Beyond Pesticides 2006年6月26日
中国は禁止されている農薬をスーパー青果物に使用
グリーンピースが香港での調査に基づき主張


情報源:Beyond Pesticides / Daily News, June 26, 2006
Greenpeace Alleges China Uses Banned Pesticides on Supermarket Produce
http://www.beyondpesticides.org/news/daily.htm

抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html
掲載日:2006年7月8日



 Foodtechnology.com によれば、環境団体グリーンピースは香港食品安全当局が中国大陸本土から輸入される果物や野菜に残留する農薬のテストの改善を行っていないと非難している。

 2005年11月〜2006年4月までの間に、グリーンピースは香港のスーパーマーケットで販売されている中国大陸本土からの輸入青果物から採取したサンプルの25%が禁止されている農薬によって汚染されていることを見つけたと述べた。

 テストされたトマトの70%以上から禁止されている農薬リンデンが検出され、ほとんど40%近くから3種以上の混合農薬が検出された。リンデンは、その有毒性と環境や人の体内での残留性のために、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)によって禁止されている。中国は2001年5月23日に同条約に署名しており、2004年8月13日に、”同条約は中華人民共和国の香港特別行政区及びマカオ特別行政区にも適用する”と明文化して批准している。

 禁止されている農薬で汚染された青果物が香港のスーパーマーケットで売られていたという事実は、中国は明らかに同条約に違反しているということを示している。グリーンピースによれば、このテスト結果は違法農薬が、中国の輸出青果物の多くが栽培されている広州農業地帯で広く使用されていることを示している。

 同条約で禁止されている化学物質は一般的に長距離移動する能力があり、移動してもその有害性を失わない。これらの有害で毒性が高い化学物質はまた、一般的に水中でも溶けず、したがってそれらは畑から川に流出し、最終的には海に流れ込み、そこで食物連鎖に蓄積する。

 中国はインドを除けば世界のどこよりも一人当たりの土地が少ないので、農場における生産性を最大にするという圧力が常にかかっている。したがって、農薬の使用が著しいが、化学物質の認可システムが弱く、農民の情報入手が十分ではないので、長年にわたりおびただしい農薬中毒を引き起こしている。

 中国のチンタオを拠点とする独立系食品分析試験場であるシノ・アナリチカ(Sino Analytica)のマネージャー、ジョン・チャップルは、どの野菜がどの農薬についてテストされたかによっては中国の青果物から残留農薬が検出されることはあり得ると述べている。しかしチャップルは、農民は違法な農薬をそうとは知らずに使用しているのではないかと信じている。

 農薬散布と収穫の間の期間についての勧告が地域によって異なり、指針が複雑であるとして、”中国の農民に対する情報システムが非常に不十分である”−と彼は述べた。

 グリーンピースは、香港に対してはスーパーマーケットで売られる青果物中の禁止農薬を検出するためのテスト手法を改善することを要求し、また中国政府には農民を教育し、違法な農薬の使用を禁止する法を強化するよう要求した。



化学物質問題市民研究会
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