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☆ 婦足禿(ふたりかぶろ)浮世絵事典
 ☆ 享和二年(1802)       筆禍『婦足禿』(洒落本)       処分内容 絶板 発禁             ◎作者 成三楼酒盛(記載なし)◎画工 子興(記載なし)◎板元 不明(記載無し)       処分理由 淫猥       〈宮武外骨は絶板と伝える典拠を載せていない〉     ◯「婦足鬜」(宮武外骨著『筆禍史』p95)   〝成三楼酒盛の著にして、子興(栄松斎長喜)筆の口絵あり、是亦淫猥の蒟蒻本なりしがため、直ちに絶    版の命を受けたり、其一節に「堪忍しておくんなんしと例の殺し目尻でにつこり、此時の顔、うちへ帰    つても、立つても居ても、寝てもさめても、ちら/\見ゆべし、これより咄いたつて低くなり、何か聞    へるやうで、聞こへぬやうなり云々」とあり、其キワドキ細写の一斑と知るべし    〔頭注〕鬜    此字を「かむろ」とよむよし、通気多志と冠して「つきだし、ふたりかむろ」といへり、面倒臭き洒落    にてありける〟    〈宮武外骨は絶板を伝える典拠を示していない〉
   『婦足禿』 成三楼主人作・子興画(早稲田大学図書館「古典籍総合データベース」)     ◯「洒落本」(「寛政三亥年已来、書物并小冊類絶板売止被仰付候品書付」)   (文化五年四月の文書『江戸町触集成』第十一巻p246(触書番号11501)より)     〝享和二戌年於南御番所絶板    小冊物 四拾五通    右小冊類不残絶板被仰付候砌、仲間内之者壱人内々ニて板行仕候者有之、御吟味之上商売御差留、住所    御構被仰渡候    〈「小冊物」とは洒落本のこと。四十五作品が絶板に処せられた。その洒落本を内密に出版したものがいて、これは商     売禁止、住所御構(居住地追放)になっている。上出の『婦足禿』もこの四十五作の中に入っているのかもしれない。    ただし作者・画工には罪が及んでないように思う〉