Beyond Pesticides 2006年6月28日
農薬暴露がパーキンソン病に関係
ハーバード大学公衆健康校の研究調査

情報源:Beyond Pesticides / Daily News, June 28, 2006
Study Finds Pesticide Exposure Associated With Parkinson’s Disease

http://www.beyondpesticides.org/news/daily.htm

抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2006年7月10日



 新たな研究調査が、農薬暴露はパーキンソン病のリスクを70%増やすことを見いだした。しかし、ハーバード大学公衆健康校(HSPH)によって実施されたこの研究調査は、アスベスト、石炭又は石材ダスト、化学物質、酸、又は溶剤のような他の環境汚染物質への暴露はパーキンソン病のどのようなリスクをも示さなかった。HSPH 研究調査は、アメリカがん協会によって1992年に開始された包括的な調査である”がん予防調査U栄養学コホート”からのデータを調査した。この調査の参加者に対しては2001年に追跡調査が実施された。HSPH の研究者らは追跡調査に回答した参加者らと連絡を取り、最終的に、HSPH 研究調査は1992年以降に発症し診断されたパーキンソン病について合計413症例を含んだ。

 ハーバード大学公衆健康校栄養学・疫学助教授アルベルト・アッシェリオによって率いられた研究チームはまた、栄養学コホートの基となった1992年の調査である”がん予防協会U死亡率調査”の結果をも調査した。

  2006年6月26日に ScienceDaily のウェブサイトに掲載されたこの研究調査についての記事によれば:

 農薬への暴露は、 男性5,203人(8.2 %)と女性2,661人(3.3 %)によって報告された。これらの暴露報告を年齢、性別、及びパーキンソン病のその他のリスク要素を調整した結果、農薬暴露のない人々に比べてパーキンソン病の発症率が70%高いことが判明した。暴露を報告している人々は女性より男性に多く、職業として農場、牧場、又は漁業労働者であり、ブルーカラー労働者であることが多いが、しかし、これらの要素はパーキンソン病のリスク増加の理由ではなく、また、男性と女性においても、また非農民と農民の場合も同様である。農民でない人々における農薬暴露とパーキンソン病の著しい関連は、家又は園芸での農薬使用定によって最もよく説明できる。

 HSPH 研究調査は、農薬暴露とパーキンソン病との関連に徹底的に光を当てた最初の調査研究であるという点で非常に意義深い。アッシェリオ博士は、”農薬暴露がパーキンソン病の高い発症率と関連することを示す最初の大規模なヒトの調査研究である”−と述べている。パーキンソン病のこのような劇的な増加は農薬が原因なのかどうか、またどの農薬が最もそれらしいのかについて正確なことを明らかにするために、もっと多くの研究が必要である。



化学物質問題市民研究会
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