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☆ あかこほん 赤小本浮世絵事典
 ◯「赤小本につきて(未完)」(朝倉亀三著『集古会誌』所収 明治三十八年(1905)九月刊)   (国立国会図書館デジタルコレクション『集古』乙巳(4)p6より収録)   〝行成表紙本(一名からかみ表紙)の事は、蜀山人、馬琴及種彦の随筆に散見すれば、世の知る所なれど    も、先回の課題に出品ありし赤小本に就ては、古来何人もこれが説をなせし事なく、全く行成表紙より    直に赤本に変遷せしものと信して疑はざりしなり。    こは行成表紙本と赤本との間に介在せる過渡時代の産物にして、其変遷の跡 一目瞭然たるべきものな    り、今其発生の年代は詳ならずと雖も、行成表紙の盛時(延宝の頃)に既に行はれし事は『初春のいわ    い』の延宝六年正月板なるものにても明かなるべく、降て貞享元禄に至り 行成表紙本の衰微と共に益    々盛に行はれ、宝永の末 一転して赤本に変化せしものといふべし、而して其表紙に二種あり、一は丹    表紙に沙綾形(さやがた)を磨き出したるものにして、一は普通の赤本の如き丹がら表紙なり、『初春の    いわい』『大福長者ふつきものがたり』『たゞとる山のほとゝぎす』等の如き発生時代のものは 前者    のものに属するものにして、行成表紙本と並び行はれし事、恰も黒本時代に於ける青本の唯表紙のみ異    なりて 内容の同じきが如く、文章なくして絵画のみのものと、絵画の上段に文章を記載せしものとの    二種ありて、毫も行成表紙本と異なる事なし、後者は『名人ぞろへ』『めいよの翁』『日本むまぞろへ』    等 之に属し、其体裁前者に異ならずと雖も、文章以外に言葉書き(のふぢゝをみやれはいにしをつた    の如き)を加へたるもの出で、又張(り)外題も絵書となりたるもありて、形こそ異なれ殆ど赤本とひと    しきものがり、実に小説史料として有益なるものといふべし〟    〈筆者は、赤小本を、延宝の頃(1673-80)盛んに行われた行成表紙本と、宝永(1704-10)末から出始める赤本との過渡期     のものと位置づける。その表紙に二種類あり、丹表紙に沙綾形模様を配したものが発生初期のもので、具体的作品例     としては『初春のいわい』『大福長者ふつきものがたり』『たゞとる山のほとゝぎす』等、これらが行成表紙本と並     行して流通していたとする。もう一つはそのあとに生まれた丹がらの表紙本で『名人ぞろへ』『めいよの翁』『日本     むまぞろへ』などが具体例とされる。内容構成の面からいうと、絵のみのものと絵の上段に文を配したものと、二種     類あるのは両者とも同じだが、これは行成表紙本を引き継いだものだという。ただここから始まったものがないでも     なく、絵に添えた「言葉書き」や「張(貼)り外題」などが現れるのは、この赤小本からのようだという。この朝倉解説文     の言葉書きとされる「(のふぢゝをみやれはいにしをつたの如き)」これをどう分節化したらよいのか分からない〉  ◯「集古会」第五十三回 明治三十八年五月 於青柳亭(『集古会誌』乙巳巻之四 明治38年9月刊)   〝村田幸吉 (出品者)     古板赤本 小本 十二冊     『兎の手から』『【四季のゆらい】鬼遊』『唐人のみかり』『古今名物宝つくし』     『たゞとる山のほとゝぎす』『福神大ふるまい』(しんめい前井つゝ屋)     『京ひがし山ばけきつね』(藤田)『【本手四切】むぢなの敵討』『亀万歳』     『日本むまぞろへ』(西村屋)『仙人づくし』『【三国】宝舟始』(藤田)(以上張外題写)  ◯「集古会」第八十一回 明治四十四年(1911)一月 於青柳亭(『集古会誌』辛亥巻二 大正1年9月刊)   〝林若樹(出品者)     享保九年板 赤豆本 五丁もの 三冊      もゝ太郎、おぐりの判官、四天王の三部 大さ一寸七分に一寸二分 赤本として最少のものならん      按ずるに雛祭に供するものゝ一か      巻末 享保九年 正月吉辰 大伝馬町三丁目 山本九左衛門板〟  ◯『浮世絵の諸派』上下(原栄 弘学館書店 大正五年(1916)刊)(国立国会図書館デジタルコレクション)   ◇赤小本(上73/110コマ)   〝一般民衆の玩物で、縦四寸横三寸位の、表紙は丹色で、上に外題紙を貼付け『たゞとる山のほとゝぎす』    とか『兎の手柄』とか書き付け、紙数五枚位で、画は菱川風、上に単純な御伽噺を仮名で書いたもので、    絵が主で文は従である。延宝頃から宝永頃まで行はれて居つたさうだ〟