浮世絵文献資料館 | ||
☆ みやがわは 宮川派 |
△『増訂浮世絵』p(藤懸静也著・雄山閣・昭和二十一年(1946)刊) 〝宮川流の人々 長春の肉系のものには、画家となつた人はない。その画系は門人によつて伝へられた。その内遺作の伝 ふべきものゝあるのは、春水、長亀、一笑、正幸等で何れも宮川を名乗つて居る。その内で春水は勝宮 川を名乗るやうになつたが、その門に有名な春章が出て、勝川と称し、大きな一流を立てた。その他に 勝川薪水といふのがあるが、これは春水の門人である。春章は別であるが、その他の人々は肉筆画を画 いて版画を作らない。絹や紙に向つては何れも相当な手腕をもつて居た。春水の作では、帝室博物館所 蔵の図がその代表的なものであらうし、長亀の作では挿図にした帝室博物館の美人聞香図を挙げること ができる。なお大作としては大倉集古館所蔵の花見図六曲屏風がある。一笑の作も往々存するが、花見 図を写したものにその代表的のものと認められるものがある。 宮川龍の錚々たる門下は版画を作らないが、その門流と思はれる宮川安信には、筆彩版画で紅絵の細判 鷲図がある〟