◯『浮世絵』第十九号 (酒井庄吉編 浮世絵社 大正五年(1916)十二月刊)
(国立国会図書館デジタルコレクション)
◇「浮世絵を題材とした俳句」田中案山子(14/27コマ)
(大津絵)
〝追分の絵仏に後世を打任せ 土山 林
大津絵に回向して行く鉢敲き 名コヤ 一雕(以上の二句『誹諧日本国』より)
大津絵の筆のはじめは何仏 芭蕉
藤かさす人や大津の絵の姿 許六
十八の鬼もむかしや寒念仏 蓼太
振袖のむかし短し藤の花 同
打折るやつのも氷の寒念仏 其角
大津絵四幅に 鬼の角一本折れたる図
一本角がおれたら頭巾かな 也有
虎の皮やめてふどしの寒さ哉
お霜月鬼に衣も似よふとき
黒塚や野分に荒れて奉加帳
鬼の衣着て奉加帳さげたる絵に
鬼ゆりも見ならへ芥子の坊主振 也有
寒念仏豆にうたれて仕舞けり
大津絵の鬼も衣も肌寒し
柊の門や奉加も直通り
柊のさゝぬ内をさかりや寒念仏〟