Ecology Center プレスリリース 2006年1月11日
車の内部に有害化学物質 高レベルで検出 新たな報告書 各社ランキングを発表 情報源:Ecology Center, Press Release on January 11, 2006 High Levels of Toxic Chemicals Found in Car Interiors, New Study Says Ecology Center: http://www.ecocenter.org オリジナル: Toxic at Any Speed: Chemicals in Cars & the Need for Safe Alternatives by Jeff Gearheart & Hans Posselt, January 2006 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2006年1月29日 太陽光の熱と紫外線が車内の毒性を悪化させ運転者と同乗者を危険に曝す。ボルボが最も毒性が低く、安全な代替物質の実現可能性を示している。他社もこの先例に従うことが望まれる。
【デトロイト、ミシガン州】 本日、エコロジーセンターによってこの種の調査としては初めての、自動車内装品から出る有毒物質への曝露に関する新たな報告書を発表した。難燃剤として使用されるポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)及び主に塩化ビニール(PVC)の可塑剤として使用される(新車臭の原因の一部でもある)フタル酸エステル類が、車内のダスト及び窓ガラスのフィルムサンプルから有害影響を生じる量で検出された。 運転者と同乗者はダストの吸入と接触を通じて曝露している。これらの化学物質のグループは、実動物験で先天性障害、学習障害、肝臓毒性、早産、早熟、その他深刻な健康問題と関連していることが示されている。 報告書 『どのスピードでも有毒:車内の化学物質と安全な代替物質の必要性』は、シートクッション、肘かけ、床カバー、電線絶縁材、その他自動車の内装品に使われる化学物質は、高温下ではより急速に空気中に放出されることを報告している。自動車の内部は360度全方位をガラス窓で囲まれているので、車内の温度は190度F(88度C)まで上昇することがありえる。さらに、太陽光からの紫外線曝露により化学物質は分解しやすい環境となり、PBDE 難燃剤はさらに危険になる。この調査によれば車内の太陽光曝露は家庭内や事務所に比べて5倍高い。 ”我々は最早、車内での安全をシートベルトやエアーバッグだけに頼ることはできない。我々の調査は自動車は化学反応槽であり、エンジンをかける前から既に有害物質が放出されている。これらの化学物質の安全な代替物は存在しており、それらを最初に開発した革新的な会社は消費者から報われるであろう”−と、この報告書の共著者であり、エコロジーセンターのクリーン・カー・キャンペーン指導者ジェフ・ギアハートは述べた。 エコロジーセンターは窓ガラスのフィルムとダストのサンプルを自動車大手11社の2000年〜2005年モデル車から収集した。ボルボ社はフタル酸エステル類が最も低く、ポリ臭化ジフェニルエーテル類(PBDEs)は2番目に低く、自動車産業界において車内空気質の観点からはリーディング・カンパニーであることを示した。ボルボ社はこれらの化学物質の使用を廃止するという確固とした方針を持っている。他の自動車メーカーらはPBDEsとフタル酸エステル類は特定の用途からは排除したと主張している。例えば、フォード社は、顧客が接触するかもしれない内装品からPBDEsを排除したと報告している。ホンダもまた、フタル酸エステル類を含むPVCを同社の車から排除したと報告している。テストを行ったその他の会社は、BMW、クライスラー、GM、ヒュンダイ、マルセデス、スバル、トヨタ、フォルクスワーゲンである。
同報告書はダスト及び窓ガラス・フィルムのサンプル中のPBDEs濃度は、以前の調査で示された家庭及び事務所のものより最高5倍高いことを見出した。平均的アメリカ人は毎日1.5時間以上自動車内で過ごし、これらの化学物質を吸い込んでいるので、車内は屋内空気汚染の重要な源である。EPAによれば、屋内空気汚染は現在、公衆の健康に対する上位5つの環境リスクのひとつである。 ヨーロッパと日本では、PBDEsやフタル酸エステル類のような有害化学物質をより安全な代替物質に置き換える方向への動きが始まっている。例えば欧州連合(EU)では、電気電子機器中のPBDEsの廃止を求める法案が2003年に通過した。その結果、アップル、デル、ヒューレット・パッカード、IBM、パナソニック、及びソニーは既に彼らの製品からPBDEsを排除している。欧州連合はまた、おもちゃ、子ども用品、及び化粧品中のフタル酸エステル類の廃止を求めており、その結果、それらの産業において同様に排除する取組をもたらしている。 日本では、日本自動車工業会(JAMA)が最近、フタル酸エステル類を含む多くの揮発性有機化学物質(VOCs)の空気中濃度を削減するための加盟各社による自主的合意を発表して、車内空気質の改善の方向にハンドルを切り替えた。揮発性有機化学物質(VOCs)としても知られるこれらの化学物質は、”新車臭”と呼ばれる臭いの原因である。いくつかの日本の自動車メーカーはその取組の結果としてこれらの化学物質の使用の削減の努力を示した。 ”ほとんどの人々は車はスモッグのような屋外大気汚染を引き起こすことについては知っていた。しかし、今、我々は車内の空気やダストを吸い込むことはもっと有害かもしれないということ知っている”−とギアハートは述べた。 連邦政府レベルでの立法化の代わりに、少なくとも9つの州(カリフォルニア、ハワイ、イリノイ、メーン、メリーランド、ミシガン、ニューヨーク、オレゴン、ワシントン)は、PBDEsのうち2つの最悪物質、ペンタBDE及びオクタBDEを禁止する法案を採択した。 さらに少なくとも6つのその他の州で、PBDEの廃止を自動車を含むデカPBDEの全ての用途にまで拡張するための既存の法律の改正とともに、追加的立法を検討中である。 新たな報告書は次の勧告を行っている。
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