訳注:アメリカ疾病管理予防センター(CDC)が2002年〜2003年に実施した二つの自閉症に関する 調査の結果をファクトシートとしてまとめ、2006年5月4日のMMWRレポートに発表したものである。
(MMWR: Morbidity and Mortality Weekly Report 罹患率/死亡率週刊報告)
自閉症は生涯の神経発達系障害であり、社会との対応やコミュニケーション、そして異常で類型的な行動の早期発現によって特徴付けられる。
■主要な調査結果:
- 全国健康インタビュー調査では学齢期の子どもの 1,000人の内 5.7人が、また、全国子ども健康調査では学齢期の子どもの 1,000人の内 5.5人が自閉症と診断された。
- これら二つの全国調査における親の回答の結果、2003年〜2004年には4 歳から 17歳までの子どもの内、少なくとも 30万人が自閉症であることが判明した。
- これらの結果は、他の手法を使った他の調査によって報告された範囲内であった。
- 両方の調査とも、男児は女児に比べて4倍、自閉症であると診断されていることを示した。
- 両方の調査とも、ヒスパニック系の子どもの自閉症であるとの診断は少ない。(しかし、このデータは過去の診断に関する親の報告に基づいているので、人種/民族による比率の違いは、症状の認識、診断、医療サービスの受け方などを反映している可能性を捨てきれない。)
- これらの調査からは、年齢による統計的な差異は認められない。
- この調査は自閉症と診断された子どもの数、及び自閉症児の家族に与える影響について有用な情報を提供しているが、自閉症の原因についてはどのような情報も提供していいない。
■調査の詳細:
- 両方の調査は同時期に行なわれた(2003年〜2004年)。
- 両方の調査とも、アメリカの4歳〜17歳までの施設に収容されていない子どもの全国的代表サンプルに基づいている。
- 両方の調査において、サンプル児童の親又は保護者は広い範囲の子どもの健康問題について質問された。
- 自閉症の有病率(prevalence)は、親に対し、”かつて医師又はその他のヘルスケアー供給者から子どもが自閉症であると言われたことがあるかどうか”と質問することによって推定した。
■追加情報:
二つの調査の有病率の推定が一貫していることは、親の自閉症についての報告が高い信頼性(又は再現性)を有していることを示している。
また、子どもが自閉症であるとの親の報告と、社会的及び行動的な懸念、及び特別な介護の必要性についての親の報告の間に高いレベルで一貫性があった。
- 全国子ども健康調査では、自分の子どもが自閉症であると報告した親の94%はまた、彼らの子どもたちは現在、医学的、行動的、又はその他の健康状態のための特別なサービスを必要としていると報告した。
- 全国子ども健康調査では、子どもの早期発達に関する一連の質問に対する親の回答に基づけば、自閉症と診断された4歳〜5歳の子どもの全てがまた、発達遅延であるか又はそのリスクを持っていると評価された。
- 全国健康インタビュー調査では、子どもが自閉症であると報告した親の83%はまた、彼らの子どもが、感情、行為、多動、及び/又は友達関係に問題があると報告した(自閉症であると報告されなかった子どもたちについては、わずか15%しかこれらの問題を持っていない)。
この報告書は自閉症ど診断された子どもの数について有用で信頼性のある情報を提供し、自閉症が家族に与える影響のあることについて示している。
アメリカ保健社会福祉省
参照:
CDC Press Briefing: CDC Releases Parent-Reported Estimates of Autism Prevalence, May 4, 2006
Autism Research Fact Sheet, May 4, 2006 (PDF 80 KB)
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