Beyond Pesticides 2006年6月19日
農薬使用は男性のパーキンソン病のリスクを増大する 情報源:Beyond Pesticides / Daily News, June 19, 2006 Study Finds That Pesticide Use Increases Risk of Parkinson's in Men http://www.beyondpesticides.org/news/daily.htm 抄訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/index.html 掲載日:2006年6月22日 メイヨー・クリニック(訳注:アメリカの大きな医療団体 Mayo Clinic)の研究者らは、農業又はその他の目的での農薬使用は男性のパーキンソン病の発症リスクを高めるということを見つけた。女性は農薬に暴露してもパーキンソン病は増えない。農薬以外の家庭用又は産業用化学物質で男性又は女性のパーキンソン病に著しく関連しているものはない。この研究結果はジャーナル『ムーブメント・ディスオーダー』6月号に発表される。 ”これは、今までの研究で発見されたことを確認するものである。すなわち、除草剤、殺虫剤、及びその他の農薬への職業的又はその他の暴露はパーキンソン病のリスクを高める”−とメイヨー・クリニックの神経学者であり、今回の調査者であるジム・マラガノアは述べている。”我々が起きていると思うことは、農薬使用が男性の環境又は遺伝子構成における他のリスク要素と結合して、この病気を発症する閾値を越えることがあるということである。それとは対照的に、エストロゲン(女性ホルモン)は女性を農薬のこの有害影響から守るのかもしれない。” 調査者らは、メイヨー・クリニックの本拠地であるミネソタ州オルムステッド郡で1976年から1995年までの間にパーキンソン病を発症した全ての人々を特定した。パーキンソン病を持ったそれぞれの人々に対応し、パーキンソン病ではない同じくらいの年齢及び同じ性の人々が選ばれた。パーキンソン病患者 149人とパーキンソン病ではない 129人に対して電話インタビューを実施し、農業従事、非農業従事、又は趣味を通じての化学製品への暴露を評価した。調査者らは、これらのインタビューでは農薬への個人の正確な暴露レベル、又は暴露累積時間を確定することはできなかった。 全体として、パーキンソン病の男性は、そうでない人に比べて2.4倍、農薬暴露を受けているようである。一方、女性のパーキンソン病患者は男性患者に比べてはるかに農薬暴露が低かった。 メイヨー・クリニックによれば、この調査は、農薬及びそれ以外の化学物質とパーキンソン病のリスクについての以前の調査に矛盾する結果があったために実施された。この調査のための資金は国立健康研究所(NIH)からの二つの基金から出ている。 パーキンソン病はランダムに、又は遺伝子突然変異の結果として起きる一般的な神経系障害である。数多くの過去の研究がパーキンソン病と農薬及びその他の環境有害物質との関係を発見しているが、本調査はどのように遺伝的要素が関連に影響を与えているかを説明するものとして初めてのものである。農薬がパーキンソン病と関係あることの証拠については Beyond Pesticides の Daily News archives をご覧ください。 行動を起こせ:アメリカEPA長官ステファン・ジョンソンに手紙を書いて、EPAは農薬がパーキンソン病と関連することを示す科学的発見(ラボ及び疫学)について国民に警告する義務があるということを知らせよう。さらに、EPA担当官らに農薬のパーキンソン病との関連の見直しを大至急実施するよう督促しよう。 訳注(参考): パーキンソン病(ファイザー株式会社のウェブ) |