IUCLID 5 2013年6月14日
欧州連合 バッテリー中の
カドミウムと水銀を禁止


情報源:IUCLID 5, June 14, 2013
EU Bans Cadmium and Mercury in Batteries
Posted by REACHSPOT-ER
http://reachspot.blogspot.jp/2013/06/new-eu-directive-bans-cadmium-and.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2013年6月25日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/Kaigai_13/130614_EU_Bans_Cad_and_Mercury_in_Batteries.html


 欧州連合理事会と欧州議会はバッテリーとアキュムレータに関する指令の改定について非公式な合意に達した。このニュース自体はREACHに関連しないが、興味深い。また、他のどこでも見かけるニュースではない。欧州連合理事会の常任委員会は本日、2013年6月5日の欧州議会との非公式な討議の結果を承認した。これらの討議は指令 2006/66/EC、特にバッテリーとアキュムレータに関するものである。

 討議の骨子は、代替が市場で利用可能になるにつれ、環境中に放出されるカドミウムと水銀の量の低減を図るということであった。カドミウムはヨーロッパではある製品中の成分として禁止されていることを思い起こせば、バッテリーや関連製品ということに関して特に驚くべきことではない。

 指令改定のための文言は、欧州委員会、欧州議会、及び欧州理事会間の二つの会合(trilogue)で交渉された。それは最終的には議会により公式に承認される必要があり、議会での投票は2013年9月に行われることが予想され、会議会での採択後、理事会で決定されることになる。

 新たな指令は、従来のカドミウム0.002%以上を含む小型バッテリーとアキュムレータの上市禁止を、コードレス電動工具での使用を意図したカドミウムを含む小型バッテリーとアキュムレータに拡張する。この禁止は2016年12月31日から適用される。(訳注1

 リサイクル産業と消費者が関連する代替技術を取り入れるのにまだ3年以上の期間がある。代替を見つけることは革新の機会である。(例えば、亜鉛負極バテリーは、ニッケル−カドミウムバッテリーに比べて有害性が低く、コストも安い)

 新たな指令はまた、(今まで免除されていた)重量で2%以下の水銀を含むボタン・セル(訳注2)の上市を禁止する。この上市禁止は指令発効21か月後に適用される。欧州委員会はボタンセルの補聴器のための代替の利用可能性に関して欧州議会と理事会に報告することになっている。それぞれの禁止が実施される前に市場に出ていたバッテリーとアキュムレータは、在庫品がなくなるまで市場で販売できる。

 指令は、欧州連合の官報に発表されてから20日後に発効する。EU加盟国はそれを国内法に導入するために18か月の期間が与えられる。

訳注:関連情報 
■Chemical Week June 6, 2013
EU to complete ban on cadmium and mercury in batteries
http://www.chemweek.com/regions/western_europe/EU-to-complete-ban-on-cadmium-and-mercury-in-batteries_52600.html

 欧州連合は、水銀とカドミウムについてバッテリーのある用途での使用を許していたバッテリー指令の免除を外す。この指令は、バッテリーとアキュムレータの環境への有害性を低減するために2006年に導入された。このバッテリー指令は、バッテリー中でのカドミウムと水銀の使用に関する特定の禁止を含むが、コードレス電動工具や低レベルの水銀を含むボタン・セルに対して免除が設けられていた。今回、これらの免除を外すことについて欧州議会と合意に達した。

■Chemical Watch 21 March 2013 / Europe
EP committee votes to ban cadmium in batteries
Envi also backs end to mercury use in button cells
http://chemicalwatch.com/14205/ep-committee-votes-to-ban-cadmium-in-batteries?q=cadmium%20AND%20batteries

   閣僚理事会(Coreper)の加盟国常任委員は、6月14日(金)午後、禁止を支持した。このことは、カドミウムは、2016年12月31日以降はコードレス電動工具での使用はもはや許されないことを意味する。一方、水銀禁止は、この指令の発効後21か月、2015年中頃に法律となる。
 禁止以前に市場に出ていたバッテリーは、在庫がなくなるまで市場で販売できる。
 欧州環境事務局(EEB)のゼロ・マーキュリー・キャンペーンのプロジェクト・マネージャであるエレーナ・リンベリディセッチモは次のように述べた。”水銀禁止の期日をすくなくともあと1年早くできたはずですが、EUと世界の市場へのメッセージは明らかです。EUでのこれらの製品の禁止は、中国のような大き輸出国が水銀を使用しない製品の製造に早急に切り替え、この分野での水銀使用を削減することにに役立つでしょう”。

 公式に議会により承認されるために投票が必要であるが、それは2013年9月の総会中に採択され、その後、形式的な承認が理事会により行われる。


訳注1ニッケル・カドミウム蓄電池(ウイキペディア)
 ニッケル・カドミウム蓄電池の出力特性は、モーターなどの大出力用途に適している。反面、自然放電が大きいため、時計など消費電力が小さく、また長期間稼働させ続ける機器には不向きである。
 含有するカドミウムが有害で廃棄時に環境へ悪影響を与える問題があること、容量が少ないこと、メモリー効果が顕著で管理が面倒なことなどから、ニッケル・水素充電池が広く使用されるようになってきたが、ガーデニング用ソーラーライトの普及により需要の減少に歯止めがかかったため沈静化した。

訳注2水銀電池(ウイキペディア)
 小型・軽量であり、写真機や小型映画用の撮影機・時計・補聴器等に使用されたが、環境汚染の問題から、1996年(平成8年)にアメリカ合衆国で禁止されたほか、多くの国で禁止され、現在はほとんど使用されていない。
 アルカリボタン電池は、2009年に無水銀化に成功、代替電池として使用されるようになる。

 


化学物質問題市民研究会
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