき 霜を踏で来(きた)るにぎはひ 鶏声茅店の月 人跡板橋の霜〟
◯『江戸名物百題狂歌集』文々舎蟹子丸撰 岳亭画(江戸後期刊)
(ARC古典籍ポータルデータベース画像)〈選者葛飾蟹子丸は天保八年(1837)没〉
〝芝居
顔見世に紅葉のにしき着かされどあきたにみえぬ土間とさんじき
しばらくの柿の素袍や三升連しぶけのぬけた芝居けん物
狂言の箱を出したる琴せめに爪もたゝざるひとの大入
鳥居家のひやうたん足の看板に鯰坊主も見ゆるかほみせ
㒵見世の入替る坐の役者さへみなこのみある銀杏たち花
しばらくの目のよる所みえしとて土間さんじきも玉そろひなり
ゆふ/\ときなす素袍の袖ひろくひゝきの入れぬ三升連中
おさへたるひさごのやうにかしましきなまづ坊主の出るかほみせ
橘のやくらのまくもむかし風袖かんばんもにほふかほ見勢
かほ見世の羅漢桟敷にむかし人親によく似たしばらくもみつ
坐しきまでこよひにぎはふ㒵みせやぞうにの菜さへつみ物にして
福牡丹株も大きく成田屋にとし/\ふえる三升連中
うたゝ寐の夢も一まく明からすおきな/\ときほふ㒵みせ
つげ渡る一ばん烏二番とり三番叟より這入るかほみせ
大江戸へ下り役者が口上のなが上下もよく似合たり〟
〈顔見世 鳥居看板 三升(成田屋・福牡丹・市川団十郎) 銀杏(中村座) 橘(市村座)〉