◯『閑談数刻』二〔百花苑〕⑫246(駐春亭一指?記・明治初年成稿)(「ぇ」の原文表記は「江」)
〝美佐山
江戸町貳丁目丁字屋長十郎【鶏舌楼/大ミせ也】抱遊女ミさ山方へ、松前侯藩中関家某とかいへる客よ
り、歌のはしへ書て、
恋衣我はひとへに思へども君の心にうらやあるらん
みさやま返し
うらありし衣もいまハ引といてひとへに君を思ふ身ぞうき
和哥、発句、琴、三絃を曳。
水仙やかた/\寒きよぎの袖 みさ山
木がらしや燈明細き真乳山 〃
落葉かく頃や熊手の酉の市 〃
此咄は元丁字やの傾城でありし人、いまは大もんじやの家守の妻にてあるものより聞候〟