デンマークEPAの報告書
多種化学物質過敏症、MCS Annex A - Annex H 情報源:Danish EPA / Environmental Project no. 988, 2005 Multiple Chemical Sensitivity, MCS Version 1.0 March 2005 http://www.mst.dk/udgiv/publications/2005/87-7614-548-4/html/helepubl_eng.htm 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2005年5月11日 報告書本文の日本語訳はここをクリックしてください。
Annex A MCSの定義のための提案概観(Interagency report, 1998)
Annex B 1991年NRCワークショップの3ワーキング・グループの勧告(Interagency report, 1998) 臨床評価ワーキング・グループ
曝露と機序ワーキング・グループ
疫学ワーキング・グループ
Annex C 1996年MCSの実験的研究に関するNIEHS会議の主要提案(Interagency report, 1998) 主要勧告:
Annex D MCS研究のための勧告リスト(Interagency report, 1998)
1 専門家委員会会合 2 化学物質と神経生物学的過敏性会合 3 環境労働衛生科学研究所/国立環境健康科学研究所会合 Annex E MCS関連公共活動1979年〜1996年(アメリカとカナダ)(from Hileman, 1991) 1979: ハワイ司法区のアメリカ地方裁判所はMCS障害に判決を下し、保健教育福祉省は、社会福祉障害手当てを個人に支給するよう命令した(Slocum vs. Califano)。 1984: MCSに関する研究を求めるカリフォルニア州の法案は州上下両院を通過したが、カリフォルニア医学協会によって反対され、州知事デュークマジアンは拒否権を行使した。 1985: カナダのオンタリオ州保健省によって作成された”環境過敏性障害に関する特別委員会報告書”はMCSに関する研究とMCS患者の支援を要求している。 1986: オレゴン州控訴裁判所は、MCSに罹った家具店の従業員に労災補償手当てを支払うよう命じた(Robinson vs. Saif Corp.)。 1987: アメリカ国立科学アカデミー(NAS)のワークショップは、基本的な提案の開発を確実なものとするために医学協会及び国立健康研究所の支援を得たMCSに関する研究を勧告している。環境科学毒物学に関するNAS理事会はこの勧告に対してなんら行動を起こしていない。 1987: カリフォルニア州控訴裁判所は、長期間PCBに曝露した結果、MCSになったことが判明した従業員に労災補償手当ての支給を認めた(Kyles vs. Workers' Compensation Appeals Board)。 1988: メリーランド州はR. Bascomによる化学物質過敏症研究に資金を提供した。 1988: アメリカ社会保障庁は障害決定のための同庁プログラム運用マニュアルにMCSに関する章を加えた。 1989: アシュフォードとミラーはニュージャージー州保健省のためにMCSに関する報告書を作成した。 1989: 上院に導入された屋内空気質法はMCSに目を向けた。 1989: オハイオ州控訴裁判所は、オハイオ公民権委員会によるMCS患者の従業員解雇に関する不法な雇用差別の認定を覆した(Kent State University vs. Ohio Civil Rights Commission)。 1990: カナダ健康福祉省は、MCS研究の優先度を決定し、MCS患者の健康上の必要を特定するために、MCSに関するワークショップを召集した。報告書は1991年に発行されている。 1990: ペンシルベニア州人権委員会は、一人のMCS患者に対し、殺虫剤の使用削減を含む調停措置をとった(Atkinson vs. Lincoln Realty)。 1990: 技術評価局は免疫毒物学研究の必要性に関する報告書の中にMCSの問題を含めることを拒否した。 1991: EPAの屋内空気部門の要求で、NASはMCSに関する専門家を招いてワークショップを開催し、研究勧告を出した。 1991: ATSDRの後援の下に労働環境診療所協会 Occupational and Environmental Clinics(AOEC)は状態の臨床学的側面に主に目を向けて会議を開催した。 1992: 住宅都市開発省は、公正住宅法修正及び1973年の社会復帰法の下に、合理的なサービスを求める障害としてMCSを認めた。 1992: 1993年度予算案策定で、議会は ATSDR に250,000ドル(約2,500万円)を ”化学物質過敏症/低濃度化学物質環境曝露ワークショップ” で使用するよう予算を付けた。 1994: ATSDR は化学物質過敏症の神経生物学的側面を検討するためにボルティモアで全国会議を開催した。 1995: ワシントン州は化学物質関連の病気の研究資金として150万ドル(約億5,000万円)を割り当てた。 1996: 国際化学物質安全プログラム(IPCS)によって組織されたワークショップがベルリンで開催された。参加者の多くはMCSという用語に替えて”突発性環境不耐症(idiopathic environmental intolerances(IEI))”という用語を推奨した(Interagency Report, 1998)。 Annex F デンマークMCS組織 デンマークMCS組織(1994年2月設立) 組織の主要な目的 (組織規約から)
病気について 多種化学物質過敏症はアレルギーとは異なり、皮膚や粘膜、又は血液中に抗体の痕跡を見ることはできない。従って、超過敏症( hypersensitivity)あるいは化学物質不耐症という用語の方がより適切である。 デンマークではその状態/病気は疾病として認知されておらず、それは多分、診断パラメータが欠如しているためである。従って、関連する保健行政当局に圧力をかけ、鼓舞するために、メディアによく知ってもらうことがこの患者グループにとって非常に重要である。 病気の特性と程度の大きさはデンマークでは調査されたことがない。しかし、アメリカの医師たちは北アメリカでは人口の約4%がこの病気にかかっていると推定している。大雑把に見積もれば、デンマークで、もし”適切に”曝露していれば、約200,000人が何らかの程度で症状(ひとつ又はそれ以上)を持っているということを意味する。 症状:疲労、目、鼻、喉の粘膜の痛み、頭痛、めまい、集中力欠如、記憶及び学習障害、呼吸障害、動悸、関節痛、鬱、そしおてもっと多くの症状(患者個人によって変化する)。 原因:我々の周囲の空気を経由して我々の粘膜に達し、”神経系に”激しい反応を作り出す化学物質。 これ等の物質の濃度は、しばしば、”正常”な人々が感じるよりもはるかに低い値である。 化学物質は、いわゆる自然な物質であることも、合成物質であることもありえる。 匂いと化学物質過敏症の症状を誘発することがあり得る日常の要素を例に挙げれば: タバコの煙、揚げ物の匂い、木の煙、香水、脱臭剤、髭剃りクリーム、粉石けんと軟化剤、新聞、宣伝用パンフレット、写真現像用機械、自己複写用紙、殺菌剤、など。 結果:臭いと化学物質過敏症になった人は、バスや列車、事務所、映画館、レストラン、医療ラボ、教会、図書館、公営水泳プール等、など、言い換えれば、人々が会い、匂いを交換し、誰が最もよく匂うかについて議論する場所の全てに存在する匂いに対して困難な状況に陥る。 多くの人にとって、上述の症状を持つということは社会的に隔絶されることを意味する。 デンマークMCS組織は、最善を尽くして、社会的に隔離された人々の代弁者として活動し、この疾病を持った人は全てこの組織に参加するよう呼びかけている。 我々の数が多ければ多いほど、我々の日々の問題をより良くより広く理解してもらうための活動を行いやすくなる。同時に、我々は、健康に関するシステムについての取り組みを広げることができる。 我々は、全てのレベルで理解し意志を通じ合える報道機関と協力することを待ち望んでいる。 敬意を表しつつ、組織を代表して フレミング オブリング (Flemming Obling) 詳細な情報を得るために組織に連絡したい場合には、あるいは、もし、あなたが我々の困難に関するコメントを受け取りたいならば、下記の人々に連絡いただければ幸いである。
Annex G デンマークMCS組織のメンバーによる記述の概要 ほとんどのメンバーは、疑惑の目で見られ精神病のように見なされることがいかに屈辱的であるかということを経験している。組織とそのメンバーは国際的な情報源からMCSに関する情報を入手している。しかし一般の開業医は、この病気の定義、診察の方法、そして治療について何も知らないのに、この情報を読むことを望まない。彼等は患者たちを病気に”憑かれた”ように見なしている。 組織はデンマークEPAに上述の出来事の顛末を記したいくつかの症例病歴を送っている。ドイツ北東部のロストク市アンビュランツの一人の医師がメンバーの一人をMCSであるとし、病気の多くの兆候はデンマークでさらに調査され治療されるべきであると診断した。しかし、再び、デンマークの専門家たちはその調査を行うことについて真剣ではなく、ドイツの環境病を専門とする医師によって処方された。彼等はそのような調査の必要性も方法も理解できなかった。 マーティン・シルベシュミット (Martin Silberschmidt) 2001年10月15日 Annex H ドイツ環境省と保健省のMCSに関する活動の概要 (from: Umweltsbundesamt fur Mensch und Umwelt, Dr. J. Durkop, Berlin, 2001) 原文(ドイツ語)をご覧ください。 http://www.mst.dk/udgiv/publications/2005/87-7614-548-4/html/helepubl_eng.htm |