◯『日本美術全書 沿革門』アンデルソン著 末松謙澄訳 八尾書店 明治二十九年(1896)七月刊
(国立国会図書館デジタルコレクション)
(第三章 団々珍聞)(85/134コマ)
〝現今に於ては鳥羽絵は既に戯画師の需用に敵せず、日本は数多の欧羅巴思想を採用せる中に、又苦心して
西洋滑稽画をも採用せり、団々珍聞の政事家又は時事の絵画的批評は已に一勢力をなせり、今後如何なる
変化を来すも知るべからず、但し鳥羽僧正の遺風が之が為め地に堕ちたり〟
〈『團團珍聞』(明治10年3月創刊~明治40年7月終刊 週刊 1654号)の表紙・挿絵を担当した画家は、本多錦吉郎 小林
清親 田口米作 ジョルジュ・ビゴーなどといった面々。彼ら明治の戯画は西洋風の表現法を取り入れるとともに、政
治や時流の諷刺といったこれまでになかった分野を開拓して一勢力をなすに至ったが、そのかわり鳥羽僧正以来伝えら
れてきた日本的戯画の遺風は失われてしまったという評価である〉