◯『近世風俗史』(『守貞謾稿』)巻之六「生業下」①284
(喜田川守貞著・天保八年(1837)~嘉永六年(1853)成立)
〝京坂にありて、江戸なき所の市街を巡る生業には、
黒木売り(図版あり)
洛北八瀬(ヤセ)および小原〔大原〕より出て、薪柴等を洛中に売る。必ず婦の業とす。また必ず頭上に戴
(イタダ)き巡る。その夫は朝廷の駕輿丁(カヨチョウ)なりと聞けり。しかるや否や。髻(モトドリ)形他民と異にて、
また皆月代(サカヤキ)を剃らず。またある時は階子・拍盤(ウチバン)・横槌(ヨコツチ)等を戴き、大坂および諸国に
に行き巡りてこれを売る。あるひは夏月、忍草または若海布(ワカメ)等をも売る。けだしうちばん・よこつ
ち二品は、擣衣(トウイ)の具なり〟