ChemSec, 2021年12月9日
化学会社は、環境に対する確かな実績があると 売り込む一方で、危険な化学物質を密室で開発している 情報源:ChemSec, December 9, 2021 Chemical companies tout green credentials whilst developing hazardous chemicals behind closed doors https://chemsec.org/chemical-companies-tout-green-credentials- whilst-developing-hazardous-chemicals-behind-closed-doors/ 訳:安間 武(化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2021年12月月23日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_21/211209_ChemSec_Chemical_companies_ tout_green_credentials_whilst_developing_hazardous_chemicals_behind_closed_doors.html 【プレスリリース】世界中の化学企業は、危険な化学物質の大量生産の詳細を控えながら、より環境に優しく、より持続可能な製品を積極的に販売している。ケムセック(ChemSec)の化学企業ランキングが本日明らかにした。 ケムスコア(ChemScore)により、50 社中 38 社(76%)が自社の Web サイトでより環境に配慮した持続可能な製品を積極的に売り込んでいることが判明した。しかし、世界的な有害化学物質の生産に関する情報を公開している企業はなく、 50 社中 4 社(8%)だけが、既存の有害化学物質を段階的に廃止する計画を伴う公的戦略の証拠を示した。そして、すべての会社が危険なほど大量に有害化学物質を生産し続けている。 ケムスコア(ChemScore) は、環境への影響と有害化学物質の取り扱いに基づく世界最大の化学会社 50社の年間ランキングであり、持続可能な化学産業のベンチマークを設定している。これは、投資家がどの企業が強力な化学物質管理戦略を持っているか、どれが持っていないかを評価するのに役立つ。ランキングは、企業の有害化学物質ポートフォリオ(製品構成リスト)、より安全な化学物質と循環製品の開発、化学物質管理と会社の透明性、そして会社の論争、訴訟、規制への対応に基づいている。 資産管理会社のアビバ・インベスターズ(AvivaInvestors)のシニアアナリストであり Earth Pillar Leadであるユージェニー・マシューは、次のように述べている。”化学産業は著しい環境的負荷(environmental footprint)を及ぼしている。気候危機と世界的な生物多様性の壊滅的な衰退の時代に、投資家らは産業界が環境と人間の健康への影響を減らすことを期待している。投資家として我々は、解決と透明性の向上を提供することで、より持続可能な未来への移行をリードしている化学会社と、「通常のビジネス(business as usual)」に固執している化学会社を見極めるすることに熱心である。” レポートは次のことを明らかにしている
個々の順位と成績については、ChemSec Report 2021にある各社のカードをクリックすると分析結果の詳細を読むことができる。フィルターをかけて並び替え、分野毎の順位を見ることもできる。 どの会社が改善したか? あなたの業界で最高のパ成績を発揮しているのはどの会社か? CHEMSCORE 順位サマリー (全50社のスコア:Excel File) 76%の会社が、よりグリーンで、環境に優しく、持続可能な製品を彼らのウェブサイトで積極的に売り込んでいる。 しかし世界的な有害化学物質の製造に関する公的情報を表示している会社は0%である。
化学産業は 1兆ドル(約110兆円)規模のビジネスである。UNEP は、世界の化学産業の規模が 2017年に5兆ドル(550兆円)を超え、2030年までに2倍になると予測している。ケムスコア(ChemScore)で評価された 50 社の合計収益は 8,600億ドルを超えている。 ストアブランド(Storebrand Asset Management)の気候と環境の責任者である エミネ・イズシエルは、次のように述べている。”過去10年間、ESG 投資家(訳注:従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮する投資家投資)は主に気候変動と炭素排出に焦点を合わせてきた。しかし、これらの問題は分離されていない。持続可能な投資家の視点はより全体論的である。化学産業は巨大なエネルギー消費者であるだけでなく、それが生産する化学物質の多くは人間の健康と環境にも悪影響を及ぼす。同時に化学産業もイネーブラー(実現要因者)である。世界はそれが進歩的であり、現在の気候危機を解決するのを助けることを必要としている。” 合成の人工化学物質は現在、現代生活の恒久的な備品であり、製品を難燃性、防水性、または耐汚染性にするのに役立つ特性を備えている。その結果、世界中の人々が、マイクロプラスチックに含まれる PFAS(パー及びポリフルオロアルキル物質、「永久化学物質」としても知られる)から食料生産に使用される HHPs(highly hazardous pesticides 非常に危険な農薬)まで、測定可能なレベルの数百の有害化学物質を体内に取り込んでいることが分かった。 科学者たちは、欧諸国の男性は40年前の半分の精子しか生産していないという事実と有害化学物質にさらされたということを結び付けた。また研究によると、有害な化学物質にさらされると、少女は思春期に早く入り、後年に乳がんになるリスクが高まる。 危険な化学物質も地球全体に大量に放出され、自然や野生生物に蓄積し、脆弱な生態系を破壊する恐れがある。最近の南極への遠征では、南極の最も遠く離れた手付かずの生息地でさえ、マイクロプラスチック廃棄物と PFAS などの永続的な有害化学物質が発見された。 ケムセック(ChemSec)の上席ビジネスおよび投資家アドバイザーであるソーニャ・ハイダー は、次のように述べている。”ほとんど全ての主要な化学会社はグリーンな製品について主張しているが、有害な化学物質のポートフォリオ(製品リスト)を縮小する明確な戦略を持っている企業はほとんどない。化学産業界は毎年危険な化学物質を生産し続けており、これまで以上に緊急の環境危機と国際規制の強化にもかかわらず、持続可能な慣行を制定することができていない。化学物質は現代の日常生活に欠かせないものであるが、我々人間と生態系の健康はもはや結果論ではまされない。” ケムスコア(ChemScore)は化学会社に、人間の健康と環境への影響を減らすための 3つの推奨事項を提案する。
|