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米化学会 ES&T 2008年10月15日
ピレスロイドは カリフォルニア州の至るところの都市河川に存在する 情報源 ES&T Science News - October 15, 2008 http://pubs.acs.org/journals/esthag/news/ Pyrethroids are ubiquitous in California's urban streams Naomi Lubick http://pubs.acs.org/cgi-bin/sample.cgi/esthag/asap/html/es802697m.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2008年10月19日 カリフォルニア州の都市を流れる河川で感受性の高い甲殻類にとって有毒なレベルでこの農薬が出現している。この新たなデータによりカリフォルニア州はこの農薬の分類を見直そうとしている。 住宅所有者やビル管理者は、アリやその他の不快虫を退治しようと決めると、通常、合成ピレスロイド(訳注1)に着目する。都市環境でのこれらの農薬の広範な散布に関する調査報告は比較的少ないが、意図していなかった目標に対する副次的なダメージの懸念が高まっている。アメリカの広大な地域におけるこの農薬の都市での出現に関する初めての調査報告で、ES&T (DOI 10.1021/es801346g ) に発表されたデータは、農業や家庭で広く使用されているこの化学物質がカリフォルニア州の都市の河川の沈積物中に共通して存在することを確認した。 この情報は、カリフォルニア州のピレスロイド製品の再評価を実施しているまさににこの時にもたらされた。カリフォルニア州魚類鳥獣保護局、州水資源管理委員会、その他州立研究所などからの研究者による審議の一部として発表されたこの報告書の結果は、合成ピレスロイドのあるものは比較的高濃度で存在し、これらの都市生態系における最も感受性の高い生物に例外なく有毒であることを示している。 もともとは、除虫菊の天然ピレストリンにならって作られ、もっと有毒な有機リン系及びカーバメート系の殺虫剤の代替とすることが意図されていたこの合成ピレストロイドは時とともに少しずつ改変されてきたとアイオワ州立大学の昆虫毒物学者ジョーエル・コーツは述べている。それぞれの改変されたピレストロイドは幾分残留性が高くなっており、したがって潜在的に環境中での有毒性の懸念が高まっている。 コーツは、ピレスロイドは、魚類に非常に有毒であるが、この化学物質を直ぐに解毒する能力のある哺乳類や鳥類への有毒性は低いことが長年知られていた。ピレスロイドは比較的害が少ないという名声にかかわらず、水中堆積物にすむ生物やその他の昆虫に有害影響を与えることを示すデータが科学論文に出始めたのを受けて、カリフォルニア州は2006年にこれらの農薬を見直すことを決めた(たとえば、 Environ. Sci. Technol. 2005, DOI 10.1021/es0506354)。 ピレスロイドの中で最も毒性の強いもののひとつであるビフェントリン(訳注2)に関するカリフォルニア州の調査は、ビフェントリンが都市地域で最も一般的であり、最も高い濃度で存在することを明らかにした。ピレスロイドは、ロサンゼルス、サンディエゴ、及び高度に農業化された中央盆地の都市化された河川で最もしばしば検出されたが、カリフォルニアの都市化されていない、たとえば北海岸及びタホー湖などの地域でも見出された。 カリフォルニア州魚類鳥獣保護局のロバート・ホルメスに率いられて、研究者ら同州の8つの地域で30の都市河川を検証した。彼らは、8種のピレスロイド、30種の有機塩素系農薬、及び、より低い濃度でピレスロイドを有毒にするピペロニルブトキシド(PBO)(訳注3)に対して堆積物を分析した。 事前に閾値を決定した後、同チームは環境的に適切な温度で小さなエビ類がどのように反応するかを評価するために、自生の甲殻類(amphipod Hyalella azteca)を23度C及び15度Cで堆積物サンプルに暴露させた。研究者らは温度が低いほどピレスロイドは毒性が強まることを発見したが、それはこの農薬の都市部での散布のタイミングについて示唆を与えるものである。 カリフォルニア大学デービス校のドン・ウェストンの過去の研究は、温度が5度C下がるごとに、ピレスロイドの毒性は2倍になるということを示している。”彼らが温度感受性をチェックしたのはよいことであった”と、米国地質調査所(USGS)のキャサリン・クイビラは述べている。その分析はさらに、ピレスロイドが存在し、実際の有毒物質であることを確認したと彼女は述べている。 クイビラと米国地質調査所(USGS)の仲間は、今年の11月にフロリダ州タンパで開催される環境毒性化学会の北米会議でピレスロイド出現の全国的状況を発表する。同チームは、全米7市の都市河川の代表的部分のデータを発表する。 オクラホマ州立大学のジャソン・ベルデンと同僚らはホルメスと環境汚染部門の仲間のものと同様な結果を発表している(DOI 10.1016/j.envpol.2008.07.023)。これらはテキサス州のいくつかの都市河川の堆積物中のピレスロイドの出現と毒性を報告する最初のデータであろう。テキサスの気候やその他の条件はカリフォルニアのそれらを反映しているが、条件は国中で起きているピレスロイドの問題を示すのに十分異なっているとボルデンは述べている。 これらの問題はおそらく、農業地帯より都市の方が深刻であり、”あなたがアメリカで刈り込まれた庭を見つけるたびに、それらがこの問題が起こしていると考えてよい”と、南イリノイ大学カーボンデール校の水生毒物学者ミカエル J. リディは述べている。”農民は、彼の作物にピレスロイドを散布するために数千ドルを費やしているという事実をよく知っており、農業における使用を限定しようとしている”と彼はコメントしている。しかし、住宅所有者は農薬の慎重な使用に関してあまり訓練を受けているようには見えず、あるいは、その効果を高めようと過剰に散布しているかも知れない。 再評価に責任のあるカリフォルニア農薬規制局は、製造者を代表する組織であるピレスロイド・ワーキング・グループに家庭での使用と職業的使用の相違を検証するよう要請した。解決されるべき他の疑問には、生物利用能、水媒体のピレスロイドは堆積物媒体のそれと同様な毒性があるかどうか、そして、都市排水における固いコンクリート表面が演じる役割などが含まれる。 一方、カリフォルニアの見直しプロセスは米環境保護庁(EPA)が注目して報告を受けており、EPAは連邦レベルでピレスロイド製品の見直しを2010年までに完了させることを計画している。 訳注1:ピレスロイド関連情報 ・ピレスロイド/出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ・ピレスロイドとジエチルトルアミド ・環境保健クライテリア/テトラメトリン(合成ピレスロイド系殺虫剤) 訳注2:ビフェントリン関連情報 ・2007年厚労省審議会資料 ビフェントリン(案) ・ビフェントリン農薬抄録(農林水産消費安全技術センター) 訳注3:ピペロニルブトキシド関連情報 ・食品衛生情報blog (日本では失効:2004/7/1 ) |