◯『増補浮世絵類考』(ケンブリッジ本)(斎藤月岑編・天保十五年(1844)序)
(「戴斗」の項)
〝戴斗 文化文政の人
俗称 伴右衛門 遠藤氏 小笠原家浪人なり
始 北泉 居住 麹町平川天神前、後不知
北斎の門人也。名を譲受て二代目戴斗となり、画風師の筆法を能く学び得たり。真偽ややもすれば不知。
浪花の刻本を多くあり(世に犬北斎といふ、画の似たる故なり)〟
〈「犬」には似て非なるものという意味がある〉
◯『浮世絵師人名辞書』(桑原羊次郎著・教文館・大正十二年(1923)刊)
(国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」所収)
戴斗〔北斎門人、俗称亀屋喜三郎、吉原引手茶屋の主人なり、北斎より、戴斗の名譲らる、玄龍斎、米花斎と号す、後大阪に
至り、偽りて自ら北斎と称す、人卑みて犬北斎、又は大阪北斎と呼べり、多く葛飾北斎、又は北斎と擬名せし故、混雑
せるものあり〕