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☆ かやりび 蚊遣火浮世絵事典
 ◯『絵本風俗往来』中編 菊池貴一郎(四世広重)著 東陽堂 明治三十八年(1905)十二月刊   (国立国会図書館デジタルコレクション)(36/133コマ)   〝六月 蚊遣火    江府山の手辺は何れも蚊の湧き出づること早くして多し、然るにとりわきて本所・浅草は、蚊の名物と    いへるに違はず全く甚だし、此れに次いで下谷辺なり、陰暦四月より蚊帳をつらざれば、毎夜眠りに付    くことならず、蚊帳の用なきに至るは十一月なり、されば夏の夕暮れ、行水・夜食の折は蚊遣りを焚て    蚊を防ぐ、蚊遣りは蚊遣香を始め、楠等を用ゐたり、又蚊遣りの火鉢も種々(いろ/\)の別ありしも、    其の日/\を送れるものは、かゝる上品なる蚊遣りを用ゐず、杉の青葉、松の青葉等を盛んにふすぶ、    日々の煙りの細きに似ず、蚊遣りの煙りに至りては太しく戸々に煙りを出だせるより、家は煙りにつゝ    まれけり、其の頃のことにて、この煙りは蚊の害を防ぐのみならず、自然養生にもよきよしなり〟