◯『江戸名物百題狂歌集』文々舎蟹子丸撰 岳亭画(江戸後期刊)
(ARC古典籍ポータルデータベース画像)〈選者葛飾蟹子丸は天保八年(1837)没〉
〝暦売
月日星しるすこよみを鴬のねぎしの里もうり歩行けり
うぐひすの夜飼はまだき門口に月日よび行こよみうりかな〟
〈暮れ方まで歩き売る〉
◯『近世風俗史(一)』(『守貞謾稿』)巻之六「生業下」①282
(喜田川守貞著・天保八年(1837)~嘉永六年(1853)成立)
〝暦売り
江戸にては「来年の大小柱暦、とじ暦」。閏月ある暦は、上の詞に続けて「閏あつて十三ヶ月の御重宝」
と云ふ。(中略)
因みに曰く、三都とも毎時、種々の珍説奇談、あるひは復讐、あるひは火災図、あるひは情死等一紙に
印して、価四文八文等にこれを売る者、この徒の生業とす。
東都にて役人付、芝居番付、吉原細見、宝船等売り巡る者、皆この徒の生業なり〟