IPEN 2015年5月8日 プレスリリース
EU は有害化学物質を新たな製品に リサイクルすることを推進している 情報源:IPEN COP7 Press Release, Geneva, 8 May 2015 EU Promotes Recycling Toxic Chemicals into New Products Which Will Ultimately be Dumped as Waste into Developing Countries http://ipen.org/news/eu-promotes-recycling-toxic-chemicals- new-products-which-will-ultimately-be-dumped-waste 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2015年5月9日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/POPs/IPEN/ 150508_IPEN_Press_COP7_Recycling_Toxic_Chemicals.html 【ジュネーブ、スイス 2015年5月8日】 欧州連合(EU) は、スイスのジュネーブで開催されている国連の化学物質条約の会議で、建物の断熱材、家具、及び電子機器に広く使用されている3種類の有害な難燃剤((HBCD、ペンタ BDE 及びオクタ BDE)のための危険な浄化基準(低POPs含有制限値)を押し進めている。この 3 種の有害化学物質は全て、世界的な廃絶のためのストックホルム条約にリストされている。それらは世界中で環境中のいたるところにあり、人のホルモン系をかく乱することができ、神経系の発達と子どもの知能指数に潜在的な有害影響を及ぼす。 アフリカ諸国は、有害難燃剤を含む製品を子どものおもちゃ、食品容器、室内備品(ソファー/敷物/カーテン等)などの新たな製品中でリサイクルするとする EU の提案に対して深い懸念を表明した。 ”我々は、有害化学物質がアフリカの子どもたちのおもちゃにリサイクルされることを望まないし、EUの子どもたちもまた、それらで遊ぶべきではないと考える”と、PAN エチオピアのタデッセ・アメラは述べた。”EU はすでに電子廃棄物を我々に送り込んでおり、EU は我々の毒性負荷を増やそうとしているように見える”。 EU の提案は、有害なリサイクル製品が EU の消費者によって使用され、その後、廃棄物として発展途上国に輸出されることを許し、毒性負荷を富める国から、汚染廃棄物を扱う能力が限られており、その結果、汚染廃棄物により潜在的に健康問題が増加し、貧困の削減が阻害されることになる貧しい国に移すことになる。 皮肉なことに、条約にすでにリストされているPCB 類やその他の物質の廃棄物浄化基準(低POPs含有制限値)は、同様な毒性を持つ難燃剤のための EU 提案よりも 20 倍安全である(訳注1)。EU 諮問委員らは、EU 提案の下では、現在のペンタBDE 廃棄物はどれも浄化されないであろうと言及した。EUは、世界で最も有害な化学物質に対する浄化行動を回避するよう基準を設計しているように見える。(訳注2) チェコの NGO(Arnika Association)のジンドリッヒ・ぺトリックは次のように述べた。”EU に拠点を置く公益 NGO として、我々はEUがストックホルム条約に違反し、経済的利益を人の健康と環境より優先するのを見るのは恥ずかしい。このことは経済循環を毒することになる”。 Contacts: Jindrich Petrlik / Arnika Assoc. / jindrich.petrlik@arnika.org / + 420 60 3582 98 4 Bjorn Beeler / IPEN / bjornbeeler@ipen.org / + 46 3179 99 474 更なる情報 New Study: Toxic Toy or Toxic Waste: Old POPs in New Products (新たな調査:有害なおもちゃは有害廃棄物:古いPOPsが新しい製品中に) http://ipen.org/documents/toxic-toy-or-toxic-waste-old-pops-new-products-summary-decision-makers Info Graphic: Toxic Recycling: POPs in Recycled & New Products (ポスター:有害リサイクル:リサイクル及び新たな製品中の POPs) http://ipen.org/sites/default/files/pictures/Toxic-recycling-POPs-in-new-and-recycled-products_0_0.jpg IPEN は、有害物質を廃絶するために活動する 100か国以上、700以上の公益組織の世界的なネットワークである。 http://www.ipen.org/ twitter: @ToxicsFree 訳注1:廃棄物浄化基準(低POPs含有制限値) IPEN の報告書参照: 訳注2:ストックホルム条約の廃棄物処理に関連する条項 第六条 在庫及び廃棄物から生ずる放出を削減し又は廃絶するための措置 (d)廃棄物(廃棄物となった製品及び物品を含む。)が次のように取り扱われるよう適当な措置をとること。 (i) 環境上適正な方法で取り扱われ、収集され、輸送され及び貯蔵されること。 (ii) 国際的な規則、基準及び指針(2の規定に従って作成されるものを含む。)並びに有害廃棄物の管理について規律する関連のある世界的及び地域的な制度を考慮して、残留性有機汚染物質である成分が残留性有機汚染物質の特性を示さなくなるように破壊され若しくは不可逆的に変換されるような方法で処分されること又は破壊若しくは不可逆的な変換が環境上好ましい選択にならない場合若しくは残留性有機汚染物質の含有量が少ない場合には環境上適正な他の方法で処分されること。 (iii) 残留性有機汚染物質の回収、再生利用、回収利用、直接再利用又は代替的利用に結びつくような処分作業の下に置かれることが許可されないこと。 (iv) 関連する国際的な規則、基準及び指針を考慮することなく国境を越えて輸送されないこと。 |