ピュー研究センター 2023年8月9日
なぜ一部のアメリカ人は気候変動に対する 緊急性を感じていないのか ![]() 詳細なインタビューにより、一部のアメリカ人は危機に関する表現が大げさ であると考えており、主張に対するさらなる懐疑をもたらしていることが判明 ![]() 著者:ジャンカルロ・パスクイーニ、アリソン・スペンサー、 アレック・タイソン、ケーリー・ファンク 情報源:Pew Research Center, August 9, 2023 Why Some Americans Do Not See Urgency on Climate Change In-depth interviews find some Americans consider crisis language overblown, leading to added skepticism of claims By Giancarlo Pasquini, Alison Spencer, Alec Tyson and Cary Funk https://www.pewresearch.org/science/2023/08/09/ why-some-americans-do-not-see-urgency-on-climate-change/ 抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2023年8月16日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_23/230809_PRC_ Why_Some_Americans_Do_Not_See_Urgency_on_Climate_Change.html どのように調査を行ったか(ここをクリックで表示/非表示)
地球の温度が上昇し続け、より激しい嵐や異常気象が発生する中、科学者たちは気候変動に対処するための緊急の行動を求めている。 しかし、一部のアメリカ人にとって気候変動は依然として優先順位が低く、国民の一部は気候変動が起こっていること自体を否定している。 気候変動への対応の緊急性が低いと考えている人々の見解をより深く理解するために、ピュー研究センターは、地球温暖化の証拠が存在しないと信じている人も含め、この考えを持つ米国の成人 32人に詳細なインタビューを実施した。気候変動に関する私たちの活動の多くとは異なり、これらのインタビューは米国の成人全員を代表するものではない。 むしろ、気候変動について最も懐疑的な人々の動機や見解について、より深い洞察を提供するように設計されている。 インタビューでは、気候変動を危機や差し迫った脅威と表現する言葉が多くの参加者から疑念を持たれていることが明らかになった。 危機に関する言葉遣い(レトリック)と参加者自身の信念や経験との間の乖離が、こうした主張をする人々の動機に対して疑問をひき起こし、疑惑と不信感をさらに深めた。 インタビュー対象者らは、気候情報の信頼できる情報源として全国ニュースメディアを広く拒否した。 彼らは、これらの報道機関が自分たちの意図に合った情報を提示していると見なしている。インタビュー対象者らは一般に、対象分野の専門知識があるため、気候変動について科学者からの意見を聞くことに対してより寛容であると表明した。それでも、参加者らは、自身の政治的傾向や研究資金提供者によって形成される可能性のある信念ではなく、科学者から事実に基づく発言を聞くことの重要性を強調した。 政策に関して、インタビュー対象者らは、大気や水質を含む環境の質を改善するための政府の取り組みに対して、特にこうした取り組みが地方レベルで行われている場合には、受け入れた。 この対話は、アメリカ人の気候変動に対する懸念のレベルに関係なく、環境保護をめぐる共通基盤の領域を強調している。 国を再生可能エネルギーに移行させることを目的とした措置に関して、インタビュー対象者らは、エネルギー移行において個人の自由と個人の選択を尊重することの重要性を強調した。 このテーマは、新しいガソリン車の生産中止などの政策に対する批判によって強調された。
全体として、アメリカ人の 46% が、地球温暖化の主な理由は人間の活動であると述べている。 対照的に、26% は温暖化は主に環境の自然なパターンによって引き起こされると述べ、さらに 14% は地球が温暖化しているという証拠はまったくないと考えている。 政策行動に関しては、アメリカ人の 37% が気候変動への対処が大統領と議会にとって最優先事項であるべきだと考えており、別の 34% は重要ではあるが優先順位は低いと答えている。対照的に、10人中約3人は、気候変動に対する行動はそれほど重要ではない(17%)か、または行うべきではない(11%)と答えている。 共和党は民主党よりも気候変動対策を優先する可能性がはるかに低いが、気候変動への取り組みに懐疑的な人々は両党の支持者らや人口構成グループ全体で見られる。 (アメリカ人が気候変動についてどう感じているかに関する調査データの概要については、ここをクリック。 気候変動の優先順位は低く、地球が主に人間活動によって温暖化しているとは考えていない 32人の成人への詳細なインタビューが、 2023年5月に中西部、山岳西部、南部、南西部、フロリダ沿岸部の 5つの地理的地域でピュー研究センターにより実施された。 参加者は、気候変動に対する見解に基づいて選ばれ、党派、イデオロギー、ジェンダー、教育などの特性を超えてインタビュー対象者らが幅広く混合されるようにした。 これら 32人のインタビューの分析は、対話全体で浮かび上がった共通のテーマに焦点を当てるように設計されている。 分析と引用は、気候変動対策を優先順位が低いと考える人々の見解や信念の背後にある「なぜ」をより深く探求することを目的としている。 これらのインタビュー全体の主なテーマは次のとおりである。 気候変動は地球の自然サイクルの一部であるという認識と危機主張に対する強い懐疑
インタビューを受けた 32人のほとんどは、気候危機の主張が誇張されていると認識しており、この大げさな言い回しの感覚を、そのような主張に対する精査の強化の必要性と結びつけていた。
参加者が挙げた最も一般的な不満のひとつは、人々が気候変動について緊急行動が必要な危機として語るやり方である。 多くの人は、こうした議論を聞くと、信じられないという反応を示し、そのような発言の背後にある動機をさらに精査するようになると述べた。 ある参加者はこう述べている。”警戒主義者(alarmist)/不必要に人に警告を出して心配させる人”は、一見意味がないと思われる非常に思い切った政策を求める傾向があるので、彼らが言っている他のことが信じられなくなる。” 男性、20代、中西部 別の人は、”個人的な観点から言えば、それが気候であろうと何であろうと、発言が大きすぎるとき…例えば、’世界は温暖化が進んでおり、我々は皆、地面にゴミを捨てるようなひどい人間なのだから、地球は 5年以内に滅亡するだろう’というような発言があったときだ”と語った。 ”それらのことを考えると、私は心配するどころか、その情報がどこから来たのか、そしてなぜこれほど大げさな表現で言うのか、他に良い言葉が見つからないのかと、懐疑的になる。”女性、30代、中西部 気候科学者らはその専門知識で高く評価されているが、潜在的に何らかの目的を持っているとも見なされている。 報道機関は気候情報の信頼できる情報源ではない 参加者は気候科学者への信頼を表明する一方、個人的な偏見を持っている人もいるかもしれないことも考慮した。 この問題について科学者からの意見を聞くことに対する寛容さは、メディアに対する彼らの見解とは対照的であった。 インタビュー対象者らのほとんどは、気候変動に関する情報に関して報道機関は信頼できないと述べた。
再生可能エネルギーと電気自動車の考え方 インタビュー対象者らは、この移行のペースと実用性についての懸念とともに、再生可能エネルギーの利用拡大に対するある程度の支持を表明した。 ある参加者は次のように説明した。”私たちは経済と生活を炭素ベースの燃料に大きく依存していると思う。 切り替えるには自分自身を不自由にする必要がある。 合理的にそうするには40年、50年かかるだろうから、2035年までにガソリン車を禁止するというのであれば、それは行き過ぎだと思う。” 男性、20代、中西部 参加者らは、再生可能エネルギーへの移行の一環として電気自動車(EV)の使用増加についてためらいを共有した。 電気自動車が環境に悪影響を及ぼしているのではないかと疑問視する人もいた。”過去 5 年間に行われた全てのことを考えると、良いことも悪いこともあると思うが、これらの人々はまたしても、電気自動車のエネルギーと枯渇する鉱物について誰も取り上げていない。 それは環境問題である。” 男性、50代、南西部 また、多くの人が自宅に充電するスペースがないなど、EV には物流上の課題があると考えている。”誰もがテスラを購入したり、自宅で車に電源を接続したり、率直に言って、 車の充電にお金を払い、追加の出費やライフスタイルへの追加の変更が発生する。” 女性、30代、中西部 個人の権利を侵害しない限り、政府の政策を支持; リサイクル、再利用を通じて環境を保護するための個人的な取り組み インタビュー対象者らは、気候変動対策に対する緊急性は低いと見ていたが、環境を支援し、自然の土地や水路を保護するための政府の取り組みには、特にこれらの取り組みが州および地方レベルで行われる場合には、寛容であると表明した。 また、リサイクルや廃棄物の制限などの分野における個人の行動も支援した。
気候変動に対してそれほど緊急性を感じていない人々は、地球の気候をどのように説明しているのか? 私たちが人々に気候変動についての見解を尋ねたところ、32人のインタビュー対象者らのほとんどが、地球が温暖化しているのは人間の活動ではなく、主に環境の自然なサイクルによるものであると説明した。 参加者は、現在起こっている自然のサイクルの証拠として、地球の温暖化と寒冷化の歴史を指摘して、自分たちの見解を支持することが多かった。 気候変動に影響を与える人間の役割は限られている理由として、自然のサイクルを重視することが挙げられている。 数人のインタビュー対象者らは、そもそも気候変動が起こっているのかどうかについて懐疑的であり、最も懐疑的なインタビュー対象者 2名は、気候変動は政治的利益のためだけに利用されたデマであると述べた。 インタビュー対象者らは、異常気象についても気候変動についてと同様の説明をした。 これらの出来事は多くの場合、地球の気候システムの自然な一部とみなされており、気候変動によって頻繁になったり、より深刻になったりするものではない。 気候変動は地球の自然周期によるものであり、人間の活動や開発による影響は限定的であるという考え インタビュー対象者らに共通した見解は、地球の気候の変化は地球が常に経験してきた自然のパターンによるものであるということであった。 この見解を持つ人々は、気候が変化しているとよく言ったが、現在の気候変動が自然なものである証拠として地球の周期の証拠を指摘した。 ”これは私がこれまで見てきた科学に基づく私の意見であるが、地球の研究を調べてみると、私たちは気候の山と谷を経験していることになる。 私たちは地球が創造されたときからそうしている。 私たちは今話しているように、それらのピークのひとつを通過している最中なのではないのか? そうではないと思いとどまる十分な証拠をまだ見たことがない。” 男性、50代、山岳西部 ”それは循環的だと信じている。 私がそう思う理由は、100年以上前に現在よりも高い記録的な高温があったからである。 そして、これは時間の経過とともに現れたり消えたりする、つまり循環である。” 女性、50代、フロリダ沿岸部 数人のインタビュー対象者らは、地球の自然な周期の証拠として、天候に関する自分の経験を挙げた。 ある女性はこう言った。 ”証拠があるとは思えない。 つまり、これまでの人生で何が変わったのかは分からない。 夏はそれほど暑くない。 それは何も変わらない。 …どこが変わったのか教えてほしい。 いずれにせよ、地球は継続的なサイクルを経ていると思う。 これは地球が経験した他のどの変化よりも劇的な変化だとは思わない。” 女性、40代、山岳西部 これらの回答に共通するテーマは、人間が気候変動に関与したとしても、その役割は小さいということであった。 そして、これらの変化は自然なことであるため、人間は気候変動を防ぐことはできない。 これらの説明は、人間が気候に対して果たしている役割を軽視し、地球の歴史を通じて起こってきた温暖化と寒冷化のパターンを強調した。 ”私が疑問に思っているのは、変化の原因が何なのかということである。 私はそれが変化していると信じているが、常に起こる自然なサイクルの中で変化していると信じている。 私が信じていないのは、気候変動の責任は人間に100%あり、したがって人間は問題を 100%解決できるということである。” 男性、50代、山岳西部 ”気候変動が起こっていると思うが、この惑星の年齢は、何十億年ではないにしても何百万年かはわからないが、おそらくそれが周期を経ているだけだと思う。 おそらく人間にはごくごくわずかしか関与していないと思うが、それは私たちがコントロールできないことでもある。” 男性、40代、南西部 社会が気候変動に対処するための措置を講じるべきかどうかとの質問に対し、あるインタビュー対象者らは、この問題は人間のコントロールの外であることを強調し、次のように述べた。 ”措置を講じるかって? いや講じない、どのような措置をとることができるのか本当にわからないからである。 天気を変え、気候の反応を変えるために人々や社会ができることは何もないと思う。 それはすべて地球上のことであり、私たち人間や社会がそれを変えるためにできることは何もないと思う。” 女性、30代、フロリダ沿岸部 自然パターンの一部として見られる異常気象 異常気象の頻度と激しさは気候変動と関連している。 私たちの過去の調査では、異常気象を経験したアメリカ人の大多数が、気候変動が少なくとも少しは寄与していると述べていることがわった。 全国的な意見とは対照的に、これらの議論のインタビュー対象者らのほとんどは、異常気象が気候変動に関連しているとは考えていなかった。 代わりに、参加者らは異常気象現象を気候変動と同様の方法で説明した。すなわち、これらは地球が常に経験してきた自然現象である。 ある男性は、異常気象が現在ではそれほど頻繁に発生していないことの証拠として、過去に異常気象が起きたことを指摘した。 ”とんでもない数のハリケーンや干ばつ、吹雪などが急増していると思う。 しかし、歴史を振り返ってみると、太古の昔から重大な気象現象が起きてきたと思う。 それで、それらは今でも起こるのか? 起こる。 私たちが[それら]をより頻繁に起こさせているのか? そうではない。" 男性、50代、マウンテンウェスト 別の男性も同様の考えを表明し、こうした出来事は常に起こっているので、事態がさらに激しくなっているとは考えていないと説明した。 ”異常気象は太古の昔からあったと思う。 …ハリケーン、竜巻、その他すべてが発生した。 私は状況が悪化しているという事実を受け入れられない。” 男性、50代、フロリダ沿岸部 インタビュー対象者は、気候変動のために異常気象がより一般的になったというわけではないと答える傾向にあった。情報の入手が容易になったおかげで、これらの出来事はより頻繁に起こっているように見えるかもしれないが、実際にはそれほど頻繁ではないと言う人もいる。 ”ほぼ同じだと思う。 人々は何が起こっているのかを少しずつ認識できるようになったと思う。 たとえば、テキサス州ダラスで凍結が発生した場合、数秒以内にそれを知ることができる。 何かにログインするだけで、最新ニュースを見ることができる。。” 男性、40代、南西部 ある男性は、異常気象はそれほど頻繁になっていないと述べ、ハリケーンなどのいくつかの現象が毎年特定の季節に一貫して発生していることを指摘した。 "ハリケーンについて考えているのは、ハリケーンは常に同じような間隔で起こるということである。 それがさらに早くなっているとは思えないし、それがより一般的になっているとか、人為的気候変動と関係があると私を説得させるような記事や情報を読んだことがない。” 男性、20代、中西部 少数の人は地球が温暖化しているという証拠を何も見ておらず、気候変動はでっちあげだと考えている 最も懐疑的なインタビュー対象者(32人の中 2人)は、気候変動はまったくの誤りであると否定し、気候変動の議論は政治的動機に根ざしていると説明した。 ”気候変動はデマである。 それは政治家が人々に信じてもらいたいことだ。 そして、もし彼らが人々の教育においてそれについて何かしたいのであれば、統計的で実際のデータをきちんとまとめて、気候変動と環境変化が私たち人間にどのような影響を与えているかを示してほしい。 女性、50代、フロリダ沿岸部 ”それはデマだと思う。 それは冗談だと思う。 つまり、先ほども言ったように、それは徹底的に政治化されていると思う。 わからない。 考えてみると、人々はとても無知でだまされやすいというのは、ちょっと面白い。” 女性、40代、山岳西部 気候変動に対する緊急性をそれほど高くないと考えている人々は、行動喚起(calls to action)をどのように解釈しているのか? インタビュー対象者の多くは、気候変動がもたらす壊滅的な影響の可能性について他の人が述べているのを聞くと、気候変動が実際に懸念すべきものなのかどうか懐疑的になったと説明した。 たとえば、気候変動が人命を脅かすという主張は、しばしば警戒主義者(alarmist)としてレッテルを貼られ、意図を押し進めるものとみなされた。 参加者は特に、政治家が気候変動を対処すべきテーマとして組み立てた場合にどのような利益が得られるかについて懐疑的だった。 人々に気候変動に対して行動を起こさせることを目的としたアプローチのひとつ(気候変動を危機として説明し、その潜在的な壊滅的な影響を強調すること)は、少なくとも一部の人々に逆効果をもたらしているようだ。 インタビュー対象者の何人かは、気候変動の悲惨な結果を強調するメッセージを見て、この問題についてさらに懐疑的に感じると述べた。 それは行動を促すどころか、より深い不信感を植え付けた。 気候変動に対する行動を促す人々がこの問題について議論するやり方に不満を表明したインタビュー対象者らは、証拠に裏付けられていないレベルの懸念を持って気候変動について語る人々がいると感じていた。 ある女性は、気候変動の将来の影響についての不確実性を強調した。 ”今後数年または数か月以内に大きな気候変動が起こるかどうかはわからない。 これはどちらかというと推測というか仮説のようなものなので、実際には長期的に何が起こるか誰も分からないのに、人々はそれを大騒ぎしているような気がする。 それは単なる推測、仮説に基づく事柄のようなものであるがが、誰も知らない。” 女性、30代、フロリダ沿岸部 気候に関する主張が誇張されているという認識が、より懐疑的な見方をもたらしたと述べた人もいる。 ”警戒主義者(alarmist)らは、一見意味が分からないような抜本的な政策を求める傾向があるので、彼らが言っている他のことが信じられない気持ちになる。男性、20代、中西部 ”個人的な観点から言えば、それが気候であろうと何であろうと、発言が大きすぎるとき…例えば、’世界は温暖化が進んでおり、我々は皆、地面にゴミを捨てるようなひどい人間なのだから、地球は 5年以内に滅亡するだろう’というような発言があったときだ。 それらのことを考えると、私は心配するどころか、その情報がどこから来たのか、そしてなぜこれほど大げさな表現で言うのか、他に良い言葉が見つからないのかと、懐疑的になる。” 女性、30代、中西部 地球が温暖化していることを認めている人もいたが、それでも一部の気候変動メッセージの緊急性と深刻さは極端なものとみなした。 ”だんだん暖かくなってきましたね? はい、でも私は我々が 30年以内に全員が死ぬとは思わない。 また、今後 10〜15 年以内に変更しようとしている政策の一部は、それほど思い切ったものではないと思う。 男性、30代、南部 ある男性は、政治家が警戒主義者(alarmist)的な見解を押し進めているのを見て、極端な見解が真実ではないという具体的な例を説明した。 ”私はジョン・ケリーや他の上院議員の 2009年の古い映像を見ていた。 彼らは、10年前の 2014年までに、2013年か2014年までに、世界には極地の氷床がひとつも残らないだろうと述べていた。 まあ、それは嘘なので、我々はそれを押し付けられたのだと思う。 …つまり、アメリカ国民は長い間騙されてきたのだ。” 男性、50代、南西部 選挙で選ばれた一部の疑わしい議員らの気候変動に関する主張は、政治的または財政的利益によって動機付けられているのではないかと疑う人もいる 一部のインタビュー対象者らは、選出された議員らが自らの政治的および財政的利益のために気候変動を重要なテーマとして推し進めていると述べた。 ”おそらく、政治的な理由が他に比べて大きいと思う。 …そして、太陽光発電、エネルギー効率、排出量、そしてこれらすべてのさまざまな制御因子に関して、その業界のこれらの分野で、それ以上ではないにしても、数十億ドルお金が儲かることも知っている。 10億ドル規模の産業、あるいはそれ以上の業界で自分のお金を得る可能性があるのであれば、何かのために戦うのは理にかなっている。 男性、40代、南西部 別の男性も同様の考えを表明し、気候変動が候補者の当選を助ける話題として利用されている例を挙げた。 ”(政治家は)そのようなことで人気や金銭的利益を得るために極端な見解を持っていると述べているのだと思う。 …来年には大統領選挙がある。 それが一つの重要な論点になると思う。 さて、上位 2名か 上位 3名になるべきだということに同意するかって? いいえ、しない。しかし、それは推進されるだろうし、その次の選択は、地球温暖化への寄与を制限するために国として何をするかにおいて重要な役割を果たすことになるだろう。” 男性、30代、南部 気候変動についてそれほど関心のない人々は、気候科学者や報道機関からの情報をどのように見ているか? 気候科学者らは、地球が温暖化しているという証拠と、気候変動が引き起こす可能性のある将来の影響についての予測をめぐる議論の中心にいる。 インタビュー対象者らは、気候科学者らの専門知識への敬意を表明する一方、彼らの動機を精査する必要性も提起した。 全体として、参加者らはニュースメディアよりも気候科学者からの意見をより寛容に受け入れた。ニュースメディアは偏見が多く信頼できないと考えられている。 気候科学者らを気候変動情報の信頼できる情報源と見なす人々は、情報源として信頼できる理由として、その専門知識と対象の知識を挙げた。 科学者らが気候変動に関する情報を発表することについてどう思うかと尋ねられると、ある女性は次のように答えた。 ”彼らがその分野の専門家であることを知っているので、私は前向きに感じる。 彼らはそれを専門としているので、普通の人が何かを言うよりも彼らの話を聞く。” 女性、40代、南部 しかし、多くの人にとって、科学者らへの信頼は絶対的なものではなかった。 ある男性は、偏見がなければ気候変動について科学者らの話に耳を傾けると述べ、専門家としての価値を強調した。 ”私は、評判の高い科学者や非政治的な科学者グループが世に出てきて、それが何であろうと唯一の声を上げてほしいと思っている。 良いところも、悪いところも受け入れる。 この分野の専門家ではない人々がそれについて話すのは聞きたくない。” 男性、50代、山岳西部 また、彼らの動機について疑問を提起しつつ、気候科学者らへの信頼には限界があると表明する者もいた。 これらの疑問は、彼らが気候変動に関する情報について完全に信頼していない理由として、科学者らの経済的または政治的偏見に焦点を当てていた。 ”私は多くの科学者らを十分信頼している。 私が懸念しているのは、科学がイデオロギーと遭遇するときである。 イデオロギー的な人がいれば、どちらにしても、統計は変更され得る。 科学は、あなたのイデオロギーのせいで、あなたが望む結果をもたらすように書かれる可能性がある。 私は科学に大きな自信を持っている。 私はイデオロギーに突き動かされている人々をあまり信頼しない。 …それはちょうど人々がある意図を推進しようとしているときである。 そのとき私は疑念を抱く。”男性、50代、フロリダ沿岸部 科学者をどれだけ信頼しているかと尋ねられたある男性は、次のように答えた。 ”相当な自信がある。 絶対的な自信かって? 多分そうではない。 相当な自信か? そうだ。彼らはそれを研究しているからである。 彼らは現場にいるのだ。 彼らはデータを知っている。 しかし同時に、彼らも人間だから、自分の研究に資金を提供している人に偏見を持つことになる。 彼らは、自分たちに餌を与えてくれる人の手を噛んで、政府機関が推し進めようとしているものと矛盾するデータを提供することを望まない。 彼らはかなりの自信を持っていると思うが、それでも懐疑的でなければならない。” 男性、30代、フロリダ沿岸部 科学出版物の分析によると、人間の活動が気候変動の主な原因であるということについて、気候科学者らの間で広く同意されていることが示されている。 しかし、インタビュー対象者の中には、科学界内の複数の意見についてバランスのとれた見解を得るために、さまざまな科学者の意見を聞きたいと述べた人もいた。 ”科学者らは物事に対して異なるアプローチを持っているため、他の[科学者ら]の意見も聞きたい。 彼らは異なる考え方を持っている。” 男性、50代、フロリダ沿岸部 別の男性は、科学界の複数の声のために、真実について混乱させられた。 ”科学者同士の距離がとても離れていて、’ああ、世界は燃え尽きてしまう’と言うようなグループもいる。 ’深部温度は上昇している’と言う一方で、’私たちはすでに冷える始めている’と言う別の側面もある。これ以上正反対のことはない。一体誰を信じればよいのか?” 男性、50代、南西部 全ての米国成人の気候科学者らへの信頼 2022年のピュー研究センターの調査では、アメリカ成人(U.S. adults)の 23%が、気候変動に関する完全かつ正確な情報を提供するとする気候科学者らをほとんど、あるいは全く(little or no)信頼していないと答えており、一方 同 22%は気候科学者らをある程度(some)信頼していると答えている。その対極にあるアメリカ成人の 54%が、気候科学者らからの情報を非常に(a great deal)、あるいはかなり(quite a bit)信頼していると答えている。
参加者らは伝統的なニュースメディアの情報の正確さについて深い不安を表明している 科学者からの意見を聞くことに対する寛容さは、インタビュー対象者らがニュースメディアについて語る様子とはまったく対照的であった。 参加者らは報道機関からの情報をはるかに軽視していた。 32人の参加者のほとんどは、メディアからの気候情報は偏っていて信頼できないと述べた。 報道機関は情報を正確に報道するという目標よりも利益を動機にしていると言う人もいる。 ある男性はこう言った。 ”ネットワークもラジオも新聞もテレビも、私に何かを伝えることでお金をもらっている。 そして、もし彼らが私の注意を引かないなら、彼らは報酬を受け取れない。 だから彼らは私の注意を引くために必要なことは何でもするであろう。 それで彼らは物事を引き延ばす。 過去にも、彼らは物語をでっち上げたり、必ずしも重要ではない何かを感じさせたりしたことがあると思う。 すべては自分の評価を上げて人々に見てもらうことなのである。” 男性、40代、南部 また、ニュースメディアが発信する情報は視聴者にアピールするために選択されているため、信頼できないと感じた人もいる。 ”どのような主流の報道機関にも必ず偏見があるだろう…彼らは皆、自分たちのマーケティング対象となる顧客ベースを推し進めようとしているという物語を持っている。 私は彼らが投稿するものを必ずしも信頼しているわけではない。” 男性、30代、フロリダ沿岸部 インタビュー対象者らは、報道機関の政治的傾向に関係なく、ニュースソースを信頼していないことを指摘した。 彼らにとって、ニュースソースは気候変動のテーマに関して信頼できる権威ではない。 ある男性は、データ分析に関する自身の仕事の経験を、これらの情報源に懐疑的な理由として挙げた。 ”メディアソースからの情報の場合、彼らが投稿する内容が信じがたいのは、意見記事の場合は事実として投稿することが多いからである。 … それはただのジャーナリストであり、その分野の専門家ではなく、”私たちはこう考えている”ということを伝えているだけにすぎない。そして、少なくとも私の本業においては、我々が見ることができることは誰もが知っている。 我々は統計を見ることができる。 我々はデータを見ることができる。 たとえそれが正しいものでなくても、特定のデータポイント(訳注:資料や計測や調査で引き出された実際の情報)に関する物語を提供することはできる。 したがって、私はどちらの側のメディアソースも絶対に信用しない。” 男性、40代、南西部 別の男性は、メディアにはどちらかというと偏見があり、極端だと思われる視点を特集しているため、そのことが彼のの関心を遠ざけていると語った。 ”もう本当に真の中間にいるメディア[報道機関]はほとんどない。 だから、耳を傾けなければならない、そして極端な人々がいると、話全体を真剣に聞きたくなくなるのである。」 男性、50代、フロリダ沿岸部 (以下、再生可能エネルギー、電気自動車、環境保護に関連する部分は割愛)
訳注:気候懐疑論 関連情報 |