The Recycler 2019年3月7日
EU の新たな DecaBDE の規制値は高すぎる 情報源:The Recycler, March 7, 2019 New DecaBDE threshold “too high” https://www.therecycler.com/posts/new-decabde-threshold-too-high/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2019年3月9日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_19/ 190307_The_Recycler_New_DecaBDE_threshold_too_high.html 広範な NGOs (非政府組織)が、 DecaBDE のような有害な難燃剤の新たな濃度制限はまだ高すぎて、まるで汚染の許可書のようだと非難している。 つい先月、欧州理事会は、最近様々なプリンター用インクカートリッジの容器中に見いだされた臭化難燃剤 DecaBDE を含んで、残留性有機汚染物質(POPs)と呼ばれるものに関して規則を強化する暫定的な合意に達した(訳注1)。 新たな’非意図的微小汚染物質値’の閾値が DecaBDE だけでなく全ての BDEs の累積について 500mg/kg と設定された。 これは欧州議会で当初に提案されたものの半分であったが、Chemical Watch によれば NGOs によって推進されたレベルよりまだ”かなり高い”ものであった。 Health and Environment Alliance (HEAL)、Arnika Association、及び International POPs Elimination Network (IPEN) は、特にそれが効果をもたらすはずであったプラスチック製おもちゃにも適用されるこの新たな制限値を批判し、それを承認する欧州理事会と議会は”我々の子どもたちを残留性有機汚染物質による汚染のリスクにさらすことを容認することになる”と述べた。 上記 NGOs 3団体は 2018 年の研究を引用したが、それは19の異なる欧州諸国から集められたプラスチック製おもちゃを含んで、ラボでテストされた消費者製品の92%が BDE で汚染されており、それらは主にリサイクルされた電子廃棄物からの難燃剤に由来していることを発見した(訳注2)。 これは DecaBDE を含有することが知られている物品のリサイクルを明示的に禁止しているストックホルム条約の下における義務に違反している。IPEN の上席科学技術顧問ジョー・ディガンギによれば、”このことは来るべき締約国会議における論争の発端となる”。 ”有害化学物質を新たな製品にリサイクルすることは循環経済(circular economy)の概念全体を覆すものである”と HEAL のディレクターであるゲノン・ジェンセンは述べ、”これは、そのようなリサイクルをきっぱりやめるために欧州の意思決定者による強い行動を求めるものである。 BDEs とは無関係である”と続けた。 ジェンセンは、禁止された化学物質は甲状腺機能をかく乱することが知られているとともに、”子どもたちの注意欠陥障害の原因でありる”と付け加えた。 同 NGOs はまた、 BDEsのリサイクルによる汚染はリサイクル・プラスチックから作られる製品に、高い有害性を持つ物質のグループであるダイオキシン類をもたらすことがあり得ると主張した。 訳注1 Council of the EU Press release 19/02/2019 Persistent organic pollutants: Provisional agreement on the world's most dangerous pollutants 訳注2 16 October 2018 Press Release: European Study Exposing Toxic E-Waste Chemicals in Children’s Products Spurs Calls for Policy to End Recycling Exemptions for Hazardous Waste |