ES&T 2006年1月4月
EU、家庭用洗剤の界面活性剤のテスト方法を改定 詳細ラベル表示も必要 情報源:Environmental Science & Technology: Policy News, January 4, 2006 EU finalizes updated surfactant testing for home detergents The new law also calls for detailed product labels. http://pubs.acs.org/subscribe/journals/esthag-w/2006/jan/policy/mb_detergents.html 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年1月15日 ヨーロッパの店頭で現在売られている全ての合成洗剤は、各容器内に含まれる光沢剤、香料、そして保存剤を、その濃度に関係なく表示した新しいラベルが添付されている。これらの製品に洗浄能力を与える界面活性剤は、環境中に残留しないことを確実にするために、市場に出される前に広範な製造前テストを受けている。 5つのEU指令が1970年代から既に合成洗剤の生物分解性を規制している。新たな規制はこれらの指令に基づき、ひとつの文書にまとめられた。この規制はEU域内市場での取引を改善し、水生環境と消費者の健康を守るものである−とEUは述べている。 この規制は、全てのタイプの洗剤用界面活性剤に適用される。今までは、約10%の洗剤がこのテスト要求から除外されていたが、それは合意されたテスト手法が存在しなかったからである。除外されていたのは主に柔軟仕上げ及び皿洗い用洗剤に用いられるカチオン及び両性の界面活性剤であった。恐らく最も基本的な変更は、製造者に、界面活性剤の”究極の”好気性生物分解を証明することを求めている点である。このテストは、下水処理プラント中で起こるプロセスである界面活性剤中の有機炭素が二酸化炭素、水及びミネラル塩に完全に分解することを測定する。 この改正は、従来要求されていた、界面活性度が失われることで生じる界面活性剤の構造変化を測定するという緩やかな要求の”一次テスト”を置き換えるものである。界面活性剤にこのテストを求める背景は泡の形成を防ぐことである。製造者はこれらの製品を上市する前に政府の承認を求める必要はないが、要求があればデストデータをいつでも出せるようにしておかなくてはならない。 合成洗剤メーカーはまた、製品情報を表示するラベルを添付しなくてはならない。濃度に関係なく光沢剤、香料、そして保存剤を、そして重量で0.01%以上の濃度の香料成分を表示しなくてはならない。 欧州委員会(EC)が2002年にこの規制を最初に提案した時、界面活性剤業界はこのテストデータ要求に反対した。中小企業の事業家らはいまだにデータ収集要求は金がかかり過ぎ、つぶれる会社も出るのではないかと懸念している−と業界団体である欧州界面活性剤と有機中間体協議会のクリストファー・セーンは述べている。”ほとんどの界面活性剤はこの基準に合致するが、データの収集が大変である。データの品質は上がるが、それとともにコストも上がる。” この改正文書の中で、欧州委員会は2007年4月までに合成洗剤リン酸塩の環境への影響を報告すると言及している。既に実施中の科学的評価の結果を用いて、欧州委員会は、代替を含む、もっと厳しいリン酸塩規制を提案するかも知れない。欧州委員会はまた、究極の生物分解性テストを、リン酸塩類、ゼオライト類、及び香料などの非界面活性成分にまで拡張するかどうか、2009年4月までに報告するであろう。 規制改定文書は http://europa.eu.int/comm/enterprise/chemicals/detergents/index.htm にある。 マリア・バーク(MARIA BURKE) |