◯『よしの冊子』〔百花苑〕⑧(水野為長著・天明八年(1788)正月記)
〝町々を、改まりました御役人付、吉原借宅細見の絵図、新板草双紙、万石通と呼あるき候よし〟
〈「万石通」は、朋誠堂喜三二作・喜多川行麿画の『文武二道万石通』。松平定信の文武奨励の新政を踏まえた戯作〉
◯『よしの冊子』〔百花苑〕⑧343(水野為長著・寛政元年(1789)三月記)
〝草双紙を作り佐竹留守居、万石通抔と時事を造候に付、万一御咎も有ては済ぬと申候て、国勝手に申付
られ候由、浮世絵を画候、小笠原の留守居も主人より御咎申付られ候と申すさた〟
〈「佐竹留守居」とは『文武二道万石通』の作者、朋誠堂喜三二。「浮世絵を画候、小笠原の留守居」は未詳。恋川春
町とも考えられるが、それにしては「小笠原の留守居」が不審〉