出典:『外題鑑』岡田琴秀編 鷦鷯貞高補 丁子屋平兵衛他十四名 天保九年(1838)刊
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〝叙 (4/75コマ)
茲に東都の書林二世の文渓堂主人は 諸々の書籍(しよじやく)を彫刻させ製本を発行する事丹誠な
り 猶世に希なる奇書珍書を探り 人に益あるものは必ず書写し 或ひは梓に上(のぼ)して是を弘
む 別(わき)て出像(ゑいり)稗史(よみほん) 物の本を鬻ぐに出精(しゆつせい)なれば 所蔵の販
本のみならず 三都の新著も漏らす事なく捌くに多欲を慎しめり 依之諸国の得意月々に倍す さ
れば年来心を用ひて其業体同商の人々に有益(うえき)の書あらんことをはかりしが 先代の志を継
いで物の本の外題鑑を増益し 最も細やかに再販す 且こと/\く其巻毎(ごと)の意味を略記して
稗史好きの記憶を助く 此故に長編大部の物の本を千里に懐中させて 衆人を楽(たの)ましむ 凡
そ此小冊を貯へ給はゞ 和漢の軍記万巻の雑書稗史 常に座右に有るが如し 僕 文渓堂岡田氏の
丹心を感悦のあまり 拙筆に補助を加はえ 校訂の全本とせり 十方読書の諸君達 書賈文渓堂が
這(この)書を選集する苦心 看官の為に忠信(まめやか)なるを推量(をしはかり)て 永久(ながく)
賞誉の愛顧あらせたまへとしかいふ
于時 天保九年戊戌仲秋吉辰 東都 蓮池庵 教訓老人 鷦鷯斎貞高 〈為永春水〉
猶此巻中に漏れたるは追加する事年々なるべし 此後の新著も追々に補刻す 且後編には中形人情
滑稽までを委しくしるして近きに発行あるべきものなり
撰者 文渓堂琴秀誌
<軍記の部>
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『前太平記図会』 全六冊
人皇六十六代醍醐帝 延喜七年より近衛院の治世まで二百四十余年の間 武将は六孫王経基はじめて源の姓を賜はるを最初とし
源平両家の軍事奇談をくはしく記して画を画を加へたり
『保元平治図会』 全十冊
七十七代後白河院の御宇美福門院の御作行(おんしかた)を崇徳新院の恨み給ふより 天下大乱となるの始末をくわしく亦これを
もとゐとなして平家の勢ひ盛んとなり頼朝公を伊豆の国に配流までをしるす
『源平盛衰記図会』全六冊
二條院応保年中より安徳帝の寿永の頃まで凡そ二十余年の間の事をくわしく記す
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『義経勲功図会』 前五冊 後五冊
牛若丸と申せし時よりはじめとしてくらま山に登り剣術をまなび 後に鬼一法眼の軍法をうけて一代の功名かくれなきほまれを
くわしく画解(ゑとき)となせしものなり
『義仲勲功図会』 前後十巻
木曽義仲は平家を討て源家の愁眉をひらく大功 実は頼朝義経の功にまされり おしいかな頼朝の奸心によつて 其盛を短かく
す されど旭将軍の威名高き一代の功をくわしくしるす
『絵入鎌倉太平記』前後十二巻
これは北條家執権職九代の間の治乱興廃かつ泰時の仁政高時の暴悪をくわしく記せり
『星月夜顕晦録』当時焼板
頼朝公三代の間の君臣の得失かまくらの事蹟をくわしくす
『絵本和田軍記』 前後十二冊
和田の義盛は鎌倉興立(こうりう)の功臣にて その一族九十三騎忠烈ふかき人々なりしが 口惜しいかな北條の悪を制しかねて
英名をうしなふ されども武勇のはな/\しきをくわしく画解(ゑとき)となすもの也
『絵本曽我物語』 全十冊
祐成時宗が敵討をしるす
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『鎌倉新語』 初編五冊
星月夜と同じものがたりなり
『絵本平泉実記』 前後十二巻
頼朝奥州征伐の事をくわしくしるす
『太平記図会』 初編八巻
人皇九十五代後醍醐天皇の即位より九十九代後光厳院の治世まで 凡そ四十余年の間忠臣孝子の伝までも加えられたる軍記にし
て本朝無双の名記なり
『絵本楠公記』 三編揃三十巻
日本武略の第一智仁勇の名将楠正成の忠烈奇軍太平記にもれたるをもくわしく記していとおもしろし
『楠正行戦功図会』前後十一冊
正成の男成行 父の遺訓を守りて南朝に忠を尽くし 軍略奇兵をもつて足利勢をやぶり 戦功美談いと多きをこと/\く集録し
て図絵を加えたり
『楠二代軍物語』 全五冊
これはおさな絵解にして袋入あり 価(あたへ)も下直なれば進物などにいたつてよし
『絵本応仁記』 初二三まで十五冊出来
足利将軍義政公政事(まつりごと)のおとろへしより 応仁の大乱義昭将軍信長に天下を奪はれ給ふまで 百余年の争戦をしるす
江戸 渓斎英泉図 高井蘭山輯
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『清正真伝記』 全六冊
名にしおふ清正公の幼立(をさなだち)より一代の武功の図絵とす
『絵本甲越軍記』 三編揃三十六巻
甲越両国の智勇を競ふ古今無双の軍書なり
『絵本菊地軍記』 前後十冊
九州の名家菊地家の武功をくわしくあらはす
『大内多々羅軍記』 全六冊
周防山口の大内家の軍記なり 但し作りものならんか
『太田道灌雄飛録』全六冊
一代の武功をしるして絵入物語とす
『絵本南総 里見軍記』全十巻
この書は里見家の起原(おこり) 上野の国なる里見村の由来よりはじめとなし 代々の武功 安房上総下総の三国に猛勇の旗下
をしたがへ 五十余箇城の大守と仰がれ 関東に美名高く仁を施し義をはげまし忠臣孝子を招くの美談 凡そ八州の名所古跡
里見家にゆかりあるをば こと/\く詮穿(せんさく)なして 中興の元祖義実の徳行はいふもさらなり 後年鴻の台の城の合戦
北條氏と争ひし虚実 且小田原のために 世を狭められし武蔵の諸士をあはれみ 力をたすくる義戦なんど 太田道灌の子孫太
田源吾同源六の勇力 里見氏と合体して小田原勢を打ち破るの功戦 数代連綿とつゞきたる事実をくわしく記すものなり
東陽斎主人輯録
<復仇(かたきうち)并忠誠実録の部>
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『絵本忠臣蔵』 前後二十冊
四十七人の義士の伝を諸書よりゑらみてくわしくなせし物語なり
『絵本雪鏡譚』 全十二巻
加賀見山の実録北国諸士の美悪をこまやかに記す
『絵本金花譚』 全十二冊
頼兼ぬし廓通ひ 文治高尾の事をはじめとし政岡の忠義又は悪人仁木弾正の奸智等をくわしくつゞりて部門の用心となるべきも
のなり
『絵本彦山霊験記』 全十冊
毛谷村六助仇討ものがたり
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『絵本伊賀越』 全七冊
渡辺数馬唐木政右衛門の助太刀にて沢井又五郎をはじめ大勢の仇を討ものがたり也
『忠孝美善録』 前後十冊
伊賀越の後日ともいふべき仇討也
『絵本二島英雄記』 全十冊 /『絵本荒川仁勇伝』全十冊 /『同 復仇孝勇譚』全八冊
『同 誠忠伝』 全十冊 /『同 則定仁勇伝』全八冊 /『同 白石噺』 全六冊
『絵本金毘羅神霊記』全十冊
田宮坊太郎が金毘羅の霊験にて大敵を討ちとるものがたり
『絵本浅草霊験記』 全十冊
世にいひつたへたる乙川の血だるまものがたり
『絵本箱根霊験記』 全六冊
世俗いざりの仇討といひつたふ
『絵本亀山話』 全十冊
世には石井明道士とも名づくとか
『絵本合邦辻』 全十冊
加州高橋氏の復仇(ふくしう)美談なり
『茶店墨江草紙』 全九冊
殿下茶屋の絵本なり
『同(ママ)会稽松の雪』全七冊 /『幼婦孝義録』全十冊 /『絵本双忠録』全十冊
『豪傑勲章功録』 全十冊 /『絵本顕勇録』全十冊
<諸家新編 稗史(よみほん)の部>
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『飛田匠物語』全六冊 葛飾北斎翁画 六樹園大人著
世の人口に伝はりたる左甚五郎の故(ゆゑ)由(よし)を思びよせて 番匠の奇巧人の命を救ひ また唐国の人と智巧くらべて勝れ
たる業を感ぜしめ 其外大工の故実にいたるまでくわしく記し 或ひはむさしの国竹芝の故事(ふること) 更科日記の文雅にし
るせし奇談など すべて珍しきおもむきを綴られたり このよみ本は倭文をならふかゞみともなるべし
『東嫩錦』全五冊 小枝繁著
これは東の仇討にて多く実録にもとづきて作られたれば いつものよみほんとはおなじからず 古風にて人情をこまやかにせり
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『双蝶々白糸草紙』 全五冊 芍薬亭作 /『敵討松山話』 全六冊 立川焉馬作
『近江縣物語』 全六冊 六樹園著 /『絵本妹背山』 全六冊 振鷺亭作
『田村物語』 全六冊 川上老人作 /『千代能七変化物がたり』全五冊 振鷺亭作
『俊徳丸』 全五冊 振鷺亭作 /『月宵鄙物語』 前後十冊 真顔大人作
『碗久松山物語』 全五冊 馬琴作 /『勢田橋龍女本地』全三冊 種彦作
『忠孝連理片袖』 全五冊 一九作 /『長柄長者鴬塚』 全六冊 鬼卵作
『松王物語』 全六冊 小枝繁作 /『天橋立』 全五冊 一九作
『金花夕映』 全五冊 谷峩作 /『自来也物語』 前後十一巻 鬼武作
『標注そのゝ雪』 全五冊 馬琴作
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『石言遺郷』 全六冊 曲亭主人作
遠江の国佐夜の中山にありといふなる夜泣石のことを種として 菊川の里の奇談なんど哀れにおもしろき物がたりなり
『柳の糸』 全五冊 小枝繁作 /『新累解脱物語』 全五冊 馬琴作
『斯波遠説七長臣』 全六冊 谷峩作 /『窓蛍余談』 全六冊 琴魚作
『小桜姫』 前編五巻 京伝作 後編五巻 琴魚作 前後ともよく揃ふておもしろし
『国字鵺物語』 全五巻 葛飾北斎画 芍薬帝長根作
頼政鵺を退治して弓箭のほまれ高く およそ鵺によつて種々(くさぐさ)の奇談を新たに説かれたる因果物がたり さすがに狂歌
の大人とて戯作者の及ばぬ文章一家の雅風(みやび) おのづからに視ゆる草紙なり 惜しいかな販木焼失の後 摺る巻を看るこ
とまれなり
『菖蒲草檐五月雨』 全三冊 文東陳人著編
六波羅落を発端として作る物がたり 此販木も今はなし
『千代物語』 前後十冊
『百合若埜居鷹』 全五冊 万帝作 世に諺(いふ)百合若十日眠物がたり(14/75コマ)
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『松風村雨物語』 前後十巻 歌川国直画 渓斎英泉画 文東陳人作
行平朝臣因幡の任より須磨の浦にいたり給ふの事蹟 古今におもしろき奇談なり
『嫩髻蛇物語』 全五冊 渓斎英泉画 全亭主人作
『金鈴橘草紙』 全五冊 同画 同作
『風狸伝』 全五冊 柳亭種彦校
『忠孝顕名録』 全六冊 /『放下僧物語』 全四冊
『車僧物語』 全五冊 /『双名伝』 全五冊
『花若丸一代記』 全四冊
『泉近衛物語』 全五巻 福地鬼外著
一名に大嶋軍記ともいふ その趣向一際別にておもしろし
『絵本沈香亭』 全十巻
新田義助沈香亭に入るの奇談 巻の首(はじめ)に奇術をたゝかはすの異説 後には南朝合戦のおもむきを記
して常のよみ本とかはりて楽むべし
『忠孝比玉伝』 全六巻 /『古実今物語』 全五冊
『板東忠義伝』 全九冊
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『浮牡丹全伝』 全四巻 歌川豊国画 山東京伝著
浮牡丹香炉の由来 山路◎(ふご)渡しの危談 名にしおふ京伝先生妙策 画もまた元祖豊国の筆にて よみ
本流行はじめの製本 その頃評判の草紙なりしが 板木焼失して今は絶たり
『巫山夢』 全五冊 十返舎一九作
八文字屋風のしゆかうだてにて一流の口調 よみ本ながら例の滑稽を兼たり
『初夢富士見曽我』 全三冊 元祖焉馬作 『歌舞伎年代記』全(空白) 元祖焉馬撰集
『松井物語』 全三冊 赤城山人作 『日本水滸伝』 全五巻 綾足大人著
『八百屋於七胡蝶夢』全五巻 /『明月清談』 全五巻
『明月清談』 全五冊 /『復讐故郷錦』 全五巻
『鉢被姫物語』 全五冊 /『出雲物語』 全五巻
『東雄操物語』 全五巻 /『東雄過糸筋』 全五巻
『三嶋小女郎麓の花』全五巻 /『復仇武蔵鐙』 全五巻
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『五人振袖』 全六巻 /『白鳥奇縁』 全六巻
『団七嶋』 全五冊 /『薄雲奇譚』 全五巻
『幸物語』 全六巻 /『白玉草紙』 全六巻
『新編熊坂物語』 全五巻 /『謡曲春栄物語』全五冊
『蟹猿奇談』 全五巻 /『筒井清水』 全六巻
『在原草紙』 全五巻 /『桜木草紙』 全五巻
『鬼嬢伝』 全五巻 /『千貫樋』 全六冊
『小説江登紫』 全六冊 /『金鱗化粧桜』 同
『蛍狩宇治紀聞』 同 /『絵本美鳥林』 同
『会稽三浦誉』 同 /『寄木草紙』 前後十巻
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『誉通箭』 全七冊 /『夢の浮橋』 前後八冊
『平井権八妹背語』 全五巻 /『絵本打出浜』 全五巻
『絵本綴の錦』 同 /『逆櫓松』 全六冊
『夕霧書替文章』 全五冊 /『那智の白糸』 全五冊
『奇談青葉笛』 全六冊 /『絵本伊吹物語』全五冊
『絵本遠山日記』 全五冊 /『雲井物語』 全五冊
『手引の糸』 全六巻 /『弥生桜』 全六冊
『双三味線』 全五冊 /『絵本檀二葉』 全六冊(檀 まゆみ)
『駿河舞』 全六冊 /『絵本簀草紙』 同 (簀 あじか)
『金谷金五郎』 全五冊 /『玉廼搓櫛』 全五冊
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『蝶の夢花之曙』 全六冊
『朝顔日記』 前五冊 後五冊
駒沢治郎左衛門の伝をまじへし異朝(もろこし)の小説 翻案絵入よみ本中の冠とすべきものがたりにて 芝
屋(しばや)司叟の遺構を浪花の作者なる柳浪大人の補ひ綴りし評判たかき絵本なり
『室の八島』 全八巻
怪猫の美人と化したる物語にて 東の作者の及ばざる妙作なり
『浪花侠夫伝』 全六冊
男伊達のことをおもしろく綴りなして新奇珍説いと多し
『盆石皿山の記』 全五巻 曲亭主人作
紅皿欠皿のことをあはれにおもしろく作られたり
『越路章(ふみ)』前後十二巻 /『嵐山花月奇談』 前後十冊
『復讐安達原』 全六冊 /『峯のふゞき』 全六冊
『北野霊験二葉梅』 全六冊 /『孝子嫩物語』 全五冊
『石堂丸刈萱物語』 全五冊 /『蜻蛉の巻』 全六巻
『若葉栄』 全六冊
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『愛護の若』 全五巻 /『犬神物語』 全五巻
『絵本口之碑』 全四巻 /『我侭草紙』 全五冊
『玉照物語』 全五冊 /『巷談堤の菴』 同
『安波の鳴門』 同 /『和漢の染分』 同
『絵本浪花男』 同 /『絵本根笹雪』 全六冊
『檀風物語』 全五巻 /『復仇尼城錦』 全五巻
『西海浪間月』 同 /『鳥辺山しらべの糸』同
『竹の伏見』 全六冊 /『三山草紙』 全五巻
『復讐千丈松』 全五冊 /『大和物語』 同
『忠臣山賊伝』 全六冊 /『琴松譚』 全六冊
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『文化新板宗像暦』 全七冊 /『浄瑠璃姫物語』 全七冊
『芦芽草紙』 全八冊 /『庚申談』 全五冊
『観音守護宝剱』 全五冊 /『鏡山烈女功』 同
『旭立帯』 同 /『復讐親子塚』 全六冊
『松蔭草紙』 全五巻 /『以呂波草紙』 全五冊
『絵本松栄花』 全六巻 /『同 夜舩譚』 全六巻
『同 茨の露』 同 /『再開高台梅』 同
『二枚絵草紙』 同 /『淀屋形金鶏新語』前後十巻
『女熊阪朧夜草紙』 全五冊 /『雨夜傘』 全十巻
『都鄙物語』 全五冊 /『絵本賢女鑑』 全五冊(以上21/75コマ)
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『発功譚』 全六冊 /『明月夜話』 全六冊
『四季物語』 前後十冊 /『犬猫奇談』 全五冊
『復仇二見浦』 全十冊 /『復仇越女伝』 全十冊
『本朝悪狐伝』 全十冊 /『赤縄奇縁』 全六冊
『女水滸伝』 全六冊 /『誓筁摺(おひずり)』全五冊
『八十島蔭』 全十冊 /『絵本物臭太郎』 全十冊
『絵本奇縁伝』 同 /『同 石金譚』 同
『籠目草』 全六巻 /『道成寺鐘魔記』 全六巻
『月桂新話』 前後十二冊 /『世継草紙』 前後十巻
『四谷怪談』 全五冊 /『梅菊新話』 全六冊
(23/75コマ)
『野路の玉川』 全九冊 /『しかまのかち染』 全五冊
『双蝶記』全十巻 山東京伝著
この草紙は山東翁よみ本の作りおさめにて古今无類の妙しゆかう 画も元祖豊国の筆にて彫刻もこまやかに
製本ならぶものなし
『白狐伝』一名あやうし物語 全十冊 玉山画作
近頃まれなる名画作にて 東にはまねもならざる草紙なり
『山枡太夫 後編 今調録』全五巻 全六巻 谷峩作
『月氷奇縁』全五冊 馬琴作
『三七全伝南柯夢』全六巻 葛飾北斎画 曲亭馬琴作
筒井順照楠を切るをはじめとして 木精(こだま)の怪より半七三勝の奇縁を説く 古今人情の意をつくし哀れにおも
しろき物語なり
『南柯後記』 全八巻 同画 同作
南柯の夢の継作にて前編にもまさる奇談といふべし
『絵本魁草紙』全五冊 本丁庵三馬著
これは奇談をあつめてめづらかにおもしろし
『常夏草紙』 全六冊 馬琴作
お夏清十郎のものがたり
『橋供養』 全五冊 小枝繁作
角書:文覚上人行状記 これは盛遠が発心の記なり
(24/75コマ)
『秋七種』 全六冊 馬琴作
お染久松の物がたり
『刀筆青砥石文』全八冊 馬琴作
摸凌案のおもむきにて亦一種の奇談なり
『浅間嶽面影草紙』全三冊 柳亭種彦作
後編『執着譚』 全五冊
種彦先生の新案奇代なり
『阿古義物語』 全五巻 三馬著
後編 全六巻 春水著
『弁慶異伝』 全五巻 英泉画 為永春水門人 柳魚作
こは春水の種にておもしろし
『梅花氷烈』 全四冊 山東京伝作
後編『梅花春水』全四冊 為永春水作
前編発市の後数十年 後編を継ぎて全伝となる 実に氷烈春水の如く解き和(やは)げたり 小梅が愁への眉を開き
看官(けんぶつ)これにて由兵衛の物語といふべし
『隅田川梅柳新書』全六冊 曲亭馬琴作
梅若松若の事蹟を種とはすれども 名におふ作者の新書にて 岸の柳に梅が香をそへたる筆の綾錦 文章清きは隅田
川の景色も見ゆる物語
『敵討裏見葛葉』 全五冊 曲亭主人作
『三国一夜物語』 全五冊 曲亭主人作
冨士と浅間の煙のことく一夜の中に板木の焼失 今は此販 世に絶えたり
(25/75コマ)
『近世怪談霜夜星』 全五冊 柳亭主人作
世の人々の言伝ふ四谷怪談の絵入にて芝居にするも此本の著述よりぞおこりしなり
『勧善常世物語』 全五冊 曲亭馬琴作
最明寺殿雪の段の旨としつくる
『安積沼』 全五冊 山東京伝作
小幡小平次の怪談なり
『雲絶間雨夜月』 全六冊 曲亭馬琴作
鳴神法師の物語 もつとも孝子の伝を加えておもしろし
『うとふ安方忠義伝』全六冊 山東京伝著
将門の息女滝夜叉姫肉芝仙の術に依て勇士を招き 父のこゝろざしを継がんとするいさましき物がたりなり
『うどんげ物語』 全六冊 山東京伝作
『稚枝鳩』 全五冊 曲亭馬琴作
右のしゆかうは其すじ両書(ふたいろ)ともに相同じ しかれどもさすがに名人の作なれば ならべよむときは猶興あ
りておもしろし
『鷲之談』 全五冊 山東京伝作 /『四天王』 前後十巻 曲亭主人作
『糸桜春蝶奇縁』全八冊 馬琴作 /『旬殿実々記』前後十巻 曲亭主人作
『半月夜話』 前後十巻 白頭子柳魚作
この草紙は其作りさまあやしけれども 前後相合(がつ)して看るに倦む事なし
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『松浦佐用姫石魂録』前後全本十二冊 曲亭主人作
瀬川采女才女於菊が伝を翻案しておもしろきしゆこう多し
『八丈奇談』 全七冊 馬琴作
おこま才三の名をもちひてあらたに説きいだす物がたり はじめに斎藤道三の伝をあらはし古今無類の奇談なり
『さくら姫』 全五冊 山東京伝作
これは婦女子の耳になれたる清玄の奇談にて 一部の趣向古今ならぶものなき妙作 世に絵入よみ本流行(はやり)そ
めしも 此物語を第一とはかぞへしなり
『忠臣水滸伝』 前後十巻 山東庵著
忠臣蔵を水滸伝のおもむきにつゞりて 其文章めづらかに一家の風を著はし よみ本のかゞみといはんか
『仮名手本後日文章』全五巻 元祖北斎老人画 元祖立川焉馬作
忠臣蔵の後日にて古今の妙作 殊に一流の筆意あり
『忠孝潮来武志』 全五冊 北斎老人画 立川焉馬作
いたこぶしてふ唱歌にもとづき忠臣孝子の物語 焉馬老人一代の作と云ふべし
『綟手摺昔人偶』 全五巻 柳川重信画 柳亭種彦作
このよみ本は一家の風をもつて綴られたる新趣向 山東翁にも曲亭大人(うし)にも似よらでまさる珍書なり
(27/75コマ)
『皿皿郷談』 全六冊 馬琴作 紅皿欠皿ものがたり
『頼豪阿闍梨怪鼠伝』前後十巻 葛飾北斎翁画 著作堂馬琴作
三井寺の阿闍梨頼豪が鼠となりし奇談より 木曽義仲都登りの因縁 清水の冠者義高鼠の術を行ふの奇談 猫間新太
郎の復讐の辛苦烈女唐糸の忠臣なんど 古今に秀(ひいで)しものかたりなり
『夢想兵衛胡蝶物語』前後十巻 曲亭主人作
これは名におふ作者の博識あらたに見ひらく世界の嶋々 理窟にからまるやうなれども 腹をかゝゆるおかしみを自
然とあらはす さすが妙文百たび千度(たび)くりかへして あく事しらぬおもしろみは またこれ常のよみ本とは格
別ちがふ智恵かゞみ かならずよませ給へといふ
『青砥藤綱摸凌案』初編五冊 二編五冊
青砥左衛門 最明寺の眼代として評定衆の一位となり 仁政を施し邪正を正し 明徳慈善をすゝむる物語なり
『稲妻表紙』 全六巻 山東京伝作
稲妻のはじまり 見たり不破の関その句を以て思ひよる不破と名古屋の物がたり 巻中新奇妙案の取り合はせよき趣
向なれば実にいなづまのきら/\しき草紙にこそ
『本朝粋菩提』前後十巻 山東京伝作
この書は稲妻の後編にて 名古屋小山三の復讐に一休大禅師の伝記をくわへ およそ天下老和尚の活法仏智力の道化
諸書より撰みもらす事なし
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『濡燕栖傘雨談』前後十巻 柳川重信画 墨川亭雪麿作 曲亭馬琴校合
傘(からかさ)にねぐらかそうよ濡燕といふ句によりて外題さへつけられたるはおもしろし 彼の京伝子の稲妻となら
べて見たらば 女中衆は名古屋ひきのぬれ燕ねぐらもかしてよろこばせん 此新板の愛敬は山東の山よりも墨川の川
に新らしく洗濯せしはなしならんか
『曠精奇談』 全五冊(作者画工記載なし)
『濡衣草紙』 全五冊 芍薬亭著
こは殊さらの珍説なりしが おしいかな焼失してすり巻世にすくなし
『昔語質屋庫』全本五巻 勝川春亭画 曲亭馬琴作
(説明文省略)
(29/75コマ)
『俊寬嶋物語』前編五冊 後編五冊 歌川豊広画 曲亭馬琴作
(説明文省略)
(32/75コマ)
『荘蝶翁再遊外記』全五巻 曲亭馬琴大人作
此書は前に流行(おこな)はるゝ夢想兵衛胡蝶物語の続編にして古今未発の妙論奇説 前板のおもしろきにまされるこ
と百増倍(以下略)
『芳薫功話好文士伝』初輯五冊 渓斎英泉画 為永春水作 第二-五輯 各五巻
(説明文省略)
<長編大巻之部>
(33/75コマ)
『小栗外伝』三編揃 全十八巻 葛飾北斎画 小枝繁大人著
説教祭文にまで名を呼ばるゝ小栗の判官 照天の姫の故事を新たに作りし物語なり
『更科草紙』三編揃 全十五巻 栗杖亭鬼卵作
勇婦更科姫のことより 山中鹿之助の伝 尼子家の興立 十勇士の奇談をおもしろくつゞる
『景清外伝』三編揃 全十五冊 歌川国直画 小枝繁作
悪七兵衛が少年よりの事をくわしくつゞりし奇談なり
『朝夷巡嶋記』初-六編 各五巻 七編 近刻
木曽殿 粟津の敗軍より巴御前の忠操貞烈 さもありけんと思はるゝ曲亭大人の筆力自在 和田の義盛の館に巴が自
害のいさましさ 実(げ)に義仲の胤を出生なしたる婦人はかくぞありけるならんと自然に見ゆ 愁歎遺憾 さてまた
巴の尼なんど世にいひ伝ふ 人口にも叶ひて其意を尽くされたる いつもながらの妙作をこゝに誉めるは 嗚呼(お
こ)なるべきか 必らずよませ給へといふ
『鎮西八郎為朝外伝弓張月』前・後・続・拾遺・残編 各六巻 全本三十巻
六条判官為義の八男冠者為朝 父の勘気をうけて九州に下り 菊地原田の人々を威伏して 鎮西八郎と称するをくわ
しくしるし 保元の乱に都へ登りて新院の御味方にぞくして 軍略を用ひられず無念の敗軍に猶大敵をくだき 後八
丈嶋にわたり琉球国へ渡海するの珍説 すべて故事を引き旧記により為朝一代の行状いさゝかももらす事なし 亦そ
の室しらぬひ姫の貞烈なんど尽しがたき美談多く 凡(およそ)よみ本の随一なるべし
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『水滸太平記』初-三編 各五巻 英泉画 岳亭作
太平記の中にして水滸伝になぞらふべきすぢを種となし 三十六人の勇士を出し すべて水滸伝のおもむきを太平記
にうつしたる丹誠の作といふべし
『俊傑神稲水滸伝』十五冊出来 岳亭作
これも盗賊の名をかりて水滸伝の風をうつしたるおもしろき作なり
『新田功臣録』 前後十巻 葛飾北斎画図 小枝繁老人作
『新田功臣録拾遺』全五冊 狂訓亭春水著 小枝繁老人作
此書は新田義興公の公達徳寿丸の生立ちより 南朝の天子に忠義の心ふかく 南帝一統の御世になさんとひそかに味
方をかたらふの信義 亦これを補佐まいらする功臣等が誠忠 或るは貞女節婦の百切千磨 軍師契中の才智 敵を敗
ぶるの◎詐(けいさく) 且左中将義貞朝臣の老臣篠塚伊賀の入道石乕が再身強勇を顕はし 義統(よしもと)を佐(た
す)くるの美談 万里小路藤房朝臣隠遁の後神仙となり 紫花真人とうよばれ給ふの神通 義統の災難を未然に察し
給ひてその一党を一旦仙境へかくれさせ 再度世にあらはして足利勢を切なびけ 南帝の快心なしたてまつるの奇軍
南朝追慕の物がたりなり
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『相馬将門総猿潜語』英泉画 瀬川如皐作 教訓亭校合 初-三編 各五巻
初編より後は教訓亭の門人なりし駒久柳魚が継作なり
将門の幼年にて愚かなりしより 其母北斗に祈り命を捨て将門を世に出さんとする節操 また其臣下となる伝 すべ
て発端の趣向希代におもしろし
『木曽義仲鼎臣録』渓斎英泉画 瀬川如皐著 為永/松亭両校合 初-四編 各五巻 五編 金刻
(説明文省略)
『伊勢新九郎大志伝』為永作 全十五冊 近刻
小田原北條宗(ママ)雲が京都を浪人して諸国武者修行の奇談なり
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『開巻驚奇侠客伝』英泉画 馬琴作 初-四集 各五巻
(説明文省略)
『近世説美少年録』馬琴編 初-四編 各五冊
(説明文省略)
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『大内興隆十杉伝』為永春水著 初-五集 各五巻 第六集 上帙下帙 各四巻
(説明文省略)
『双玉伝』歌川国直画 宮田南北著 全十五冊
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『尼子九牛七国士伝』為永春水/松亭金水合作 初集 五冊
『同 』第二編 柳川重信画 松亭金水作 全五冊
(説明文省略)
『南総里見八犬伝』柳川重信画図 曲亭馬琴編次 初輯 五巻
(説明文省略)
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『里見八犬伝』柳川重信画 曲亭馬琴著 二輯 五巻
(説明文省略)
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『里見八犬伝』柳川重信画図 曲亭馬琴編次 第三輯 全(空欄)冊
(説明文省略)
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『里見八犬伝』柳川重信画図 曲亭馬琴編次 第四編 全五巻
(説明文省略)
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『里見八犬伝』柳川重信画/渓斎英泉画 曲亭馬琴編次 第五編 全五巻
(説明文省略)
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『里見八犬伝』柳川重信画/渓斎英泉画 曲亭主人編次 第六輯 全六冊
(説明文省略)
(47/75コマ)
『里見八犬伝』柳川重信画 曲亭主人編次 第七輯 全七巻
(説明文省略)
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『里見八犬伝』柳川重信画 曲亭主人編次 第八輯 全十巻
(説明文省略)
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『里見八犬伝』二世柳川重信画 曲亭主人編次 第九輯 上帙六巻〈前名 柳川重山〉
(説明文省略)
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『里見八犬伝』柳川重信画 曲亭翁編次 第九輯 中帙七巻
(説明文省略)
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『里見八犬伝』柳川重信画 曲亭主人編次 第九輯 下帙上五冊
(説明文省略)
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『里見八犬伝』柳川重信画 曲亭主人編次 第九輯 下帙中五冊
(説明文省略)
<時代物の部>
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『小野小町一代記』 全六冊
『安倍仲麿輪廻物語』全五冊 これは安倍仲麿入唐しての奇談なり
『絵本菅原実記』 前後十五冊
『絵本玉藻談』 全五冊
これは玉山先生の画作にして三国の人物こと/\くその趣きを尽されたり
『絵本三国妖婦伝 三編揃十五冊
前書に同じやうなれども玉藻前の事にいたりては この物がたりをよしとすべし
<奇談怪談の部>
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『英草紙』 全五冊 /『繁々夜話』 全五冊 /『秀句冊』全五冊
『御伽ぼうこ』全十冊 これは奇談怪だんの種本ともいふべきものがたり 古今の珍説を多くあつめたり
『遠山奇談』 全八冊 /『兎月物語』 全五冊〈『雨月物語』〉
『小夜あらし』全五冊 奇談怪談の実説を編輯したる艸紙にて 古今にあらざる書といふべし
『一二草』 全五冊 /
『凩草紙』 全五冊 この類ひの物がたりは数百部ありてなか/\記しつくされず わずかに其中の佳作をえらみて出せり
『著作堂一席話』近刻
曲亭馬琴翁七十余歳の長寿にて五十年来見聞せられし奇談珍説 また古今未発の高論なんどを弘くあつ 唯一席の物がたり
をいへどもいと面白っく これまでいづれの草紙にも似よらぬ新奇妙談多し いはでも知れたる事ながら 名にしおふたる
著作堂の拍掌あらるゝ一席話発市を待つもわびしからんか
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『北越奇談』全六冊
『越後雪譜』前後 全六冊 山東翁柏樹著
この書は北越冬春のあいだ雪中の奇観なることをあつめ 居ながら霊山名所を視る 誠におもしろき珍書なり
『絵入読本田家茶話』全本五巻 大蔵永常集
そも/\此書は忠臣孝子義夫節婦の身の上を初として 古今の奇談を数百ヶ條あつめたり(以下略)
<高僧伝の類>
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『釈迦御一代図会』北斎老人為一画図
『聖徳太子伝図会』 六冊
『日蓮上人御一生記図会』前後十二巻 喜多川寛雪画図(説明文省略)
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『絵本一休譚』 前後十二巻 /『中将姫一代記』 全五冊
『熊谷蓮生一代記』全七冊 /『弘法大師御伝記』全五冊
『円光大師御伝記』全六冊 /『釈迦八相記』 全五冊
『日蓮上人御伝記』全五冊 /『親鸞上人絵詞伝』全三冊
『西行法師一代記』全六冊 /『廿四輩順拝図会』全十冊 玉山筆
<諸大人随筆之部>
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『今昔物語』 宇治大納言源隆国卿著 /『宇治拾遺物語』
『古今著聞集』全二十巻 /『集義和書』 熊沢了海著
『集義外書』 熊沢了海著 /『駿台雑話』全五巻 鳩巣先生著
『西行撰集抄』全六巻 /『閑田耕筆』全五巻
『閑田次筆』 全五巻
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『閑田文草』(空欄) /『閑田詠草』(空欄)
『近世奇人伝』全五巻 /『続奇人伝』 全五巻
『続奇人伝』 全五巻 /『為人抄』 全五冊
『東遊記』 前後十巻 橘南渓著 /『西遊記』 前後十巻 橘南渓著
『北窓瑣談』 前後八冊 橘南渓著 /『筆のまゝ』 全四冊 新井白蛾作
『猿著聞集』 全四巻 八島貞岡作
『新著聞集』 全六巻 /『雲根志』 三編揃十五巻 木内小繁著
『簑笠雨談』 全三巻 馬琴作 /『近世奇跡考』全五冊 京伝作
『燕石雑志』 全六冊 馬琴作
『骨董集』 前後六巻 京伝作 三編より五編まで追刻出来
そも/\京伝先生は戯作者中興の元祖にして 一代の著述あげてかぞえがたし 其中に此書は翁が年来の随筆にて 好古風雅
珍奇妙談かぎりなく 古への質素その時代を眼前に視るがごとし
『芳窓漫録』 全三冊
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『思斎漫録』(空欄) /『橘菴漫筆』前後十巻
『梅園雑話』 合巻二冊 /『尚古(ほご)ばさみ』全二冊
『伊豆日記』(空欄) /『七嶋日記』(空欄)
『閑窓筆記』 全二冊 /『俳家奇人譚』前後六冊
『萍花漫録』 全(空欄)
『擁書漫筆』 全四巻 高田友清著
松の屋大人の随筆はその風高くして俗には遠き書きぶりなれども よく/\これをよむ時はまた一際おもしろく おのづから
和学の道にもいたる書といふべし
『棟梁集』 全二冊 高田友清著 /『相馬日記』全四冊 同著
『冨士根元記』全二冊 同著
『萍のあと』 全二冊
こは近江より東に旅寝せし博学の阿闍梨が著したる随筆にして その文かざらずしておのづからに風調高きおもむき多し
随筆のなかにしては第一なるべし
『梧窓漫筆』 前後四巻 太田錦城先生著
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『梧波教諭』 前後四巻 太田錦城先生著 /『むぎこがし』全二冊 瀬川如皐作
『花街漫録』 全二冊 /『雑交記』 全二冊 馬琴著
『狂歌奇人譚』全六冊 /『広益俗説弁』全廿五冊
『還魂紙料』 全二冊 柳亭種彦著
『玄同放言』 前後六巻 曲亭馬琴編 第三編出来 (説明文省略)
『近代世事談』全五冊 誹林沾涼著(説明文省略)同二編 三編 各五冊ヅゝ近刻
『太平楽皇国性質』全二冊 木公亭金水著 (説明文省略)
<唐軍並諸記録>
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『周武王軍談』縮文略解画鈔 全五冊 (説明文省略)
『漢楚軍談』 前後全十巻 曲亭馬琴略文(説明文省略)
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『絵本通俗三国志』一編十冊ヅゝ 葛飾戴斗画 次編追々出来(説明文省略)
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『絵本西遊記』初編十巻 二編同 三編同 四遍同 全本四十巻にして満尾(説明文省略)
『水滸画伝』 初編二編十巻 曲亭馬琴訳 葛飾北斎画
そも/\水滸伝は小説中 第一の書なることはいはでもしるき妙作なり そをまた馬琴先生の筆削せられたれば 水滸伝注
解和釈の中にして この画本を第一とすべし
『水滸画伝』 三編五冊 高井蘭山補 北斎為一画 四編五冊 五編五冊 六編五冊 七編五冊
おひ/\次刻して百面こと/\く全本とならんとす 看官も精覧ありて 販元に丹誠の功を遂げさせ給へといふ
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『絵本国性爺忠義伝』前後二十三巻(説明文省略)
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『琉球軍記』 全十巻
『清俗奇聞』 全六巻 大明国亡びてのち当時の清朝の風俗をくわしくしるせし書なり
『唐土名勝図絵』全六冊 漢朝へわたりしよりも猶くわしく彼地のことを眼前に見るがごとし
『通俗俳聞録』 前後十二巻 六樹園大人訳 渓斎英泉画
唐土に公事明断奇談をあつめし誠に珍説といふ書なり
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『絵入読本外題鑑』後編 中本の部 一冊
これは近来児女童幼の愛翫し給ふ中形本の外題をこまやかに集め その本の中のことをあらまし記して そのおもむきをよ
く書わけたれば 人情ものを好ませ給ふ御方の便りとなること多くありて 過し日に読て忘れ給ひしことを思ひ出して楽し
みとなり 亦はいまだよみ給はぬ本の外題をも見出して 其品々を知りて求め給ふの調法のみならず以前によまれたる事を
他人にはなして聞かせらるゝの記憶となり あるひはなぐさみに中形本類(にんじようもの)を著作(つくり)てあそび給ふの
種本ともなり 亦は前編後編拾遺残編余興の類ひ 幾冊つゞき何さつものといふその数がくわしくおぼへられて 本屋へ御
注文の節のたよりとなり 遠国他国の御方より販元へ御用を仰せ遣はさるゝの見出し 御仕入のときの覚へ書のたすけと也
看官(ごけんぶつ)はいふに及ばず 売本貸本の御方にはなくてかなはぬ御懐中の小本なれば かならず御所持ありたきもの
なり 寛政年中より天保にいたるまで 江戸戯作者画工の名目その大略をしるす
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作 者 山東菴京伝 /式亭三馬 /立川焉馬 /振鷺亭主人 /咸(ママ)和亭鬼武
十返舎一九 /小枝繁
右はこと/\く故人となれり
作 者 曲亭馬琴 /為永春水 /松亭金水 /墨川亭雪麿 /瀧亭鯉丈
花笠文京 /文亭綾継 /山東京山 /柳亭種彦
右は当時こと/\く流行の先生なり この外二代目の人々また其風のかはりし大人または門弟の名目は後編
外題かゞみの末にくはしく出し申候
浮世絵師 歌川豊春 /歌川豊国 /歌川豊広 /歌川国安 /歌川国丸
歌川豊清 /柳川重信
右はいづれも名人の画先生なりしが惜しむべし故人となられたり
浮世絵師 葛飾為一老人 /歌川国貞 /蹄斎北馬 /二世柳川重信 /歌川国芳
歌川国直 /渓斎英泉
これは当時いづれも流行の画大人なり 尤も作者とかはりて画工の多き事 あげてかぞへがたし こゝには
絵入よみ本にてなじみの多さ人々のみしるせり 猶くわしくは作者画工の名目かゞみにのこらず出し奉入御
覧候
右之外題鑑こと/\く丹誠の選集に候得共 万々一記しもらしたる品これあり候はゞ 何卒板元の方へ御知らせ下され
たく奉願上候
東都撰者 文渓堂 岡田琴秀著述 /教訓亭 鷦鷯貞高補正〈為永春水〉
天保九戊戌年仲秋発行
江戸傭書 松亭主人金水浄書
仝志発行書林
京都 山城屋佐兵衛 /丸屋善兵衛 /大文字屋得五郎 /本屋宗七
大阪 河内屋茂兵衛 /河内屋長兵衛 /河内屋太助 /塩屋宇兵衛
伏見屋嘉兵衛 /秋田屋市五郎 /河内屋平七
江戸 岡田屋嘉七 /泉屋市兵衛 /小林新兵衛 /丁字屋平兵衛