◯『江戸名物百題狂歌集』文々舎蟹子丸撰 岳亭画(江戸後期刊)
(日本古典藉総合データベース画像)〈選者葛飾蟹子丸は天保八年(1837)没〉
〝鮓
常盤なるいろを日の出の松のすし見世さきかすむ人の山々(画賛)
うづしほに魚をねかして作り身にまくらきあつる松か桶すし
つまにそふ蓼もせうがもからさきや江戸に一ッの松のすし見世
靏遊ぶ千代田の里にうり初て日々にさかへる松がはやずし
常盤町ほど近ければ松のすしいつもかはらぬ味(は)ひのよき
柳はの蓼も一入うち水の時雨に染ぬまつのすし見世
常盤町脇に見なして松がすしいく十かへりも客のにぎはし
ひさくゝる露のひかりも玉さゝの千とせをいきの松の魚すし
人の波打よる度にうごけるはあたけの松につなぐすしふね
いそ山の松がすしとや技重みとまるみさごもしらぬあぢはひ
〈松すし(深川安宅)。常盤町がなぜ出てくるのか?〉