インド科学環境センター(CSE) プレスリリース 2006年8月2日
清涼飲料水は依然として安全ではない 清涼飲料水中の農薬 インド全国調査 情報源:Centre for Science and Environment (CSE) Press Release, August 2, 2006 Soft Drinks Still Unsafe Nnationwide Study on Pesticide in Softdrinks http://www.cseindia.org/misc/cola-indepth/cola2006/cola_press2006.htm 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年8月7日
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2006年 CSE 調査は、12州にわたるコカコーラとペプシコーラの異なる製造工場から11の清涼飲料銘柄、57サンプルをテストした。この調査で全てのサンプルから残留農薬が検出された。それは全てのサンプルは3〜5種類の異なる農薬のカクテルであり、インド標準局(BIS)によって最終的に策定されながら未だに公式に発行されていないBIS基準より平均で24倍高い濃度であることが判明した。 いくつかのサンプルのレベルは、例えばコルカタ(カルカッタ)で購入したコカコーラは、致死性農薬リンデンについてBIS基準を140倍超えていた。同様にサーンで製造されたコカコーラのサンプルは神経毒農薬クロルピリホスを基準より200倍高く含んでいた。”我々は農薬は少量でも有毒であり我々の体を一生涯蝕むことを知っているので、これは明らかに受け入れることができない”−とCSEの代表スニタ・ナラインは述べている。
今回の調査は、2003年にサンプル調査を実施したのと同じ CSE の汚染監視研究所によって実施された。二つの清涼飲料水会社は、CSE の調査の正確さと研究所スタッフの能力が問題であると多くのことをあげつらったことが思い出される。そのことは報告書の中で合同議会委員会によって精査され暴露されている。合同議会委員会は2003年の CSE 調査の手法と結果について是認している。今回はさらに改善がなされた。第一に、研究所は現在、ISO 9001:2000 品質管理システムによって認証されている。第二に、研究所は高価で最新技術のガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)を使用して農薬の存在を確認した。”我々は完全に合同議会委員会(JPC)の指令に対応しており、調査結果には自信を持っている”−とCSE 副代表チャンドラ・ブースハンは述べた。 2003年には、デリーのサンプルの平均農薬残留は同じBIS基準の34倍であった。しかし今回、驚くべきことには、CSE はコルカタで購入した清涼飲料では52倍の残留農薬、ナイニタルとゴラクプールで購入したものは42倍を検出した。同様にムンバイで購入、サーンとナグプールで製造されたものは BIS 基準の34倍であった。 数値遊び ”安全性はまた、数値が高い低いだけではない”−とCSE 代表のナラインは説明する。清涼飲料会社は、残留農薬はわずかであり彼らの製品中で見出されるレベルは他の製品、例えばミルクやジュースに比べて低いから、彼らの製品は安全であると言う。しかし、これは科学的なごまかしである。農薬は微量でも有毒であり、もし我々が許容限界を超えて暴露すれば致死的である。言い換えれば、我々が食べる食物や飲む水を通じての暴露は安全な閾値以下に保たれなくてはならない。各製品の安全限界あるいは閾値は栄養−農薬のトレードオフとして規定されていることを念頭に置けば、ある値の残留はミルクやジュースのような栄養のための食品では許容できるが、炭酸飲料のような非栄養製品には許容できない。このことが、2003年の調査発表以来、CSE が政府に清涼飲料中の残留農薬安全レベルの基準を設定するよう要求してきた理由である。 ”これは重大な公衆健康のスキャンダルである”−とナラインは述べている。2004年2月の初めに、清涼飲料中の農薬の安全ではないレベルを確認しつつ、合同議会委員会(JPC)は政府に対し製品中のこれらの残留のための基準を設定するよう指示した。それ以来、インド標準局(BIS)は、その基準を審議するために内部の委員会の会合を20回以上開催した。二つの主要な清涼飲料会社を含む全ての利害関係者を交えての数ヶ月に及ぶデータ分析と討議の後、2005年10月、その基準は委員会によって最終決定された。2006年3月、委員会はその基準を確認するために再び会合を持った。しかしそれ以来、状況は変わらず、基準は最終決定されたが公式に発表されることはなかった。 最終基準は皮肉なことに健康家族福祉省によって反対されており、同省は実施するためにはもっと調査が必要であると主張している。同省は過去3年間に安全性懸念を検証するために次々に委員会や小委員会を立ち上げたがほとんど進展はない。明らかに”よい”科学は歪曲や障害の口実にはなりえない。”我々は、清涼飲料会社は当局の規制の下に入りたくないのでこの基準に強く反対していることを知っている”−と基準を設定するにあたっての全ての問題を世間に公表しているCSEは述べている。 これは、公衆の健康の問題であり、交渉ごとではない。我々の要求は単純であると CSE は述べている。政府は、特に子ども達によって消費される清涼飲料がチェックされ規制を受けることができるよう最終的な製品基準を公式に発表し、それを清涼飲料会社に義務付けなくてはならない。これ以上遅らせてはならない。これ以上手続きは要らない。我々は安全第一を真っ先に望む。 『隔週誌 Down To Earth』、『CSE報告書t』、記者会見説明資料、このプレスリリース及び関連する資料: http://www.cseindia.org/misc/cola-indepth/cola2006/cola-index.htm 関連者リスト
2006年CSE調査のハイライト
科学環境センター(CSE)は、公衆に科学、技術、環境及び開発に関する知識を公衆に広めることをめざす独立公益組織である。同センター1980年に設立された。 20年以上の間、CSEは我が国が直面する環境的課題についての意識を高めてきた。人々と地域が自分達で実施できる解決策を探索する。問題に向き合うために挑戦する。行動を起こすよう鼓舞する。人々と地域が自身で行動するための枠組みを作るよう政府に働きかける。 http://www.cseindia.org/index.html |