Science Daily 2013年9月19日
バナナ農園はコスタリカのワニを汚染しているのか? 情報源:Science Daily, September 19, 2012 Are Banana Farms Contaminating Costa Rica's Crocs? http://www.sciencedaily.com/releases/2013/09/130919085807.htm オリジナル研究:Environmental Toxicology and Chemistry 18 SEP 2013 Pesticides in blood from spectacled caiman (Caiman crocodilus) downstream of banana plantations in Costa Rica Paul B.C. Grant1, Million B. Woudneh2, Peter S. Ross3,* DOI: 10.1002/etc.2358 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/etc.2358/abstract 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2013年11月11日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ScienceDaily/130919_Banana_Farms_Contaminating_Costa_Rica's_Crocs.html
”バナナ栽培はコスタリカにおける大きなビジネスであり、世界の10%にあたる年間180万トンを輸出していると見積もられている”と著者である南アフリカのステレンボシュ大学のポール・グラントは述べた。”コスタリカの北東部の気候はバナナ栽培に理想的であるが、バナナの主要栽培地域を流れるリオ・スエルテ川は、トートゥグェロ保護地域に流れ込んでいる”。 トートゥグェロは、中央アメリカで最も一般的なクロコダイル種のひとつであるメガネカイマンの生息地である。この淡水捕食者は、非常に適応能力があり、魚や甲殻類を食べ、大型のものは豚さえも食べる。 果物への世界の需要が増大しているので、中央アメリカ全体の農薬使用は過去20年間で2倍以上になっている。農薬使用の度合が世界第2位のコスタリカにおける汚染の問題は、環境条件と規制の緩い実施の結果である。 ”しばしば起きる豪雨は農園から農薬を洗い流して、汚染と作物への農薬の再散布という結果をもたらす”とグラントは述べている。”規制の適切な実施がないので、川の流れの近くでの空中散布や、川での散布機材の洗浄のような危険な実施もまた下流を汚染する”。 研究チームは、大人のカイマン(ワニ)14尾から血液サンプルを採取し、70種類の農薬について分析した。農薬使用の度合いが高い作物バナナ農園があるリオ・スエルテ川流域内のカイマンは、他の遠隔地のそれと比較して高度に農薬で汚染されていた。 カイマンの血液から検出された9種の農薬は、殺虫剤であることが特定された。それらのうち7種類は、残留性有機汚染物質(POPs)としてリストされているものであり、2011年のストックホルム条約の下に禁止されている。 ”バナナ農園の近くのカイマンは、体内の汚染濃度が高く体調がよくない”とグラントは言う。”このことは、どの農薬もカイマンに健康リスクを及ぼし、あるいは農薬が生息地とカイマンの食物供給を損ない、その結果この捕食者の健康を低下させていることを示唆している”。 食物連鎖の頂点にいる長寿のワニは、熱帯地域の農薬の運命(fate)の総合評価に寄与し、生態系全体の農薬による被害の指標とすることができる。 ”カイマンやその他の生物種は、遠方の国立野生生物保護地域内であろうと、上流のバナナ農園からの農薬に暴露されている”と、グラントは結論付けた。”バナナ農園は、コスタリカにとって経済的には重要かもしれないが、その水生態系の汚染は、規制基盤の整備と適切な施行の必要性をハイライトしている”。 記事のソース The above story is based on materials provided by Wiley, via EurekAlert!, a service of AAAS. Note: Materials may be edited for content and length. For further information, please contact the source cited above. Journal Reference: 1.Paul B.c. Grant, Million B. Woudneh, Peter S. Ross. Pesticides in blood from spectacled caiman (Caiman crocodilus) downstream of banana plantations in Costa Rica. Environmental Toxicology and Chemistry, September 2013 DOI: 10.1002/etc.2358 |