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☆ かんぶつえ 灌仏会浮世絵事典
 ◯『絵本風俗往来』上編 菊池貴一郎(四世広重)著 東陽堂 明治三十八年(1905)十二月刊   (国立国会図書館デジタルコレクション)(31/98コマ)   〝灌仏    四月八日は灌仏会にてありける、寺院にては一向宗を除く外は是を行ふ、其の第一は将軍大奥にて遊ば    さるゝ灌仏会なり、そは千代田城といふ出版ありて其の中に悉(くは)し、市中にては向両国回向院の灌    仏会は夥しき参詣なり、其の外群集なす寺院数ふるに堪へず、灌仏堂は大小の差多しといへども、大殿    は六尺四方より二尺四方位までとす、彫刻等美をつくせるあり、其の屋上へ草花をふく、其の見事なる    こと造り菓子の如くなり、其の花御堂の中に唯我独尊の尊像を案置し、千歳茶(あまちや)を灌(そそ)が    しむ、此の灌ぎし千歳茶を戴き墨にすり流し、五大力菩薩と三行書きて、衣類の櫃に入れ置く時は、衣    類の虫喰(むしばみ)の害を防ぐ、又「千早や振る卯月八日は吉日よ、かみさけ虫をせいばいぞする」と    書きて家の柱に張る時は、毒虫の害なしとて、家々皆是を行ふ、当日灌仏式ある寺院の門前にて、青竹    にて手桶を造りて商ふは、千歳茶を戴く器にするためなり、又葭の芽ざし及びペン/\草と俗称する草    を売る、葭の芽は児童笛にする、ペン/\草は是又毒虫の害を去るとて、毎夜ともす行燈につり、又雪    隠の隅につるし置くなり、此の日早天より児童早起きして、千歳茶を戴きに行を楽しみとせり、故に諸    寺院の群集夥しく、正午過ぐれば終ること常なり〟