◯『三養雑記』巻1 山崎美成 天保十年(1839)序
(日本古典藉総合データベース)(9/138コマ)
〝七種のはやし詞
正月七日に七種の若菜をいはふことは、都鄙ともにするわざなり、六日の夜七くさをたゝくはやし詞に
「七くさなづなたうどのとりと(ママ)にほんのとり(ママ)とわたらぬさきに」といふことは、何のわけとも
しらでならはしのまゝに家ごとに唱ふることなり(云々)〟
〈意味的にいえば「七種なづな唐土の鶏が日本の土地に渡らぬ先に」が正しいようだ〉
◯『残されたる江戸』柴田流星 洛陽堂 明治四十四年五月
(国立国会図書館デジタルコレクション)(14/130コマ)
◇正月 七草
七日のまだき、澄みきつた旦(あした)の空気に高々と響き亘る薺(なずな)打ちの音「七草なづな、唐土
の鶏が、日本の土地に、渡らぬ先に、ストトントン」と彼方からも此方からも聞え初めると、昨日迄の
門松も飾藁も名残なく取去られて、浮世は元の姿にかへるも淋しい。併し江戸ッ児には二十日正月迄の
物日はまだ乏しくないのだ〟