欧州環境団体共同声明 2006年12月1日
REACH 妥協案 とうてい容認できず

情報源:Joint press release, 1st December 2006
REACH, a deal too far
by European environmental, women's, health and consumer groups
http://www.eeb.org/press/20061201-REACH-deal-NGOs.pdf

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年12月3日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/reach/NGO/06_12_01_NGOs_press_statement.html


 【ブリュッセル 2006年12月1日】 ヨーロッパの環境、女性、健康及び消費者団体は、REACH 化学物質規制案に関する欧州議会と閣僚理事会の非公開で行われた妥協を弾劾するものである。もし、欧州議会総会で採択されれば、この妥協案は、がんや出生障害、その他の重大な疾病を引き起こす多くの化学物質を含む非常に高い懸念を有する化学物質の多くを、たとえより安全な代替物質が存在しても、市場にとどまり消費者製品中で使用されることを許すことになる。同グループは12月中旬に行われるこの提案に関する採決で、REACH を強化するよう議会に要求している。

 昨晩(11月30日)、議会の交渉担当者らは、理事会の ”適切な管理” という欠陥のあるアプローチの表面上の変更に基づく妥協案を受け入れた。化学産業界によって擁護されたこのアプローチは、有害化学物質への我々の暴露は人の健康と環境に危険を及ぼさないよう管理できるという主張に基づいている。この主張は、消費者製品中に使用されている有害な産業化学物質が家庭内の埃、雨水、野生生物、我々自身、そしてまだ生まれてこない胎児の血中などで広範に検出されていることを示す数多くの調査研究によって打ち破られている。

 この妥協案は昨年12月の閣僚理事会の立場である”代替は残留性及び生物蓄積性のある化学物質に適用される(訳注1)”ということを確認している。それはまた、公衆が製品中の有害化学物質の限定された数の存在に関する情報を要求することを認めている。

 同グループは、欧州議会議員に対して、より安全な代替物質が入手可能でも化学会社が非常に有害な物質を使い続けることを許す規制の抜け道をふさぐよう要求している。”代替計画は申請会社自身がより安全な代替を見つけ出した時に提出される”とする条項は、化学会社がより安全な代替を無視し続けることの動機となる。

 REACH はもともと、化学物質に関する知識のギャップを埋め、化学物質管理のための効果的で一貫したシステムを確立することを想定していたはずである。しかし、すでに数千種類の化学物質が健康と安全情報を提出するという要求を免除されており、また非常に高い懸念のある化学物質についての体系的な代替システムがないままに、この過度に妥協した REACH は現在の化学物質規制に対してなんら真の改善をもたらさない。REACH が人の健康と環境を守ることができないなら、ヨーロッパがより安全な化学物質という点で主導的立場をとる機会を失するだけでなく、化学産業界とヨーロッパの規制当局は公衆の信頼をさらに失うだけである。

連絡先:
Mecki Naschke, EU Policy Officer Chemical and Industry Policies at European Environmental Bureau, +32 (0) 2 298 10 94
Javier Calvo, Policy Officer at Eurocoop, +32 (0) 2 285 0076
Aleksandra Kordecka, Chemicals Campaigner at Friends of the Earth Europe, +32 (0) 2 542 61 08
Nadia Haiama, EU Policy Director on Chemicals at Greenpeace European Unit, +32 (0) 2 274 19 13
Lisette van Vliet, Toxics Policy Advisor at Health & Environment Alliance (formerly EPHA Environment Network), +32 (0) 2 234 3645
Daniela Rosche, Chemicals Policy Coordinator at WECF- Women in Europe for a Common Future, +31 6 22 95 00 27
Ninja Reineke, WWF Senior Toxics Programme Officer , +32 (0) 2 740 09 26

訳注1:
議会第一読会(2005年11月)の妥協修正案と理事会共通見解(2005年12月)における認可の相違
(出典:The International Chemical Secretariat (ChemSec) ChemSec Press release 15 September 2006)




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