欧州委員会企業・産業総局
GHS 法案(ドラフト)Volume I (一部紹介) 情報源:European Commission Enterprise and Industry GHS Draft Regulation Volume I (explanatory memorandum, legal text) http://ec.europa.eu/enterprise/reach/docs/ghs/ghs_sc_volumeI.pdf 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2006年10月3日 このページへのリンク http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/GHS_Volume_I.html
Volume I (explanatory memorandum, legal text)
EXPLANATORY MEMORANDUM 説明用メモ 欧州委員会が2006年8月21日から10月21日まで実施した化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS) EU立法についてのステークホールダー・コンサルテーションにおいて、コンサルテーション用資料として提案された GHS 法案、Volume I (explanatory memorandum, legal text) 、Volume II (Annex I, Part 1-6) 、及びVolume III (Annex II-VIII) のうち、Volume I の一部(提案の紹介)を紹介します。 EUのコンサルテーションの概要については、下記をご覧ください。 ![]() ■提案の紹介 本法案は、危険物質及び混合物のラベル表示のために、危険物質及び混合物の分類のための規則と基準を規定するものである。 1.理由と目的 1.1.一般的な論点:主題、範囲、定義、危険物質及び混合物、及び危険分類の仕様 本法案の最初の部分は分類とラベル表示の規則の範囲を規定しており、それは REACH システム及び他の EU の規定と一貫性がある。現状の分類とラベル表示と比較して変更はない。さらに、本法案で使用される用語は定義されている。現在の規定で使用されている用語の”調剤(preparation)”は、世界の規定の大部分で”混合物(mixture)”という用語が使われているので、GHS では後者に置き換えられている。便宜を図るために、すでに REACH 規制に含まれるいくつかの定義はここで繰り返される。 国連レベルで合意された危険分類及び既存の EU 規定に由来するがまだ GHS にカバーされていない危険分類がリストされている。欧州委員会は、例えばもっと多くの危険分類が国連レベルで合意された時に、付属書(Annexes)を更新する権限を与えられるよう提案されている。 最後に、物質と混合物の供給者が本法案に合致する彼らの物質と混合物に自身で分類しラベル表示する一般的な義務が規定されている。危険物質の分類のための調和の取れた分類又はひとつの物質のための分類が本法案の付属書 VI に含まれているなら、その物質はその記載に従い分類されなくてはならない。 1.2. 情報の特定 供給者は、どの情報が彼らの物質と混合物の危険性を記述するために関連するかを特定しなくてはならない。供給者はその目的だけのために新たなテストデータを生成する義務はなく現状利用可能な全ての情報を使用すべきであり、従って、例えば REACH 規制や殺生物剤指令[17]のような他の EU の法規の下に生成された特定の情報を使用すべきである。 しかし、もし供給者が情報を生成すると決めたなら、その情報は関連する EU 法規又は国際レベルで合意されたある品質基準を満たさなくてはならない。可能なら動物テストは回避されるべきである。 混合物については、CMR 特性(訳注:発がん性・変異原性・生殖毒性)を持つひとつ又はそれ以上の物質を含む混合物を除いて、混合物自身に関する利用可能なテストデータが一般的に使用されるべきである。CMR 含有混合物については、分類は一般的にそれらの CMR 物質に関する情報に基づくべきである。もし混合物自身に関するデータが入手可能でないなら、本法案は付属書 I の中で、供給者が混合物の健全な分類を引き出すことを可能とする多くの”橋渡し原則(bridging principles)”を明示している。 脚注:17 Directive 98/8/EC of the European Parliament and of the Council, OJ L 123, 24.4.1998, p.1 1.3. 危険情報と分類の評価 危険分類の目的のために入手可能なデータをどのように評価するか、そしてどのような場合に入手可能なデータから引き出された結果の改良が必要かについて規定している。 物質の分類は、これらの物質を使用する作業者や他の人々を保護するために重要である。さらに、それらは EU の法規における多くの義務の基礎を形成する。従って、分類は品質の高いものでなくてはならず、可能な限り全ヨーロッパで調和の取れたものでなくてはならない。分類の責任は一般的に供給者側にあるので、調和の取れた産業側自身による分類システムを確立するためのツールとしての分類とラベル表示目録が REACH 規制によって導入されており、その規定は現在、本法案に転換されている。調和を確保するために、その目録の中の分類に関する大部分の考え方は特別の重みが与えられており、供給者はそれとは異なる結果について正当化できなければ、それに従うべきである。 このシステムが実行可能であり、不釣合いでないことを確実にするために、濃度限界は不純物、添加物、又は個別成分に関連する物質の分類と、混合物の個別成分に関連する混合物の分類の両方について、規定される。 最後に、混合物の分類が成分組成に加えられる変更を考慮することを確実にするために、そしてそれに関して人の健康と環境の保護を確実にするために、混合物の分類が再評価されなくてはならない条件が特定される。 1.4. ラベル表示形式でのハザード・コミュニケーション 国連レベルで合意されたハザード・コミュニケーションは二つの部分からなる。ラベル表示と安全データシートである。ラベルは物質又は混合物の危険性について最も重要な情報を含む。それは物質と混合物の職業的使用者のための安全データシート中にあるもっと詳細な情報に注意を向ける第一歩である。 1.4.1 ラベル表示の内容 国連レベルで合意されたラベル表示規則を実施するために、個別のラベル表示の要素が規定され、詳細に記述されている。それらは絵表示、注意喚起語、危険有害性情報、製品の特定、及び注意書きからなる。 現状の EU システムにおける特定の物質及び混合物について、追加的なラベル要素がある。これらは、国連レベルには現在までのところ存在しない追加的な R-フレーズとともに、本法案の付属書 II に示されている。 企業秘密情報を守るために、物質の化学的特定ができないようにするための物質名を使用する許可を申請することが可能である。REACH のもとに設立され化学物質庁はこれらの申請についての決定に責任がある。 システムを実行可能とするために、ラベル表示規定のいくつかについての特定の免除が付属書 I に示されている。 混乱を避けるために、ラベル表示は、常に物質又は混合物が危険であるという記述とし、分類に一致しない場合に”非危険物”というような逆の記述は許されない。 ラベルに関する更なる追加的情報は、GHS の実施要求に従って、その情報を歪めない場合にのみ許される。 ラベルの表面積は限られているので、もし物質又は混合物が多くの危険な特性を持っているなら、ラベル上の重複した又は余分な情報は避ける必要がある。物質又は混合物の使用によって結果がもたらされる危険はラベル上にその情報が表示されることを確実にしなくてはならない。 分類に変更をもたらすような新しい情報が入手された場合には、ラベル表示は更新されなくてはならない。 1.4.2 ラベルの適用 顧客が容易に容器上の危険情報を認識できることを確実にするために、色、ラベルのサイズ、様式、読みやすさ、ラベル要素の配置が規定されている。 内箱と外箱がある場合、どのようなラベル表示が必要かを決定する必要がある。 1.5. 包装 人の健康と環境の保護を確実にするために、一般規則が容器とその他の包装の安全性を決定する。 1.6. 分類の調和 REACH 規制の分類とラベル表示目録、タイトル XI は、本法案に移されており、本法案に適合するために必要な技術的変更は REACH に関する政治的合意の意味を変更することなくなされた。 企業は分類することだけでなく、その分類に同意して活動することにも責任がある。使用されるべき手段は分類とラベル表示目録である。これは、EU で製造される又は EU に輸入される全ての危険物質の分類と(その結果としての表示)はその物質と混合物の全ての供給者に入手可能であることを確実にする。 供給者は全ての分類をこの目録に含めるために彼らの分類を化学物質庁に届けることが求められる。これは REACH 規制における登録手続又は、分離した届出によってなされる。同一物質の分類の食い違いは透明になり、届出者と登録者との間の協力により時間とともに食い違いは排除されるであろう。 本法案の付属書にある EU の調和の取れた分類は上記の結果として限定されるべきである。一般的に次の特性だけがこの方法で調和をはかられるべきである。カテゴリー 1A、1B 又は 2 発がん性物質、変異原性物質、又は生殖毒性物質、又は呼吸器系過敏性。当局の資源は正当化さたケースの他の特性と調和を図ることにのみ費やされるべきである。 1.7. 当局 これらの規定は、人の健康の保護を強化するために健康影響に関連する全ての情報を受け付けることに責任あるひとつの機関を含んで本法案の適用及び執行のために各盟国の当局が関与することを求めている。加盟国は適切な罰則を確実にするための措置を取り入れなくてはならないであろう。 1.8. 共通及び最終的規定 本法案の範囲に、特定され危険性についての記述なしに物質及び混合物のための広告が行われてはならない。本法案の適用のために用いられる情報は要求があれば当局が入手できるようにしておかなくてはならない。 EU の化学物質法令の適用における一貫性を確保するために、REACH 規制の下に設立された委員会もまた、本法案の付属書の技術的進歩に伴う改良において欧州委員会を支援しなくてはならない。 過渡的規定は、本法案が実際的で効果的な方法で発効することを確実にするものである。混合物の分類に関しては、物質の分類の結果がまず必要とされ、新たな基準に従った再分類が物質に対して最初に求められ、その次に混合物に求められる。過渡期には、二つの基準を持ったシステムは避けることができない。産業側に最大限の柔軟性を許すことによって過渡期に二つのシステムを適用する選択を与えるなら、すでに市場に出ている物質又は混合物をできるだけ早く再分類するために最大の励みとなるはずである。物質の再分類のための更なる支援は、付属書の”等価テーブル”によって与えられる。 1.9. 技術的付属書 本法案は、多くの技術的付属書からなっており、それらは、全ての危険分類とカテゴリーへの分類のための基準、ラベル表示要素、危険有害性情報及び注意書きのリスト、使用されるべき絵表示についての概要、ある危険分類又はそのぶぶんんについての調和の図られた分類を持った物質のリスト、及び物質の再評価に役立てルための等価テーブルを詳細に規定している。 訳注:(参考資料) |