有害物質を遺さない連合 2006年5月 報告書
人体汚染:ワシントン州民の体内化学物質の調査 エグゼクティブ・サマリーの紹介 情報源: Toxic-Free Legacy Coalition, May 2006 Pollution in People: A Study of Toxic Chemicals in Washingtonians http://pollutioninpeople.org/results/report/toc 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2006年5月26日 内容 ■エグゼクティブ・サマリー (原文) ■この調査について (原文) ■第1章 おもちゃからボディ・ローションまで:フタル酸エステル類、どこにでも存在する化学物質 (原文) ■第2章 燃焼の問題:人と野生生物中の有害難燃剤 (原文) ■第3章 重金属:一世紀前の古い話 (原文) ■第4章 防汚剤が消えない汚染を残す (原文) ■第5章 農薬に関するもっと安全な選択 (原文) ■第6章 残留する化学物質 (原文) ■第7章 我々を守れない法律、そしてもっと良い道 (原文) ■参照 (原文) ■付属1 資材及び方法 (原文) ■付属2 技術情報 (原文) ■有害物質を遺さない連合(Toxic-Free Legacy Coalition) について (原文) エグゼクティブ・サマリー 昨年、ワシントン州在住の10人が、有害物質を遺さない連合(Toxic-Free Legacy Coalition)による調査の一環として、髪の毛、血液、及び尿中の有害化学物質の存在をテストすることに同意した。有害物質を遺さない連合は、不十分な化学物質規制により及ぼされる潜在的な危害をもっと理解し、よりよい解決を図るために、どのような化学物質が我々の体内に入ってきており、そのレベルはどのくらいなのかを明確にしようとしてきた。 数十年間、土壌中、水中、大気中、そして堆積物中の有害化学物質がニュースで話題にされてきた。これらの化学物質は、30年前に禁止されたにもかかわらず、いまだに我々の土壌を汚染しているDDTのような農薬から、サケやシャチの体内に蓄積しているPCB類(ポリ塩化ビフェニール)及びPBDE類(ポリ臭素化ジフェニール・エーテル)までと広範である。 科学者らはこれらと同じ化学物質をヒトの体内にも見いだしている。我々が毎日使用しているコンピュータ、我々が運転する車、そして我々が料理に使うなべは、我々の家の中に、そして我々の体の中に有害化学物質を排出している。 我々は6つの化学物質グループをテストした。フタル酸エステル類、ポリ臭素化ジフェニール・エーテル類、重金属ヒ素・鉛・水銀、テフロン製造等に使われてる過フッ素化合物、農薬、そして、すでに禁止されているが残留性が高いPCB類とDDTである。我々の調査結果は、現在の規制の法体系の下で、消費者製品及び産業汚染物質からの有害化学物質が我々の全てを汚染し我々の健康を脅かしているということを明らかにした。 ■主な調査結果
テスト参加者は全て、少なくとも26種類、多ければ39種の有害化学物質を体内に持っていた。この汚染は、食物、日常生活における家庭内のほこり、パーソナルケア製品や消費者用電子機器、防汚処置をした家具などへの直接的な接触、そして汚染された土壌、大気及び水に由来するものである。多くの化学物質は分解せず、あるいは分解が非常に遅く、したがって人の体内と母乳中に蓄積する。 ある化学物質については、我々が見いだしたレベルは、不妊や学習障害など深刻な障害を引き起こす可能性があると信じられている値、あるいはそれに近い値であった。これらの障害の多くは、子どもの発達における重要な時点で化学物質に暴露することに起因し、一生涯のダメージを与えるものである。 水銀などいくつかの有害化学物質を廃止することですでにリーダーとなっているワシントン州は、最も安全な化学物質だけが消費者製品中、製造プロセス中、及び食品中で使用されることを確実にするという当たり前の化学物質政策を策定することにより、州民の健康を守るための措置を速やかにとるべきである。 グレゴリー州知事、州議会、及び州機関は下記の措置をとるべきである。 事実を報告せよ! 企業に対し、彼らが製造する又は製品中に使用する化学物質によって引き起こされる健康影響に関するデータを提出するよう要求せよ。企業はまたこの情報を公衆が入手できるよう公開しなくてはならない。 有害物質を廃止せよ! 子どもたちの知的発達にダメージを与え、生殖に有害であり、がんを引き起こし、又は体内に蓄積する可能性のある製品と化学物質の製造の廃止計画を速やかに策定せよ。 より安全な代替品に切り替よ! 企業が有害な化学物質をより安全な物質及び実施に切り替えるに当たり、要求、インセンティブ、及び技術的支援をもって、企業を支援せよ。 ■真の解決が出現しつつある 増大する科学的証拠と消費者の要求に対応して、より安全な化学物質と実施に切り替える企業がますます増えている。マイクロソフトはより安全なプラスチック容器・包装に切り替えた。医療業界は水銀とフタル酸エステル類の使用削減に踏み出した。キャンベル・スープ社のような食品会社は有害な農薬を使用しないで栽培する有機食物を販売している。 規制の面では、欧州連合は、テストを要求し、企業をより安全な物資とプロセスに移行させる先進的な化学物質政策を確立することによって道を切り開こうとしている(訳注:REACH)。 この調査結果は、がん、学習障害、及び不妊を引き起こす有害化学物質がすでに全てのワシントン州民の体内に存在しているらしいことを示している。有害物質を遺さない連合(Toxic-Free Legacy Coalition)は、グレゴリー州知事、州議会、及び州機関に対し、我々の消費者製品と食物が可能な限り最も安全な方法で作られるということを確実にするために、真の改革を行うことによって我々の州を健康な将来に導くよう要求する。 |