◯『寐ものがたり』〔続大成〕⑪48(鼠渓著・安政三年(1856)序)
〝遠州見付宿に栗杖亭鬼卵といふ人あり。年とりて仏卵と改む。著述モノ多し。又画もよかりしとぞ。平
生最面白き人物也。近辺へ噺しに行、飯時に皈り(ママ)成り、カヽア殿ナニカお菜(カズ)があるかと間。
妻女、しか/\と答ふ。扨うまくないものばかりだな、どりやお菜を拵へて来ませうと云て出行。ヤヽ
暫くして帰宅し、食事をするに何の菜も持来らず。妻女、お菜はと問へば、イヤ味よき物をたんと拵へ
て来れり、うまし/\と云て快く食しぬ。所謂、ひもじゐ時のまずいものなしなるべし〟