Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
☆ あかほん(あかぼん) 赤本浮世絵事典
 ◯『続飛鳥川』〔大成Ⅱ〕⑩25(作者未詳・成立年未詳)   〝寛延、宝暦の頃、文化の頃まで売物、    元日に番附売、初狂言正月二日始る。番附代六文、    一枚絵草紙うり、うるし画、うき絵、金平本、赤本、糊入ずり鳥居清信筆、其外奥村石川〟  ◯『寝惚先生文集』〔南畝〕①358(陳奮翰子角(大田南畝)著・明和四年(1767)刊)   〝兎の手柄の序    曰若(ココ)に昔昔を稽(カンガ)ふるに曰く、老父(ヂゝイ)老婆(バゝア)、山に芟(クサカ)り、川に濯(モノアラ)ふ。    古狸、団粉(ダンゴ)を餐(ヌス)み、老婆を噛(カ)むに至りては、則ち狸と兎との事有り。事は赤本(シヤクホン)    に詳(ツマビラ)かなり。(以下略)〟    〈「かちかち山」に取材した「赤本」。「あかぼん」とあるべきところを「しゃくほん」と音読みしたのは漢文めかす     ためであろう〉  ◯『娯息斎詩文集』闇雲先生(狂詩・狂文集) 当筒房 明和七(1770)年刊   (新日本古典藉総合データベース画像)   ◇赤本   〝赤本を読む    喜び見る桃太郎         勇力鬼を平らぐる     偏へに団子の甘(うま)きを知る  自(おのつか)ら是れ日本(につほん)  ◯『徳和歌後萬歳集』「恋歌下」(四方赤良編・天明五年(1785)刊)   〝寄赤本恋          唐衣橘洲    四天王ならねば恋の山入に忍ぶ心の鬼はおそろし〟    〈源頼光とその四天王が大江山の鬼(酒呑童子)を退治する赤本を踏まえた狂歌。四天王でないので、恋路にはいりこ     む我が心の鬼がおそろしいというのである〉  ◯『楠正成軍慮智恵輪』(曲亭馬琴作・北尾重政画・寛政九年刊)   (国書データベース)   〝むかし/\の稗史(あかぼん)も、富川吟雪が画意終に跡なく、子供衆 がてんか/\の譃浪(くちあい)    も、作者丈阿が文法更にしる人稀也、難矣哉(かたひかな)世実(きまじめ)にして 栄(をち)をとらん事、    幼童もし赤本のあかぼんたる事をしらば、又馬鹿ものゝ馬鹿ものたる事をしらむ、十牒の冊子(そうし)    三文か智恵、何ぞ算用の合たる作といはんや、嗚嘑(ああ)実に然り。        丁巳春ながき日                    馬琴識〟  ◯『稗史億説年代記』(式亭三馬作・享和二年(1802))〔「日本名著全集」『黄表紙二十五種』所収〕   〝赤本 表紙一面(イツパイ)の表題に絵を画かず、紙を黄色に染める    同 赤紙の外題に、白紙の表題をはる。この時、表題に絵を画入るゝ事はじまる    画工 鳥居庄兵衛といふ者大きにはやる。つゞいて清倍行はる〟  ◯『近世物之本江戸作者部類』(蟹行散人(曲亭馬琴)著・天保五年(1834)正月成立)   〝赤本作者部    江戸の名物、赤本といへる小刻の絵草子は、享保以来しいだしたり。貞享元禄の間、享保まではさるさ    うしありといへども、紗綾形、或は毘沙門・亀甲形なる行成標紙をもてして、酒顛童子物語・朝顔物語    などの絵巻物を小刻にもしたり。或は堺町なる操り芝居和泉大夫が金平浄瑠璃の正本を居たせしのみな    りき。かくて享保よりして後は、丹標紙をかけたるもの、とし/\に出しかば、世俗これを赤本と喚做    したり。かくて寛延宝暦より漸々に丹の価貴くなりしかば、代るに黄標紙をもてして(云々)〟    〈「赤本作者部」には、丈阿・近藤清春・恋川春町・朋誠堂喜三二・山東京伝・式亭三馬・柳亭種彦などが入っている     から、馬琴の「赤本」は、赤本・黒本・青本(黄表紙)・合巻、所謂「草双紙」全体を指している〉  ◯「川柳・雑俳上の浮世絵」(出典は本HP Top特集の「川柳・雑俳上の浮世絵」参照)   1 赤本に有るをまことゝかんるいし 「雲鼓評万句合」元文2【雑】   2 善にそまれば赤本も目の薬    「柳の丈競」  安政3【雑】     注「子供用草双紙」〈子供衆を目で善導する絵主体の草双紙〉   3 赤本で見ても啼せる雲雀山   「柳多留119-18」天保1【川柳】    〈雲雀山は中将姫が継母に虐められて捨てられたところ〉  ◯「集古会」第五十三回 明治三十八年五月 於青柳亭(『集古会誌』乙巳巻之四 明治38年9月刊)   〝村田幸吉 (出品者)     古板赤本『鼠花見』(さかい町中島屋板) 五丁 一冊     同   『花咲爺』          同  一冊     同   『した切雀』         同  一冊     同   『猿蟹合戦』西村重長画    一冊    朝倉亀三 (出品者)     古板赤本 三冊     『初春のいわひ』延宝六年正月板 菱川師宣画 一冊     『大福長じやふつき物かたり』        一冊     『めいよの翁(ぢゝひ)』           一冊〟  ◯『浮世絵の諸派』上下(原栄 弘学館書店 大正五年(1916)刊)   (国立国会図書館デジタルコレクション)   ◇赤小本(上73/110コマ)   〝一般民衆の玩物で、縦四寸横三寸位の、表紙は丹色で、上に外題紙を貼付け『たゞとる山のほとゝぎす』    とか『兎の手柄』とか書き付け、紙数五枚位で、画は菱川風、上に単純な御伽噺を仮名で書いたもので、    絵が主で文は従である。延宝頃から宝永頃まで行はれて居つたさうだ〟   ◇赤本・黒本(上73/110コマ)   〝この二書の内容も体裁も大体赤小本と同じであるが、縦六寸横四寸五分位の大さで、赤本は丹表紙を用    ひ、黒本は黒表紙である。