BAN プレス・リリース 2003年11月3日
イギリス ”汚染廃船の輸出取引は違法” 判決 米環境団体はブッシュ政権に 幽霊船を安全に米に引き取り、リサイクルするよう要求 情報源:BASEL ACTION NETWORK For Immediate Release, Washington, DC/London, UK, 3 November 2003 TOXIC SHIP EXPORT DEAL DECLARED ILLEGAL BY UK 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2003年11月20日
アメリカの環境団体及び船舶解体業界は、数ヶ月間、この許可に関する適切性と合法性について厳しい疑問を投げかけていた。 「我々は、この輸出取引は違法であり、危険で無謀な環境先例となると初めから言い続けてきた。大西洋を挟んだ米英両国政府は、環境団体がこの心得違いの企てに光を当て、大騒ぎして両国の法廷に訴え出るまで、国民の委託を預かる為政者としての責任をきちんと果たすこと避けようとしていた」とバーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)のジム・パケットは述べた。 バージニアに係留されている13隻の船は、アメリカ海運局(MARAD)の管轄下にある”幽霊艦隊”の一部であり、698トンのPCBs、1.402トンのアスベスト、3,300トンの廃燃料を積んでいる。そのうち4隻は現在、イギリスの造船所に向けて航行中である。 アメリカの仕事が海外に輸出されている 「ここバージニアで、我々は幽霊艦隊の船を安全にリサイクルする技術を持っている。これはブッシュ政権が国民を欺むこうとするもう一つの例だ。今度は、その試みは失敗し、汚染廃船は大西洋を渡ってつき返されることになるであろう。もしそうなるのなら、ブッシュ政権はそれれらの船が安全なリサイクル施設に直行し、何十年もジェームス川に居続けることがないことを保証しなくてはならない」とシエラ・クラブのバージニア支部長マイケル・タウンは述べた。 アメリカの何社かの船舶リサイクル業者は議会に対し、なぜ彼らのリサイクル契約への応札が無視されたのか問い質した。会計検査院は調査することに同意した。 イギリスには適切な解体施設がない 今回、その無効が宣言された許可には、廃棄物の輸入の許可だけでなく、取り扱う廃棄物の量を増やす許可も含んでいたが、その条件であった24エーカー(約96,000m2)の陸上解体施設など実際には存在していなかった。 環境団体の”地球の友 UK”、”バーゼル・アクション・ネットワーク”、”シエラ・クラブ”、及び、”アースジャスティス”は数週間にわたって、エーブル UK 社が約束した陸上解体施設など存在していなかったと訴え続けてきた。これらの団体はまた、陸上解体施設を建設するよう要求する許可など与えられていなかったと主張してきた。今、これらの主張は疑いなく事実が確認された。これらの団体はアメリカ及びイギリスで、このような不法な有毒物質の輸出の企てについて法的措置を講じていた。 裁判所が大西洋を挟む両国で調停 アメリカの判事はこれよりはるか以前に13隻のうち9隻については移動を禁じ、4隻については出航を許可する暫定的な判決を下していた。従って、アメリカ海運局(MARAD)は、全ての環境評価が行われる前には、これ以上の廃船を輸出しないことに同意していた。 一方、最初の4隻は北大西洋のどこかを航行中である。この4隻の運命が今後、どうなるのかは定かではない。しかしイギリスの海域に入る許可を持っていないので、アメリカに引き返すしかないであろう。 環境派たちは、この4隻のさ迷える船はできる限り早く、安全にアメリカに戻るべきであり、それには次の条件が満たされなければならないとしている。
アメリカの団体は、これらの船は、ブッシュ政権が環境基準や労働基準が十分でないインドや中国のような発展途上国に送ろうとしている150隻を超える腐食有毒物質積載船の有毒氷山の一角であるであることを懸念している。 「我々は、イギリスの会社との密室契約は、PCBs の輸出禁止を突破しようとする皮肉な試みである。この輸出計画を続けると主張することで、ブッシュ政権はこれらの船を行き場のない淵に留めおくという大問題を引き起こした。これらの船はアメリカの環境問題である。我々はアメリカでこの問題に対処すべきであり、対処することができる」とアメリカの団体を代表してアースジャスティスの弁護士、マーチン・ワグナーは述べた。 さらに詳細を知りたい方は下記から報告書全文をダウンロードしてください。 Needless Risk: The Bush Administration's Scheme to Export Toxic Waste Ships to Europe (不必要なリスク:ブッシュ政権の有毒廃船ヨーロッパ輸出計画) |