米EPA 10年越しの農薬レビュー
カルボフランのみ禁止 残りの32種の有機リン系農薬は使用可 議論あるアルジカルブの規制は遅れる 情報源:Los Angeles Times, August 4, 2006 EPA to Ban One Pesticide, Lets 32 Others Stay in Use It misses the deadline for a ruling on another controversial chemical in its 10-year review. http://www.latimes.com/news/printedition/asection/la-na-pesticides4aug04,1,2486187.story?ctrack=1&cset=true 抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年8月5日 2006年8月4日のロサンゼルス・タイムスによれば、10年越しの全ての農薬のレビューの期限が近づく中で、米環境保護局(EPA)は水を汚染し鳥類を死に至らしめることが示されているカルボフランの全面的使用禁止を計画しているが、カリフォルニア州で広く使用されているマラチオンを含む32種の他の農薬は継続して使用することを承認した。32種の他の農薬は全て有機リン系であり、がんや不妊、発達中の脳へのダメージとの関連が指摘されている。 1996年食品安全法の下に、米EPAは、子ども達へのリスク及び累積暴露の影響に焦点を当てた新たな安全指針を用いて農薬中の全活性成分231種を評価しなくてはならなかった。8月3日が同法による期限であったが、議論あるひとつの農薬、アルジカルブに関する決定はこの期限に間に合わなかった。 EPA及び他の連邦政府機関のある化学物質者らは、EPAは農薬メーカーの圧力に屈し、多くの化学物質の安全性レビューを急いだ。9,000人の連邦政府科学者、リスク管理者、及び関連する職員を代表する9つの組合の指導者らは、EPA長官ステファン・ジョンソンに対し有機リン系及びその他のいくつかの農薬を禁止するよう促した。 ジョンソン長官宛の5月の手紙で、彼らは、”科学的健全性と客観性の原則に違反”してEPAが危険性を評価する多くのステップを省略していると非難した。彼らはEPAが胎児や子どもへの適切に潜在的な神経学的影響を適切に評価しているのかどうか特に心配している。”農薬計画に関わる我々の仲間達は、農薬産業界と非常に密接に連携していると認識されているEPA当局及び現在は農薬及び農業会を代表する元EPA高官によって行使される政治的圧力によって包囲されていると感じている”−とその手紙は述べている。(訳注) 訳注: PEER プレスリリース 2006年5月25日/EPA の科学者らが係争中の農薬承認に反対 容認できない子どもたちへのリスク及び科学者らへの政治的圧力を非難(当研究会訳) 家庭でよく使われるダイアジノンやクロロピリホスを含む、アリやノミ、その他の害虫駆除用の他の17の農薬は議会により要求されたレビューによりすでに禁止されるか厳しく制限されている。 しかしEPAはアメリカで最も広く使用されている殺虫剤ひとつであるアルジカルブに関する決定は8月3日の期限に間に合わなかった。アルジカルブとカルボフランはともに他の殺虫剤グループのカーバメイト系であり、組合の指導者らによる手紙の中でも禁止するよう求められている。EPAはアルジカルブの決定は6週間以内に行い、4つのカーバメイト系殺虫剤は直ぐに決定が下されると述べている。 今週の初めに、EPAは種子の処理に用いられるリンデンの禁止を発表した。環境中及び人の体内に蓄積するリンデンはすでに52ヶ国で禁止されている。 カルボフランの禁止が60日間のパブリックコメントの後に最終的に決まれば、その禁止は主要な用途、アルファルファー、トウモロコシ、綿花、ジャガイモ、米などには直ぐに適用され、6つのマイナーな用途には4年間の猶予期間が与えられる。 |