Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
☆ おきないなり 翁稲荷浮世絵事典
 ◯『巷街贅説』〔続大成・別巻〕⑩130(塵哉翁著・嘉永二年(1849)記事)   〝三途川老婆    江府大久保表番衆町西の末南頬(ガワ)に、芝三縁山増上寺末にて、妙龍山正受院と云浄土寺あり、小寺    にして小き阿弥陀堂の内に、焔羅王脱衣婆を安置せり、元来淋しき寺なり、此脱衣婆、予覚て享和文化    の唄、小児のくつめき、咳の平癒を祈るに利益(リヤク)あり迚、偶々は参詣もありしが、追々に流行出て、    去年嘉永と改たる秋の頃より、わきて譜願利益ありとて、遠方よりの参詣日々に増り、六の日を縁日と    して、月の三度はわきて群集(クンジユ)とかや、利益の風説さま/\に奇を伝へ、霊験(レイゲン)有由な専    らに伝へあえり、今茲(コトシ)卯月九日、新町なる牡丹の花見の序、正受院に立寄しに、常の日ながら参    詣多くして、狭き堂内へ入事難ければ、遠く拝して過ぬ、地内もいとせまきに、百度参りの男女も十人    計群集せり、     (中略)    日本橋四日市なる翁稲荷も、此二とせ三とせの時行神にて、こも又参詣群集とぞ、此翁に大久保の右婆    を取合せて、さま/\なる戯れの一枚絵摺出して、錦画ひさぐ見世先にも、又多く人足を止む〟