米国有機消費者協会(OCA)2014年
米農務省に
新たな遺伝子組み換え”エージェント・オレンジ”作物を
承認するなと伝えよう!


情報源:Organic Consumers Association (OCA), 2014
Tell the USDA: Don't Approve New GMO 'Agent Orange' Crops!
http://salsa3.salsalabs.com/o/50865/p/dia/action3/common/public/?action_KEY=8850

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2014年7月8日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/NGOs/OCA_2014_New_GMO_Agent_Orange_Crops..html


 エージェント・オレンジを覚えていますか? ベトナム戦争中にジャングルに枯葉剤をまき、食用作物を破壊するためにアメリカ軍により散布されたあの 2,4-D 調合剤です。

 もし、私たちが大量の2,4-D 除草剤に耐性を持つよう設計されたダウ・アグロサイエンスの新しい”“Enlist”という商品名のトウモロコシ及び大豆の遺伝子組み換え作物を承認する計画を止めるよう米農務省(USDA)を説得しなければ、米国のトウモロコシと大豆農家は、間もなく以前より多くのこの有害な除草剤を使用することになるでしょう。

 ”エージェント・オレンジ”作物を拒否するよう米農務省に要請する私たちの請願書(下記)に、どうぞ署名してください!

 がん、生殖問題、神経毒性及び自己免疫系障害を含む重大な健康問題が 2,4-D への暴露によりもたらされることを多くの証拠が示しています。そして、2,4-D は環境を荒廃させています。それは現在アメリカで、7番目に大きなダイオキシン汚染源であり、ダウは2番目に大きなダイオキシン汚染者です。

 米農務省の動植物健康検査サービス(APHIS)は、ダウの新たな 2,4-D 耐性作物が新たな”農薬の効かない雑草(superweeds)”の発展をスピードアップし、最終的にはもっと毒性の強い除草剤をもっと多く散布することを必要とするようになり、また標的外影響をももたらすであろうということを認めています。

 それなのに農務省は、ドラフト環境影響評価書(DEIS)をパブリック・コメント用に発表して(2014年1月3日)、この新たな遺伝子組み換え作物(GMO)を承認するであろうことを示唆しています。

 米国で栽培されるほとんどのトウモロコシと大豆は、モンサントのラウンドアップに耐性を持つように遺伝子組み換えが既に行われています(訳注1)。そして産業側のウェブサイトによれば、2,4-D はすでに、米国で3番目に最もよく使用されている除草剤になっています。

 しかし、もし農務省がこの新たな 2,4-D 耐性トウモロコシと大豆を承認すれば、2,4-D の使用は50倍増加すると見積もられています。

 化学会社にとって、遺伝子操作の除草剤耐性作物の大局観は、除草剤の使用を増やすということです。もし作物が除草剤耐性に操作されていなければ、農民は雑草だけに散布するよう注意しなくてはなりません。現在、2,4-D の使用は、作物が芽を出す前の、あるいは作物が収穫された後の畑の雑草を抑制することだけにほとんど限定されています。しかし遺伝子操作された 2,4-D 耐性作物は、その除草剤の見境のない使用を許すことになります。

 消費者にとって、私たちの食物が栽培される畑に散布するために使用される除草剤が、今度は私たちの食物に直接散布されるということを意味します。

 農務省はすでに、エージェント・オレンジ作物に反対するという45万以上のコメントを受けていますが、現在までのところ農務省は公衆のコメントを無視しています。

 モンサントの元ロビイストであるマイケル・テイラーが食品安全を統括する食品医薬品局(FDA)でも、物事はちっともよくありません。FDAに対して、新たな遺伝子操作食品の”上市前の義務的な体系的安全評価”を求める米国医師会(American Medical Association)の要求を無視して、食品医薬品局(FDA)はバイオテク会社が遺伝子操作食物は通常の食品と”物質的な相違”はないと言っている限り、見直しの実施はしません。

 昨年12月にダウは、食品医薬品局(FDA)がエージェント・オレンジ作物のための自主的な協議プロセスを終了して、ダウの 2,4-D 耐性作物の承認にめくら判を押したと発表しました。

 環境保護庁(EPA)は、2,4-D の拡大使用の影響を検証するために、エージェント・オレンジ作物の別のレビューを実施しています。しかし、食品医薬品局(FDA)は2012年に、この危険な化学物質を禁止すべき根拠として 2,4-D 暴露とがん及び出生障害とを関連付ける多くの研究を引用している天然資源防衛協議会(NRDC)の請願を拒否しました。

 どうぞ、この新たな2,4-D 耐性遺伝子組み換え作物を止めさせるために、今日、行動を起こしてください!

 下記から賛同署名ができます。
 http://salsa3.salsalabs.com/o/50865/p/dia/action3/common/public/?action_KEY=8850#sthash.oTqHC02I.dpuf

米国農務省
農務長官トマス・ジェイムズ・ヴィルサック 殿
件名:官報番号 APHIS-2013-0042
(訳注:Dow AgroSciences LLC; Environmental Impact Statement for Determination of Nonregulated Status of Herbicide Resistant Corn and Soybeans

 私たちは、除草剤 2,4-D の反復散布に耐えるよう設計されている遺伝子操作作物の新たな世代についての申請を拒否するよう、あなたに強く訴えるためにこの文書を書いています。

 簡単に言いますと、これらの除草剤耐性の種子はよくない考えです。これらを市場に出すことを許すことは、深刻な健康危害と関連する時代遅れで危険な除草剤の使用を促進することになるでしょう。 2,4-D は、がん、生殖毒性及び内分泌かく乱作用に関連しています。

 ラウンドアップレディ作物に関連してグリホサートの使用が劇的に増大したことは、2,4-D トウモロコシと大豆の広範な栽培が、これらの有害な除草剤の散布の急上昇を必然的にもたらすであろうことを私たちに告げています。

 2,4-D は、直接的に又は揮発を通じて、漂流することが知られているので、2,4-D 使用の増大は農業地域の経済と、これらの強力な化学物質の散布に耐えるようには遺伝子組操作がなされていない作物を栽培する農民に非常に現実的な脅威を及ぼします。従来の農民は作物を失い、有機農業家は作物と認証の両方を失うことになり、すでにストレスを受けている農業地域の経済的な混乱をもたらす結果となります。

 2,4-D 耐性作物は、同様なモンサントのラウンドアップレディ種子による近視眼的な農業経営アプローチに追従するものです。ラウンドアップレディ種子は、中西部から南部までの数百万エーカーの農地に問題を起こしているグリホサート耐性の”農薬の効かない雑草”の劇的な増大の原因です。もっと多くの農薬の効かない雑除と、もっと多くの汚染を農民にもたらす除草剤耐性作物の新たな世代を承認するという同じ誤りをどうぞ繰り返さないでください。

 私たちは、農務省がダウの 2,4-D 耐性種子の承認要請を拒否するよう強く訴え、また私たちは、農務省が雑草抑制のための安全でスマートな21世紀の環境にやさしいアプローチの研究と開発にもっと多くの注意を向けることを求めます。これらのアプローチは、来たるべき世代のために、公衆の健康を保護し、環境を保全し、アメリカの農民による持続可能な作物生産を確実なものにすることができます。



訳注1:ラウンドアップ
訳注:関連情報


化学物質問題市民研究会
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