Ask Health News 2019年5月14日
食品添加物 E171 腸内細菌叢(そう)に 有害影響を及ぼす エンマ・コリーン 情報源:Ask Health News, May 14, 2019 Food Additive E171 Pose Harmful Effects on Gut Microbiota By Emma Colleen https://askhealthnews.com/3610/e171-gut-microbiota/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2019年5月30日 このページへのリンク http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/research/190514_Ask_Health_News_ Food_Additive_E171_Pose_Harmful_Effects_on_Gut_Microbiota.html 研究ベースのその発見は、二酸化チタン・ナノ粒子の食品添加物 E171 に関するものである。それは主に、食品産業及び医薬産業で白色剤として大量に使用されており、チューインガムやマヨネーズを含んで 900以上の食品中で見出される非常に一般的な食品添加物である。食品添加物 E171 は毎日、高い比率で多くの人々に摂取されている。 研究論文 『Impact of the Food Additive Titanium Dioxide (E171) on Gut Microbiota-Host Interaction (食品添加物二酸化チタン(E171)の腸内細菌叢−宿主の相互作用への影響)』 は 2019年4月12日にジャーナル Frontiers in Nutrition に発表された。 マウスで行われたその研究は、腸内にすむ細菌の大きな集まりであり、大腸がん(結腸直腸がん)や炎症性腸疾患(IBD)のような病気を誘発する腸内細菌叢(そう)(gut microbiota)(訳注1)に食品添加物 E171 の摂取が影響を与えることを示した。 同研究によれば、二酸化チタン(TiO2)は小腸や結腸では腸内細菌叢(そう)の構成に及ぼす影響は最小であるが、 生体内(インビボ)での TiO2 処理は細菌の代謝物の放出を変更することができ、またバイオフィルム(菌膜)(訳注2)生成を促進することにより、生体外(インビトロ)で共生細菌(腸内細菌)の空間的分布に影響を及ぼすことができることを発見した。BR> ”我々はまた、腸粘液層の重要な要素である結腸のムチン2番遺伝子(colonic mucin 2 genes)の発現が減り、ベータ・デ ィフェ ンシ(β-defensin)遺伝子の発現が増える、すなわち、 TiO2 が腸のホメオスタシス(恒常性)に著しく影響を及ぼすことを発見した”。 共主著者の非常勤講師ウォイチェフ・シュルザノスキーは、その研究はナノ粒子の毒性と安全性、並びに人間の体と環境に及ぼす影響を強調していると力説した。 彼は、”この研究の目的は、オーストラリア及び世界におけるナノ粒子の安全使用を確実にするための新たな標準と規制に関する議論を活気づけることである”と説明した。食品添加物 E171 は、医薬品、食品、衣料のような我々の日常生活の多くの分野で一般的に使用されているが、研究者らはこれらのナノ粒子の長期的な影響を明確に理解していない。 過去10年間で二酸化チタンの消費は途方もなく増大し、すでにいくつかの医学的症状と関係していることがわかっている。しかしその有害性についての十分な証拠はなく、食品添加物としてまだ承認されている。 これらのナノ粒子への増大する暴露は、痴呆、湿疹、がんの転移、喘息、自己免疫疾患、及び自閉症のような、いくつかの疾病を後々に誘発している。 ”食事組成が生理学及び健康に影響を及ぼすということは、よく確立されていることであるが、食品添加物の役割はほとんど理解されていない”と、シドニー大学薬学部非常勤講師であり、同大学シドニー・ナノ研究所のナノテクノロジーの専門家であるシュルザノスキーは述べた。 ”ナノ粒子への継続的な暴露は、腸内細菌叢の組成に影響を及ぼすという証拠が増大しており、また腸内細菌叢は我々の健康の門番なので、その機能のどのような変化も健康全体へ影響を及ぼす”。 彼はさらに次のように述べた。”この研究は、食品添加物 E171 (二酸化チタン)を含む食品の摂取は腸内の炎症とともに腸内細菌叢に影響をおよぼすという極めて重要な証拠を示しており、それらは炎症性腸疾患や大腸がんのような病気をもたらす”。 ”我々の研究は、二酸化チタンが腸内の細菌と相互作用し、その機能のあるものを損ない、そのことが病気の発症をもたらすかもしれないことを示した。我々は、その消費は食品規制当局によりもっと規制されるべきであると言っているのである”と、シドニー大学医学健康部門准教授で同大学チャールス・パーキンソン・センターの腸及び腸内細菌叢の健康への影響に関する免疫学専門家であるメシアは述べた。 共主著者准教授ローレンス・メシアは次のように述べた。”この研究はマウスの腸の健康への二酸化チタンの影響を調査し、二酸化チタンは腸内細菌叢の組成に変化を及ぼさなかったが、その代わり、それが細菌の活動に影響を与え、好ましくないバイオフィルム(菌膜)の形成を促進することを発見した”。 ”バイオフィルム”は、細菌がくっつき合って形成されるものであり、その形成は大腸がんのような疾病をもたらすことが報告されている”。 エマ・コリーン 彼女は大学で国際ビジネスを学んだが、彼女の専門家としての活動は多くが病院管理に関するものである。もちろん彼女は現在、健康に関する話題も対象としている。 訳注1:腸内細菌叢 訳注2:バイオフィルム(菌膜) 訳注:研究機関・消費者団体などによる二酸化チタンナノ粒子有害影響関連情報
訳注:当研究会が紹介した二酸化チタンナノ粒子有害影響関連情報」
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