Beyond Pesticides 2006年8月7日
EPA 農薬レビュー完了 我々の子ども達は少しは保護されるのか? 情報源:Beyond Pesticides Daily News, August 7, 2006 EPA Completes Pesticide Review- Are our Children Better Protected? http://www.beyondpesticides.org/news/daily_news_archive/2006/08_07_06.htm 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html 掲載日:2006年8月15日 2006年8月3日は、米環境保護庁(EPA)が家庭の芝生の殺虫から食物栽培に使用される農薬まで広く使用されている数千の農薬の安全性レビューを完了させるよう議会から指定された期日であった。1996年食品品質保護法(FQPA)はEPAに対し食物用農薬をレビューし再登録し、食物への残留が許容される濃度を、特に子ども達の脆弱性に留意して再評価することを求めている。このレビューは、胎児、幼児、及び子どものは発達神経系にダメージを与えることが知られている231種類の有機リン系及びカーボメイト系農薬を含んでいる。 食品品質保護法(FQPA)実施から10年経過して、EPAは、9,721種のうちの9,637種(99%)の許容値の再評価を完了し、3,200種の許容値取り消し、1,200種の許容値の修正、及び5,237種の許容値の安全性の確認を勧告した。登録プロセスでは、現在の全登録17,592種のうち4,400種近くの最終消費者用製品登録が取り消された。 同時に、EPAは過去20年以上続けられたレビューの後、非常に有毒な化学物質カルボフランの即座の登録取り消しを発表した。公衆の圧力及び有害性を示す圧倒的な科学的データによって、EPAは昨日(8月6日)、食品及び飲料水中のカルボフラン、農薬散布のリスク、及び散布された畑で暴露する鳥へのリスクには相当なリスクがあるという結論を発表した。FMC社により”Furadan”という名前で販売されているこの農薬は市場に残された最も有毒な農薬のひとつである。1967年の導入以来、その農薬のために数百万羽の鳥と野生生物が死んだ。カルボフランの決定に関する詳細参照。 それでは、我々の食物供給は安全となり子ども達は十分に保護されているのか? 有機リン系農薬と、子ども達の間で増えている神経行動障害のひとつである注意欠陥多動症(AD/HD)との関連を見てみるとそうではないということを示唆している。過去10年間の傾向は子ども達の間でADHDが急増していることを示している。1999年米神経健康一般外科報告は、学齢期の子どもは139万8千人(3%)から233万人(5%)がAD/HDであると報告している。2003年、米疾病管理予防センター(CDC)は4歳〜17歳の若者440万人がADHDに関連しており、そのうち学齢期の子どもの7.8%がADHDと両親に診断されていると報告している。 科学的研究が、小売業者の店舗や農業使用で見られるカルバリルのようなある一般的神経毒農薬への暴露がマウスやその他の対象おける有害な認識及び行動影響を関連付けている。ウイスコンシン大学の研究者であるウォーレン・ポーター博士による研究は、たとえ農薬暴露のレベルが低くても学習障害をもたらすことがあり得る内分泌かく乱作用を引き起こすことができるということを示した。『Nature Genetics』2003年3月号に発表された他の研究では、有機リン系農薬への暴露とADHDや湾岸戦争症候群等の神経学的障害との間の明確な遺伝子的関連を示した。2002年ピアレビュー研究では、グリフォサート(ラウンドアップ)に両親が暴露した子ども達は注意欠陥症及び多動症(ADD 及びADHD)の高い罹患率を示した。1995年/1956年、グリフォサートは非農業用途で活性成分として二番目に多く使用される農薬としてランク付けされ、家庭及び庭園で500万〜700万ポンド(2,300〜3,200トン)、商業用途で900万〜1,200ポンド(4,100〜5,400トン)が使用されている。 8月4日、米環境保護庁(EPA)の監察総監(OIG:Office of Inspector General 訳注:省庁内監査機関/参照:米国の行政評価について)は、『食品品質保護法の影響測定:課題と機会 Measuring the Impact of the Food Quality Protection Act: Challenges and Opportunities』と題する農薬プログラム部(OPP)の評価報告書を、EPAの農薬再評価期限に合わせて発行した。同レポートは、EPAは食品品質保護法(FQPA)の実施要求に関し、子ども達の健康リスクを削減するというよりは期限に間に合わせるための進捗を上げたということを指摘した。さらに、”農薬プログラム部(OPP)による手法は一般的に、環境又は人の健康について達成したことではなく、そこでとられた行動を示すものである”と述べている。 8月2日、ニューヨークタイムズ紙は、EPAのスタッフ科学者9000人を代表する連合の最近の行動に関して報道しているが、そこでは、化学物質について、”我々はEPAが科学の健全性(scientific integrity)と科学の妥当性(sound science)の原則に終始一貫せず、適切に結論をまとめる又は引き出していないことに懸念している”−としている。 EPAの科学者らはまた、EPA長官は故意に”農薬が胎児、幼児、及び子ども達の発達神経系にダメージを与えること”を無視していると非難し、EPAに対し有機リン系とカルバメート系農薬20種の登録抹消を要求している。2006年5月24日付EPA科学者による書簡参照。(訳注1) ”EPAの農薬プログラムは、化学会社が科学をでっち上げて公衆と環境を危険にさらすことを許している”−と、全国的な公益団体であるビヨンド・ペスティサイドの代表であるジェイ・フェルドマンは述べた。 ビヨンド・ペスティサイドとその他の環境及び公衆健康団体はEPAの農薬レビューにおける一連の欠陥を指摘し、一般的に用いられえる製品の安全性について疑いをさしはさんでいる。 EPAは、農薬登録改善法(Pesticide Registration Improvement Act (PRIA))に含まれる殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(Federal Insecticide, Fungicide, and Rodenticide Act (FIFRA))2004年修正に求められるように, 残りの47種の非食品用農薬登録の適格性の決定を2008年10月3日までに完了するよう計画している。 |