EHN 2013年2月6日
難燃剤、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)は 子どもの注意力とIQに影響するかもしれない 情報源:Environmental Health News, February 6, 2013 Flame retardants may affect a child's attention, IQ. By Lesliam Quiros-Alcala http://www.environmentalhealthnews.org/ehs/newscience/2012/11/ 2013-0205-prenatal-child-pbde-iq-attention-deficits/ オリジナル:Eskenazi, B, J Chevrier, SA Rauch, K Kogut, KG Harley, C Johnson, C Trujillo, A Sjodin and A Bradman. 2012. In utero and childhood polybrominated diphenyl ether (PBDE) exposures and neurodevelopment in the CHAMACOS study. Environmental Health Perspectives Feburuary 1, 2013 http://dx.doi.org/ 10.1289/ehp.1205597 訳:安間 武(化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2013年3月4日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_130206_Flame_retardants.html 現在進行中のカリフォルニアの研究によれば、胎児期と幼児期の難燃剤への曝露は、5歳と7歳の子どもの注意力、運動能力、及びIQ得点の低下をもたらすかもしれない。この研究結果は、アメリカの家庭で一般的に使用されているこれらの化学物質の増大する健康懸念にさらに追加されることになる。 この研究は、難燃剤とこれらの反応を比較する最大の研究であるという点で重要である。それはまた、出生前と出生後の両方の、学童年齢のポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)(訳注1)への曝露のを評価する最も包括的な研究である。動物実験は、生涯の早い時期でのPBDEへの曝露は、学習を阻害し、動作の発達を変更し、多動をもたらすかもしれないことを示している。人間では、出生前と出生後のPBDEへの曝露と神経発達障害との関連を報告した研究がいくつかある。 PBDEは、燃焼を遅延させ炎を抑制するために、布製品、家具、プラスチック及び電子機器中で歴史的に使用されている。それらは、化学的な結合ではなくて製品中に練りこまれているので、漏れ出して、埃、泥、堆積物のような粒子に付着する。 PBDEsは、環境中に残留し、人や動物の体内に数年間も蓄積することがある。PBDEsへの人間の曝露は、食物、空気、埃を通じて起きるかもしれない。 カリフォルニアでは、1970年代にこれらの難燃剤を多くの消費者製品中で使用することになる法律が通過した。カリフォルニアの子どもたちのPBDE測定レベルは、世界で最も高い。 この研究では、研究者等は妊娠中又は出産時の母親及び7歳の児童からの血液サンプル中の10種類のPBDEsを測定した。測定された化学物質の4つが曝露として合計され比較された。研究者等は、標準化されたテスト、面接、及びPBDE濃度と注意力持続時間、運動能力機能及び認識力との関係の調査を、5歳児323人と7歳児310人に実施した。母親と子どもたちは、カリフォルニア州サニラス渓谷の主にメキシコ系アメリカ人の家族の調査であるサリナス母子健康評価センター(CHAMACOS)縦断的出生コホートの一部である。 4種類のPBDEsが最も多く、検出された難燃剤の97%以上を占めていた。7歳の児童のこの4つの同類化合物の濃度は、妊娠中に測定された母親のレベルより3倍以上高かった。 母親と子どものPBDEsへの曝露が高ければ高いほど、子どもたちの推理力、話し言葉、及びIQテストの得点は低かった。例えば、PBDEの血中濃度が高い母親から生まれた7歳児は、低いPBDE濃度の母親から生まれた子どもに比べて話し言葉とIQが約6ポイント低かった。 PBDEsの血中濃度が高い母親から生まれた子どもはまた、注意欠陥多動症の注意力と多動に問題があると観察された。PBDEs と注意力動作との関連は、5歳児のテスト結果及び5歳児と7歳児についての母親の報告の中で見られた。 微細な運動調整力は両方の年令の児童について、同じようなパターンが見られた。 関連性は、研究者が精神年齢、子どもの数、教育、及び子どもの出産時体重を含むいくつかの要素について調整した後にも見られた。 この調査で測定されたPBDEsのいくつかは、アメリカでは既に廃止されているか、あるいは廃止されるものである。しかし難燃剤はいまだに人々の体内で検出されており、これらの長寿命の化学物質は古い製品から放出されているので、今後も健康を脅かし続けるかもしれない。 全体として、この結果は、妊婦や子どもを含む感受性の高い集団では、PBDE曝露を最小にすべきであることを示唆している。 訳注1:ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE) |