EPA 累積農薬のリスク評価法を新たに開発し
有機リン系農薬用の予備レポートを発行
情報源:EPA Headquarters Press Release 12/04/01 EPAは、有機リン系農薬の累積に関する予備的なリスク評価について発表するとともに、このリスク評価のために開発された手法について、科学者によるレビューと広範なパブリック・コメントを求めている。 これらのリスク評価技術により、EPAの農薬評価能力は格段に向上する。この新しい手法は過去5年間、科学者達によって十分に検討されており、食物、飲料水、及び居住に関連する使用による曝露を考慮して、多様な農薬への曝露に関する評価が可能となる。 パブリックコメントの期限は2002年3月8日である。 「累積農薬のリスク評価を実施するために科学的手法を開発し適用することは、EPAが農薬の安全性(訳注:危険性ではなく, 安全性 safetyと言っている所がミソ)を評価する上で、大きな前進である」と農薬及び毒物予防担当のステファン・L・ジョンソン副長官は述べた。さらに続けて「EPAはこれらの新しい手法を初めて採用するので、初期に評価される農薬については、必ずしも確固とした結論を出すことは出来ないかもしれない。EPAはこのリスク評価をより良いものに仕上げるために、十分に時間を掛けて、しっかりパブリックコメントが出ることを期待する。この種の分析によって農薬への曝露に対する理解が深まり、アメリカは、世界で最も安全で最も豊かな食糧供給国であり続けるであろう」と付け加えた。 今日12月4日、パブリック・コメントに出された予備レポートは、農薬類の一つのカテゴリーを精査するものである。有機リン系農薬のグループは化学的に似通っており、体内で同じように作用する。 EPAはすでに、この有機リン系農薬への曝露による危険性を大幅に削減するための措置を採っている。 予備的な累積リスク評価では、食物、飲料水、及び居住に関する使用を通じて31種の有機リン系農薬への曝露に対応している。居住に関する使用とは、家庭、学校、公共施設、ゴルフコース、公園、公衆衛生関連、及び人々が残留農薬に触れる恐れのある場所での農薬の使用のことである。 新手法では、異なる年齢のグループの曝露の危険性を評価し、国中の異なる場所と年間の異なる時期における曝露での特異性を考慮したものである。 EPAは、有機リン系農薬への曝露に関する最も現実的な推定値を得るために、食物中に見出される残留農薬の測定データ等、広範なデータを採用した。 EPAが、外部の科学者達にレビューを依頼し、必要な修正を加えるまでは、特定の評価について結論を出したり、又はこれを用いてリスク管理を行うのは時期早尚である。 EPAは以前に、個々の有機リン系農薬についてのリスク減少措置に関する立法を行い、そのリスク削減に顕著な成果を上げた。EPAはアメリカの食糧供給の全体的な安全性について自信を持っており、果物や野菜を十分に採った食事の重要性を強調している。 EPAの分析によれば、飲料水は農薬の危険性は少ない。ほとんどの屋内使用の有機リン系農薬は初期に採られたリスク削減措置により使用されなくなったが、未だ使用されているものについては再評価が必要である。 今日、発表された累積リスク評価は予備的なものである。この革新的な手法について、科学者のレビューやパブリック・コメントを得られるよう、EPAは科学的団体や関係者から指針、情報、さらには必要な修正案を求める努力を続けている。 EPAは、この予備的な評価法について下記2つの公聴会で説明する予定である。 1)概要説明会:1月15日 2)FIFRA 科学専門家委員会(SAP) :2月5-8日 詳細については、それぞれ下記ウェブサイトを参照のこと http://www.epa.gov/pesticides http://www.epa.gov/scipoly/sap SAPはレビューを行う専門家の委員会である。パブリックコメントとSAPのコメントを受けて、EPAは2002年8月までに累積リスク評価の改訂版を出す予定である。 予備的累積リスク評価の発表は、2002年8月までに食品中の農薬残留許容限界量の66%を再賦課するとする食品品質保護条例によって求められる法的な目標に沿った、重要なステップである。 予備的累積リスク評価に関する資料は http://www.epa.gov/pesticides で入手可能である。近く、EPAはこの評価を実施するために実際に使用したデータをウェブページに掲載する予定である。 訳者注 レイチェル・ニュースではアメリカ政府が予防原則(Precautionary Principle)を採用せず、企業に有利なリスク評価法を採用していることに対し、当ウェブサイトでも紹介している下記記事等で、痛烈に批判している。 #736 もう一度立ち上がろう−PBDEs(ポリ臭化ジフェニール・エーテル) #726 科学と予防原則と農薬 (訳:安間 武) |