EHN 2016年12月13日
難燃剤と車のシート:まだ問題がある カーシートについての良いニュースと悪いニュース: 難燃剤は使われているが新たな報告によれば解決の兆しがある カラ・ウェスト(EHN) 情報源:Environmental Health News, December 13, 2016 Flame retardants and car seats: Still a thing. Good news, bad news for car seats: Flame retardants remain but a solution is on the horizon, according to new report By Kara West (EHN) http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/news/2016/dec/ flame-retardants-and-car-seats-still-a-thing 訳:安間 武(化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2016年12月23日 このページへのリンク http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ ehn_161213_Flame_retardants_and_car_seats.html ミシガン州エコロジー・センターからの新たな報告書によれば、難燃剤は、子どもへの火災安全の利益を示すデータはないにもかかわらず、車のシートに広く使われている。 難燃剤は発がん性物質、内分泌かく乱物質、そして発達毒性物質であるとみなされている。幼児と子どもは体がまだ発達中であり、多くの時間を車のシートの中で過ごすので、車内の埃や空気中の難燃剤の影響をうけやすい。 『子どものカーシート研究 2016年 (The Children's Car Seat Study 2016 )』の著者らは、今年の成果は以前の年に比べて改善が見られるが、まだ多くの懸念があると述べている。 特に有毒であると考えられている 1.2 トリス(1,3-ジクロロ-2-プロピル)リン酸塩(TDCPP)又は関連する難燃剤を含有するカーシートは初めて存在しなかった。しかし、難燃剤はテストされた 15 の全てのカーシートで見いだされ、臭素系難燃剤(一般的に残留性、生物蓄積性があり、しばしば有毒であり、時には発がん性がある)は、15 のカーシートのうち 13 に見出された。 さらに、いくつかの製造者は臭素系難燃剤のように有害性が知られているある難燃剤の使用を中止しているが、多くの代替物質の健康への影響は不明である。 難燃剤は、シート内部の緩衝材の中だけでなく、布製カーシートの布にも広く見いだされた。エコロジー・センターは、以前の年には布製カーシートをテストしていなかった。 しかし良いことは、2006年にテストを開始して以来初めて、鉛はどのカーシートからも検出されなかったことである。 また、難燃剤を全く使用しないカーシートが2017年には市場に出されるであろうと、この研究の著者ギリアン Z. ミラーは述べた。アッパベビーの メサ・ヘンリー・ カーシート(UPPABaby's Mesa Henry car seat)は、難燃剤の代わりに天然の耐火ウールを使用している。そのシートは連邦難燃性要求を満たしており、エコロジー・センターによるテストは難燃剤が使用されていないことを確認した。 ”我々の目標は、有害性の少ない製品を作るために会社が彼らの設計戦略と化学物質の選択を変えるよう後押しすることである。有害性の少ない製品を作る責任は会社にあり、アッパベビーはそれに応えた”とミラーは述べた。彼女は、難燃剤を使用しないアッパベビーのようなモデルは値段が少し高いことを認めた。 デューク大学ニコラス環境スクールの准教授ヒーサー・スタンプレトンは、彼女の研究の中で人間の難燃剤への暴露経路に現在焦点を当てている(訳注1)。彼女は今年、カーシートを含んで 1,400 の消費者製品をテストしたチームの一員であった。8月に Environmental Science & Technology に発表されたその研究もまた過去2年間で有害性の高いリン酸トリス(chlorinated tris)が減少していることを示した。 ミラーと同様スタンプレトンはカーシートだけでなく、難燃剤を使用せずに火災安全を可能とするその他の製品を期待している。”私は車のマットレスやその他の要素についてもっと心配している”と彼女は述べた。我々は他の多くの製品もまたよく監視する必要があると彼女は述べた。 エコロジー・センターの報告書は、化学物質(難燃剤)の状況にかかわらず、カーシートは極めて重要な安全装置であることを強調している。 ”両親は、激しい衝突から保護するよう適切に設置されたカーシートに子どもたちを座らせることが重要である”とエコロジー・センターの研究部長ジェフ・ゲラートは述べた。”しかし、有害化学物質の含有という点で、他より健康的なシートがいくつかある”。 もし子どものカーシートが古い又はこの報告書に十分には合致していないことに心配な両親は、何をすることができるか? ミラーは両親が取ることができるいくつかの簡単な行動を示した。 第一に、子どもがカ-シートで過ごす時間を最小にすることである。そのことは、シートがベビーカーに固定されている場合を含んで、シート中で昼寝させないことを意味する。次に、古典的な助言であるが、あなたと子どもの手をよく洗うことである。埃を通じて、また特に赤ちゃんは常に手を口の中に入れるので、手洗いは我々の体内入り込むすべての種類の有害物質を低減するのに有効である。最後に、ミラーが指摘したように車自身が多くの難燃剤を含んでいるので、できる限り頻繁に子どものカーシートとあなたの車に掃除機をかけることである。 過去10年間にエコロジー・センターによってテストが実施された 392 のカーシートの完全なデータベースは www.HealthyStuff.org で利用できる。 訳注1:デューク大学ヒーサー・ステイプルトンの研究 ・Nature News 2011年5月20日 白熱した問題 難燃剤化学物質は禁止されるべきか |